【2008年5月19日〜 5月25日】


■アルカイダ重要人物、米のパキスタン攻撃で死亡[080524 Los Angel Times]

先週パキスタンに対するアメリカの空爆で殺害されたアルカイダは、欧米を攻撃することを計画して武装勢力を訓練していたアルジェリア人である可能性が高いと、関係者が金曜日に述べた。

アブ・スレイマン・ジャゼイリが、5月14日のダマドーラ村近くの建物が攻撃され、死亡したと思われる。アメリカやヨーロッパの関係者が、ジャゼイリは死亡したと述べた。

アメリカの対テロ軍がパキスタンの隠れ家にいる戦略家たちを攻撃したが、ジャゼイリの死はアルカイダのリーダーシップにとっては大きな損失だという。

「彼はアルカイダ幹部の重要人物だった」と、あるヨーロッパ関係者が述べた。「彼はトップ5の中には入らないが、近くにいた。欧米を標的にし、戦闘員を訓練していた1人だ。ヨーロッパを標的にしていたという諜報情報がある」。

(中略)殺害された男たちの身元に関しては、さまざまな憶測がある。今週パキスタンの諜報関係者が、死亡したのはアルジェリア人ではなく、別の外国人だったと述べた。混乱はあるが、アメリカやヨーロッパ関係者は、自分たちの情報は確かだと主張する。「アル・ジャゼイリが死亡したという確かな理由がある」。過激派のウェブサイトに、ジャゼイリ死亡の噂があったという。

ジャゼイリは「重要なテロ訓練師」だったと、アメリカの関係者が述べた。「訓練に関して、この人物は重要な人間だった。彼のような人間は、テロ計画には重要だ。彼に取って代わる人間がいないというわけではない。しかし経験を積んだ人間がいなくなれば、障害は生じる」。

(中略)1月には同じような空爆でリビア人が死亡した。また同じころ、アルカイダの作戦責任者のウバイダ・アル・マスリが、病死している。

ジャゼイリは6年ほど前に、パキスタンに現われた。当時は中堅的な存在だが、先駆者が死亡していったために、昇格していった。「マスリの後継者とも言える、重要人物だった」と、ヨーロッパの関係者が述べた。

アルカイダにはアルジェリア人が多数いるが、パキスタンやアフガニスタンで幹部クラスになることは少ない。主に北アフリカ、ヨーロッパ、イラクで活動する。アルカイダの責任者たちは、アルジェリアの過激派組織には、アルジェリア人スパイが潜入していることを恐れ、彼らを積極的に迎えないことが多い(後略)。

hoonKey Al Qaeda figure apparently died in U.S. strike in Pakistan
WASHINGTON

■アフガニスタンでのジハードは続くと、パキスタン人タリバン責任者[080524 AFP]

パキスタン人タリバン幹部のバイトゥッラー・マフスードが土曜日、イスラマバードと武装勢力との間で交わされた和平協定にもかかわらず、アフガニスタンでのジハードは続くと述べた。

「イラスムには国境はない。アフガニスタンのジハードは続く」と、南ワジリスタンの拠点に招待されたジャーナリストたちに述べた(中略)。「パキスタン軍とタリバンとの間の戦いにおいては、両側とも苦しんでいる。もう終わりにするべきだ」(後略)。

hoonPakistani Taliban leader says jihad in Afghanistan to continue
PESHAWAR

■パキスタン武装勢力、「協定を遵守」[080524 BBC]

パキスタンのタリバン司令官が、最近続いている爆弾攻撃にもかかわらず、政府との和平協定を遵守すると述べた。

南ワジリスタンにいるバイトゥッラー・マフスードが、最近になって軍が一般市民を攻撃していることを非難し、必要があれば応戦すると述べた。

いっぽうパキスタンの北西部で、道路脇に仕掛けられた爆弾により、警察責任者と運転手が死亡した。警察官2人も負傷した。

これに先立ち、バラでも道路脇に仕掛けられた爆弾により、一般市民1人が死亡、3人が負傷した。

(中略)バイトゥッラー・マフスードは1ヵ月前に停戦を命じたが、政府との和平協定の締結は目前だと述べた。しかし、すべては政府と軍に懸かっているという。「我々は約束を守っている。軍がいつも約束を破る」と主張した。「軍は我々の居住区で一般市民を攻撃した。商売を妨害し、学校を破壊し、無実の一般市民を殺害している」。「軍から我々を攻撃してこない限り、和平協定を遵守する」。必要であれば、自爆攻撃を行なうという(後略)。

hoonPakistan militant 'holds to deal'

■B-52の下をくぐりぬける[080522 Asia Times]

先週アメリカの無人偵察機が、バジョールのダマドーラにある武装勢力の隠れ家をミサイルで攻撃したが、この地域がアフガニスタンにおけるタリバンの抵抗運動の拠点となっていることが、強調された。

(中略)先週の無人偵察機によるバジョールへの攻撃は3回目であるが、この地域が監視され、重視されていることがわかる。攻撃はある意味で成功した。アルカイダの幹部クラス2人が殺害されている。隻手のシェイク・オスマンとシェイク・ソリマンだ。しかし有名なタリバン司令官、ドスト・ムハンマドは無事だった。

アルカイダのメンバーたちは、えり抜きのタリバンに衛星電話を傍受されない方法を指導するために、ダマドーラを訪れていた。

シェイク・オスマンの死亡は、大きな損失だ。彼は北アフリカとヨーロッパを攻撃する頭脳の1人、ドクター・ジュナイド・アル・ジャゼリの腹心である。

無人偵察機がなぜダマドーラを攻撃できたに関しては、論議がある。パキスタンの野党は、イスラマバードが諜報情報を提供したと疑っている。しかしこの問題は、それほど単純ではないことがわかる。

ヘルマンド州と異なり、タリバンはクナールではこの地域全体を支配していない。しかし森や畑の中に隠れ、地元の支持もある。このようにしてタリバンは毎日のようにアメリカを攻撃している。

クナールとヌーリスタン州は、北東のカピサ州に至る道の出発点でもある。ここからタリバンはカブールに入ろうとしている。

ビンラディンどザワヒリは、まだこの地域にいると考えられている。アメリカはこの地域を確保することが、「テロとの戦争」の成功への第一歩と考える。タリバンはこの地域の周辺にすべての基盤を整え、準備周到だ。

そしてどちらも、勝つつもりでいる(後略)。

hoonDucking and diving under B-52s
Syed Saleem Shahzad、KUNAR VALLEY

■パキスタン、武装勢力との和平協定に合意[080521 AP]

パキスタンの新政府は水曜日、パキスタンの北西部のイスラーム武装勢力と和平協定を結んだ(中略)。

パキスタンの北西辺境州政府の大臣が、スワートの武装勢力と政府が、水曜日に15条からなる和平協定を締結したと述べた。

武装勢力は政府の権限を認め、自爆や爆弾攻撃を中止し、この地域にいる外国人戦闘員を引き渡すことに同意した。それと引き換えに政府は拘束している武装勢力を釈放し、この地域にイスラーム法を施行することを要求している宗教指導者のモーラナ・ファズルッラーの意向を受け入れるという。また武装勢力が要求しているように、この地域から順次兵を撤退させる(中略)。

これまで平和な観光地だったスワートでは、タリバン式の暴力沙汰が一気に広まった。ファズルッラーの武装勢力がタリバンの大半を支配したために、軍が軍事作戦を実施し、数十人が死亡した。ファズルッラー師は違法FMラジオを通じて原理主義を広めたが、暴力沙汰が続いたために離反者も出た(中略)。

先月パキスタン政府は、ファズルッラーの義父のスースィ・ムハンマドを釈放している。ムハンマドは2001年に、数千人の追随者を率いてアフガニスタンでアメリカと戦った。

水曜日の協定により、イスラーム法学者がこの地域の裁判所にアドバイスすることが認められる。またイマーム・デーリ村にあるファズルッラーの本部は大学となり、FMラジオ局も放送を再開することが許される。

hoonPakistan, militants agree to peace deal
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■パキスタン、武装勢力と取り引き[080521 BBC]

パキスタン北西部州政府が親タリバン系武装勢力と和平協定を交わし、谷から撤退することに同意した。

政府は、武装勢力がスワートでシャリア法を施行することを許可し、それと引き換えに軍事訓練所や閉鎖し、攻撃を中止することを約束させた(中略)。

北西辺境州大臣のバシール・ビリールが、ペシャワルで交わされた15条からなる協定書を公開した。ビロールによると、武装勢力は治安部隊に対する自爆攻撃や爆弾攻撃を中止し、訓練所を閉鎖することに同意した。それと引き換えに、政府はこの地域にシャリア法を施行するという武装勢力の要求を受け入れるという。「これでスワートに平和が訪れるだろう」と、ビリールが述べた。

武装勢力代表のアリ・バフシュは、協定書に満足していると述べた(後略)。

hoonPakistan in deal with militants

■パキスタンの北西部の爆発で10人負傷[080520 AFP]

パキスタン北西部で軍の車輛の近くで爆発があり、10人が負傷した。3日間で3度目の爆発である。

爆発は、軍の町であるコハートで起きた。「準軍隊兵士6人と一般市民4人が負傷した。道路脇に仕掛けられた、遠隔操作爆弾のようだ」と、警察関係者のニザーム・ハーンが述べた。「軍の車が交差点にさしかかったところ、爆発した」(後略)。

hoonRoadside bomb wounds 10 in northwest Pakistan
PESHAWAR

■タリバンの自爆訓練者死亡か?[080520 Daily Times]

軍は、タリバンのイデオロギー提唱者で自爆訓練責任者のカリ・フセインが軍の作戦で死亡したという通信を傍受したために、カリの死亡を確認している。

「武装勢力たちが、カリ・フセインが作戦で死亡したという通信を傍受した」と、南ワジリスタンで実施されたザルザラ(地震)作戦を指揮した軍司令官が述べた。タリバンの通信が本当だとしたら、軍にとっては大きな勝利である。フセインは若者に自爆の訓練を与えていたといわれる。

マフスード部族民のカリ・フセインは過激派組織と関係し、バイトゥッラー・マフスードが指揮するタリバンの自爆訓練所を運営していた。軍は若者に自爆訓練をを与えているこのような訓練所を、コットカイにある公立学校で発見した。

「部族民に一般教育を与える普通の学校だった。しかし自爆に使用される爆発物が発見された」と、日曜日にデーラ・イスマイル・ハーンでタリーク・ハーン少将が述べた。

スピンカイ・ラグザイとコットカイの司令官であるアリ・アッバス准将が、軍がタンクに駐屯するまでは、タンクにもタリバンの事務所があったという。他の場所でも自爆訓練所を運営している可能性があると述べた。

hoonTaliban suicide bombing trainer killed?
Iqbal Khattak、SPEENKAY RAGHZAI

■タリバン一掃、しかしスピンカイはゴーストタウンに[080519 Dawn]

スピンカイは今や、ゴーストタウンだ。川沿いや谷の反対側には土でできた家が林立するが、誰1人、人間が住んでいない。

家の中を覗くと、一時は地元の部族民が住んでいたことが伺われる。しかし急いで家を去った。貴重品さえもが、そのまま残されている(中略)。

居住区からマーケットやビジネス・エリアに移ると、さらにひどい。1軒たりとも店が残っていない。ガソリンスタンドさえも、取り壊された。ほとんどが「全体責任」という悪評高い法律によって、取り壊されたようだ。

これは1月に実施された、バイトゥッラー・マフスードが率いるタリバンを一掃するために行なわれた、パキスタン軍による「ザルザラ」作戦の結果である。それまでこの地域は、親タリバン戦闘員があふれ、村人たちが彼らを匿っていた。この作戦で武装勢力多数が殺害された。そして3日後、治安部隊がこの地域一帯を支配した。その後軍は他の村や小さな町に入り、バイトゥッラー・マフスードを追い詰めようとした。

それ以来、この地域にいるのは軍の兵士だけである。丘の上をすべて支配し、許可なくして村に入ることを許さない。一般市民は急ごしらえの難民キャンプに移され、不法な扱いを受けている。

マフスード族の居住地の取り壊された家や放棄された家が、ジャーナリストに公開された。パキスタン軍の飛行機で、現場に連れて行かれると、軍司令官が巨大な建物を指した。彼によると、これがすべての原因だという。この建物は、「自爆者養成所」だという。

第14連隊を指揮するタリーク・ハーン少将によると、「9〜12歳の少年を自爆者するために訓練していた、工場のようなもの」だったという。

この養成所は、パキスタンにおける自爆攻撃を率先していた、カリ・フセインが運営していたという。フセインはバイトゥッラーに保護され、イスラームの名の下で10代の少年たちに暴力を教え込み、武装勢力のイデオロギーを提唱する有力者となっていた。いまだに逃走中で、また新たな養成所を作った可能性もある。

軍関係者によると、この作戦が実施されるまで、自爆訓練所があるということは噂にすぎなかったという。1月になって初めて武装勢力の活動を嗅ぎ付け、彼らが新たなメンバーを募集して自爆攻撃を実施していることを知ったという。現場から押収されたコンピューターや書類、さまざまな備品が、我々に公開された(中略)。10〜12歳の少年たちが教室に集まり、自爆のための訓練を受けているビデオもあった(中略)。

現在、この地域はすべて軍の支配下にある。しかし新政府の政策により、すべてが変わる可能性がある。新たに締結される和平協定により、軍は部族地帯から撤退することになる。そしてマフスード族は、スピンカイや近くの町や村に、再び帰ってくる。

しかしタリーク・ハーンは、軍がこの地域から撤退するわけではないという。「撤退するのではない。場所を変えるだけだ」。

彼によると、軍はマフスード族の居住区から移動するが、南ワジリスタンからこの地域に通じる4つの道路すべてをコントロールするという。道路の支配を続ければ、「この地域のテロリストやならず者たちは行動できない」。

網の目をくぐり抜けるものもいるかもしれない。しかし今回の作戦のせいで、バイトゥッラー・マフスードは和平協定を求めて来たと主張する。「デーラ・イスマイル・ハーンからジャンドーラにいたる全ての地域から、武器を一掃した。必要があれば、他の地域でも可能だ」。

タリーク・ハーンを始め野戦司令官は、この地域の戦闘はアルカイダとは関係がないと口をそろえる。パキスタン人タリバンとの戦いであり、彼らはパキスタンの治安部隊やパキスタンの居住区を狙って攻撃している。ウズベク人2人を例外とすると、この作戦で死亡したのはパキスタン人だけだという。「ワジール族の居住区や北ワジリスタンに外国人はいるかもしれない。しかしマフスード族の居住区にはいない」。

(中略)しかし軍が撤退、あるいは移動したとしても、この地域にはまだ不安が残る。軍はこ監視作戦が成功すると自信満々だが、マフスード族の武装勢力が再び結集している可能性が残る。

また以前締結した和平協定の例もある。過去においてバイトゥッラー・マフスードを始めワジリスタンの武装勢力たちは、政府が協定を侵害したとして新たな攻撃を実施している(後略)。

hoonTaliban ousted, but Spinkai is now a ghost town
Zaffar Abbas、SPINKAI

■パキスタンタリバン、自爆攻撃に犯行声明[080519 AFP]

月曜日にパキスタン人タリバンが、週末に発生した自爆攻撃に対して犯行声明を発表し、抵抗勢力の隠れ家がアメリカにミサイル攻撃された報復だと述べた。

自爆犯が日曜日に、マルダンの軍事基地のそばで自爆した。「マルダンの地元タリバン責任者が電話で、攻撃を行なったと主張した」と、テヘリーケ・タリバン・パキスタン報道官のモーラビ・オマルが述べた。「マルダンの攻撃は、ダマドーラの報復だ」(中略)。

オマルは、政府と武装勢力との間の話し合いは「最終段階を迎え、前向きな結果を期待している」と述べたが、アメリカの政策に追随してはならないと警告した。「ダマドーラの攻撃で無実な人間が死亡したことに対して、我々は憤りを感じている。政府はアメリカがパキスタン国内に介入してこることを阻止するべきだ」。「政府はワシントンの政策に追随したり、我々と戦ったりしてはならない」。

さらに、政府がダラ・アダム・ヘールの地元タリバンの家を取り壊したことを非難した。「ダマドーラのミサイル攻撃や、ダラ・アダム・ヘールの我々の仲間に対する攻撃は、パキスタン国内の地元タリバンを刺激することになる」(後略)。

garrPakistani Taliban claim responsibility for suicide attack
PESHAWAR

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2008.