【2008年5月5日〜 5月11日】
●スワートの親タリバン系戦闘員が、政府と和平協定を結んだ。
●両サイドの代表が、ロワー・ディールのチャックダーラの釣り用の小屋で会い、和平協定を結ぶことに同意した。政府は今回の話し合いで、和平協定を実現させることを期待している。
●(中略)モーラナ・ファズルッラーの報道官のムスリム・ハーンが『BBC』に、武装勢力は「国内を無政府状態にすることが目的ではない」と語った。
●和平協定のもとで、政府は武装勢力に対する攻撃を中止し、武装勢力も治安部隊を攻撃したり政府の建物を破壊しないことを約束する。北西辺境州の地方大臣のワジッド・アリ・ハーンが、和平協定を締結したあと再び両サイドが会い、「永久的な解決」に向けて話し合うという(後略)。
Pakistani militants agree truce●ペンタゴンが3月に、ジェイ・W・フッド少将をパキスタンに派遣することを表明した。パキスタンの部族地帯にいるアルカイダとタリバンに対する戦いのために、ベテランを指名したのだ。
●しかし2ヵ月後、軍は極秘にフッドの派遣を引き下げた。パキスタンのニュース・メディアに、彼がグアンタナモ収容所の司令官であることが暴露されたからだ。
●2004〜2006年にかけてフッドがグアンタナモの指揮官だったとき、不当に監禁されていることに抗議して囚人たちが収容所でハンガーストライキを行なった際、自殺を防止するために、彼らに強制的にチューブで食料を与えた。またフッドの在職中、アメリカ人警備員がクルーアンを冒涜したとして、イスラーム世界で抗議運動が起きた。
●フッドの派遣が取りやめになったことは公表されなかったが、グアンタナモ収容所の存在が、アメリカの政策に大きな障害となり始めていることが伺われる。アメリカは、パキスタンを対テロ運動の盟友と考えているが、グアンタナモから帰還したパキスタン人元囚人の証言により、パキスタンでは反米感情が高まっている。
●最近、パキスタン軍の幹部や外交問題関係者が、アメリカがフッドをパキスタンに派遣しようとしていることを非難した。今週行なわれた米軍関係者とのインタビューで、フッドの影響のためにパキスタンとの関係に障害が生じ、また彼自身の身の安全も危ぶまれる可能性があると、関係者が述べた。
●(中略)パキスタンの新政府が、フッドの派遣を中止するように申し出たのかどうかは不明である。しかし木曜日にパキスタン外務表報道官のムハンマド・サディークが報道陣に、政府は「フッド将軍の派遣に関して、一般市民の感情を認識している」と述べ、「この民衆の意識を、最良の方法で解決するつもりだ」と付け加えた。
●フッド将軍は1991年にペルシア湾戦争とコソボに従事し、イスラマバードの米大使館のOffice of the Defense Representative to Pakistanと呼ばれる部署の責任者になる予定だった。この部署には約24人の人間がおり、パキスタンとの軍事関係を受け持って、パキスタン軍の訓練や装備なども担当する。
●数年前までは、大佐クラスの人間がこの部署を指揮していた。しかし、パキスタンが戦略的に重要になってきたために、この職務は2ツ星の将軍が引き継ぐことになった。現在の責任者はジェームズ・ヘルムリーで、5月末には帰国予定である。今のことろ、フッドの後任は明らかにされていない。
●2人の国防省幹部関係者によると、フッド将軍の任命は、もっと慎重に行なうべきだったという(後略)。
Pentagon Drops Post in Pakistan for Top General●親タリバン系武装勢力によると、パキスタン北西部の部族地帯で、兵士6人を拘束した。
●武装勢力報道官が、残りの24人の兵士は、バジョール行政区で解放されたと述べた。軍によると、兵士1人が拉致されただけだという。
●これとは別にスワートでは、兵士1人が死亡、2人が負傷した。
●武装勢力が政府との和平のための話し合いを中止してから、武力衝突が増加している。この武力衝突は、政府に圧力をかけるためのものである可能性が高いと、『BBC』のイリアス・ハーンが述べた(後略)。
Pakistan troops 'taken hostage'●金曜日にパキスタンの北西部でロケット弾による攻撃があり、武装勢力が警察官1人を殺害、2人を負傷させた。
●攻撃は、スワートのカッバル町で起きた。警察官、木曜日に武装勢力が治安部隊の検問所を攻撃して兵士1人を殺害しために、作戦を実施していた。「軽トラックで移動中にロケット弾の攻撃を受けた。警察官1人が死亡し、2人が負傷した」と、地元警察官のジャン・バハドゥールが述べた。治安部隊はこの作戦の際に容疑者35人を逮捕し、指名手配になっている武装勢力の家3軒を取り壊したという。
●木曜日に武装勢力は、隣のカンジュ町で、無人の女子校に放火した。1週間の間に、女子校3校が放火されている(後略)。
Rocket attack kills Pakistani police: official●水曜日にバジョール行政区で武装勢力と準軍隊が衝突しそうになったが、タイミングよくジルガが仲介して衝突を防いだ。
●バジョール行政区のバジョール・スカウトの隊員が、今日予定されているオワイス・アフマッド・ガニの訪問に備えて、国境地帯に派遣された。目撃者によると、武装勢力数十人が幹線道路に現れ、兵士たちを包囲した。武装勢力は兵士たちに武器を引き渡すよう、要求したという。武器を引き渡したら、危害を加えないと述べたが、重火器を運んでいた兵士たちはこれを拒否した。道路を挟んで麦畑に陣取り、戦いを開始しようとしているところに、長老たちが衝突を回避するために説得に入った。
●説得により軍はカールの基地に戻ることに同意したが、武装勢力たちは軍に武器を引き渡すよう要求し続けた。
●しかし結果的に武装勢力は諦めた。武装勢力報道官のモーラビ・オマルによると、車輛4台や武器や弾薬とともに、兵士22人を拉致したという。そのうちの何人かは後にジルガに引き渡したが、車や武器はモーマンドの隠れ家に持ち去った。
●これに先立ち北西辺境州知事が、部族地帯の問題に関してディールでバジョールの長老たちと会ったが、長老たちは侮辱されたと受け取った。
Jirga averts troops-militants clash in Bajaur●南ワジリスタンで治安部隊が攻撃されたために、軍とバイトゥッラー・マフスードとの間の危うい和平協定が無効となった。兵士1人が負傷した。
●テヘリーキ・タリバン・パキスタン(TTP)報道官によると、軍が最初に発砲したという。「軍のほうからタリバンを攻撃したために、防衛のために報復した」と、モーラビ・オマルが『Dawn』に電話で語った。
●彼によると、TTPは2ヵ月前に締結した和平協定を遵守しているという。
●情報源によると、南ワジリスタンのシピンカイ・ラジザイをパトロール中のバローチ連隊が、攻撃された。負傷した兵士は、病院に運ばれた。治安部隊が応戦した。この衝突のあと、緊張が続いている。
●政府と武装勢力との間の和平のための話し合いは、政府側が南ワジリスタン、スワート、ダラ・アダムヘールからの軍の撤退を拒否したために、先週失敗に終わった。
Troops attacked in South Waziristan●リキシャに乗った自爆犯が火曜日、パキスタン北部の警察のチェックポストの近くで自爆し、警察官1人と一般市民2人が死亡、数人が負傷した。
●バヌーで起きた自爆攻撃は、パキスタンに新政府が樹立されてタリバン武装勢力との話し合いを開始して以来起きた、最初の攻撃である。
●「リキシャに乗っていた自爆犯が、チェックポストで警察官に止まるように命令された後、自爆した」と、軍が声明を発表した。
●「3人が死亡した。警察官1人と一般市民2人が死亡した。この攻撃で自爆犯も死亡した。このほかに4人が負傷した」。
●(中略)地元警察官のイフティハール・ハーンが、「犯人がオート・リキシャに乗ってやってきて、チェックポストで車内を捜索されると、自爆した」と述べた。
●(中略)タリバンとパキスタン政府との間の話し合いは、軍がこの地域から撤退することを拒否したために、失敗に終わった。
●4月25日に再び武装勢力によると攻撃が再開されて、マルダンの警察署で車を用いた爆弾事件があり、4人が死亡、30人が負傷した。
●木曜日には、カイバル地区にある親タリバン系の宗教学校で自爆攻撃があり、30人が負傷している。
Pakistan suicide blast kills three: army