【2008年5月26日〜 6月1日】


■アメリカのテロ作戦、政治的に窮地に陥る[080531 Asia Times]

南アジアにおける「テロとの戦争」において反米感情が高まり、ワシントンはどのような態度を取り、かつ自分たちの利益を守ることができるか、ジレンマに陥っている。

(中略)ナワーズ・シャリーフ元首相は、ムシャラフが国家を外国の権力に売り、ラール・マスジッドの虐殺を行ない、核科学者のハーン博士や最高裁判所長官を辱め、無実なパキスタン人をアメリカに売り、それと引き換えにドルをもらったと非難した(中略)。シャリーフの演説は、米国務省の南・中央アジア問題の副責任者であるリチャード・バウチャーのパキスタン訪問直前に行なわれた。バウチャーはPPP政府と話し合う予定だったが、駐米パキスタン大使のフセイン・ハッカーニの助言により、反米感情が高まるっているためにパキスタンとアメリカの関係が悪化する可能性があるとして、パキスタン訪問が延期された。

これと時を同じくして、ハーン博士との電話インタビューが行なわれた。ハーンは今になって、核の秘密を漏洩したことを否定した。圧力をかけられ、「国家の利益のために」嘘の告白をしたという(中略)。

あまり目立った動きではなかったが、元ISI幹部のハリッド・ハジャワが、ムシャラフを始めラワルピンディの元警察司令官のタリーク・マジード将軍などを相手にラール・マスジッドの虐殺の責任を問い、刑事事件として告訴した。

ハリッドはビンラディンと親しく、以前1989年にベナジール・ブット政府を転覆させるために、シャリーフとビンラディンの会見を仲介した。シャリーフは最近になってビンラディンと会ったことを認め、当時はアメリカ人でさえ、ビンラディンと会っていたと主張した。(中略)元ISI長官のハミッド・グル将軍も、ムシャラフ排除に動き始めた(中略)。

いっぽうアフガニスタンでも、タリバンが動き始めた。木曜日にタリバンはコースト州のヤクービア地区でアメリカのヘリコプターを撃墜し、乗っていたアフガン兵数人が死亡した。ファラ、ヘラート、カブール、ヘルマンド、ナンガルハルなどで、いくつかの攻撃を行なった。

政情が不安定になっている今、パキスタン政府はタリバンと和平協定を結ばざるを得ない。最近入手した情報によると、パキスタンの親タリバン系軍閥のバイトゥッラー・マフスードは、パキスタンの治安部隊との戦いで財産を失った者たちの補償金を政府からもらうことになった。補償金は来週分配され、その後パキスタンとバイトゥッラー・マフスードは、和平協定に調印すると見られる。

(中略)さらにアフガニスタンでは、元大統領でムジャヒディン責任者でもあるブルハヌディン・ラッバーニが、タリバンと話し合いを開始することを認めた(後略)。

hoonUS terror drive stalled in political quagmire
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■核爆弾の設計図、国際闇マーケットで売買か[080531 Guardian]

武器に相当するウラニウムを核弾頭に製造する設計図やマニュアルが、国際闇マーケットに出回っている恐れがある。

スイス政府がアメリカの圧力のもとに、核密輸捜査で入手した数万の書類を極秘に処分したことが明らかになり、核のノウハウが売買されている恐れが急浮上した。

これらの情報は、アブドゥル・カディール・ハーン博士が運営する核の密輸組織に関わった重要人物として4年前に逮捕された、43歳のスイス人技師ウルス・ティナーの自宅とコンピュータから押収された(中略)。

ハーンの闇組織は、核材料や備品、製造のためのノウハウを、少なくともイラン、リビア、北朝鮮の3ヵ国に密輸した。

スイスのパスカル・クシュパン大統領が先週、約3万の書類からなるティナー・ファイルが処分されたと発表して、国民を驚かせた。これらの書類が「テロ組織や無法国家の手に陥ることを防ぐためだった」という。

しかし、すでにこの恐れが現実化してしまった、あるいは現実化するのではないかと見られている。「コピーがあったことがわかっている」と、イギリスを拠点とするInternational Institute of Strategic Studies(IISS)のマーク・フィッツパトリックが語る。「アメリカの諜報組織と国際原子力委員会が、この件を重視して追いかけていた。しかし、ティナーがコピーした書類はどうなったのだろう。別の計画がまだあったと考えられる」。

ドイツにいるハーンの組織の別の容疑者の取り調べから、ティナーが、スイスのオフィスに核爆弾の設計図があると語ったことが明らかになった。これらの設計図はデジタル化され、ハーンの拠点のひとつであるドバイで、組織のコンピュータにコピーされた。

「彼らがこれほどの量の情報や核を武器に変える方法、さらにガス遠心分離機に関する秘密を持っていたことは驚きだ」と、ワシントンを拠点とする国連元捜査官、デビッド・オルブライトが述べた。「アメリカがコピーを持っていることは確かだ。他に誰がもっているかが問題だ。この2人の兄弟(マルコ・ティナーも逮捕されている)だけだと思うか」。

ハーンは2004年以来、欧米のメディアに初めて応じ、スイスの件により、核爆弾が欲しい者は、欧米で簡単に入手できることが証明されたと述べた。

さらにハーンは、欧米や国連関係者に協力は絶対しないと誓い、2004年に行なった「告白」は、パキスタンの政権によって強要されたものだったと主張した。

スイス政府は核の秘密情報は国家安全のために処分されたと主張しているが、ティナーはCIAにも協力していたと思われるために、アメリカがこの件に関与していた可能性がある。オブライトによると、ティナーは1999〜2000年にかけて、CIAに雇われていた。

「スイスは別の国のために不正行為をしていた」と、ハーンの組織の捜査に詳しい関係者が買った。「ウルスは巨額な報酬をもらい、CIAに協力していた疑いがかけられている」。

国際原子力委員会の副会長のオリ・ハイノーネンが、ハーンの捜査を率いてきた。去年、彼の事務所がティナー・ファイルを探し出し入手したが、処分の時にも立ち会った。

アメリカ人たちもこれに立ち会ったという。「アメリカ人たちも、処分に関わっていた。彼らが率先していた」とハイノーネンが述べた。「このような書類が処分されるなんて、聴いたことがない。どこか安全な場所に保管されるべきだ」と、国際原子力委員会の元関係者が述べた。「問題はこれらの書類のコピーがいくつあったか。どこに行ったのかだ」。

ティナーの捜査から浮上した書類があまりにも「危険」だったために、処分せざるを得なかったと、スイス政府が述べた。「核兵器、武器相当にウラニウムを濃縮するガス遠心分離機や誘導ミサイル発射装置などの設計図があった」。

これらの証拠が法廷で提示されたら、CIAがハーンの組織に関係していたという屈辱的な事実が明らかになったはずだと、関係者が語る。

しかし証拠が処分されたことで、ティナーの裁判は難しくなる。彼の弟のマルコと父親のフリードリッヒは、ハーンの組織と長い間関係していたといわれる。フリードリッヒは1980年代からハーンと関係していた。「フリードリッヒ・ティナーが率いるスイス人一家が、数年間ハーンの組織で重要な役目を果たしていた」と、ハーンの組織に関する論文の中でIISSのフィッツパトリックが書いている。

ohNuclear bomb blueprints for sale on world black market, experts fear
Ian Traynor

■原子力科学者、告白を否定[080530 Guardian]

パキスタンの核爆弾の父、アブドゥル・カディール・ハーンは、イスラマバードで4年間の隠遁生活を送っていたが、昨日になって、以前の告白は嘘たったと語り、再び注目を浴びている。

2004年以来、欧米のメディアのインタビューに初めて応じたハーンは、以前の告白はムシャラフ大統領に強要されたものだったと述べた。「私の自由な意思によるものではなかった。私に強要されたものだった」と、『Guardian』のインタビューに答えた。さらに、国際原子力委員会の捜査官たちには、絶対に協力しないと誓った(中略)。

「なぜ彼らに話す必要がある」。「私は誰にも義理立てする必要がない。我々は核の非拡散条約に調印していない。だから国際法を犯していない」。核供給ネットワークの秘密は「私個人の問題、私の国家の問題」だという。

国際原子力委員会や米政府の度重なる要求にもかかわらず、パキスタンはハーンの取り調べを許可することを拒否している。ハーンはいまだにパキスタンでは英雄である。

(中略)これまでハーンはイスラマバードの自宅に軟禁されていたが、ムシャラフの権力が失墜するとともに、彼に関する規制も緩和されてきた。最初は親しい友人と昼食を共にすることを許され、先月はウルドゥー語紙のインタビューに応じた。ユーサフ・ラザ・ギリニ首相が近々彼を自由の身にしてくれるだろうと、今では期待している。

ohDisgraced atomic scientist disowns confession
Declan Walsh、Islamabad

■チャクララ空港に飛行機到着[080530 News]

木曜日、イスラマバードとラワルピンディに特殊治安部隊が配置され、重要な政府関係の建物や陸軍関係者の居住区にも派遣部隊が配置された。

元陸軍参謀長のミルザ・アスラム・ベーグが木曜日テレビに出演し、ムシャラフ大統領は辞任することを決めたと述べた。

いっぼう情報源によると、Air Bus A-310がチャクララ軍事基地に到着したという。この航空機は、大事な人間を近隣の国に連れて行く。ラワルピンディのある重要な家では引っ越しの準備で忙しく、重要な一家の出国に備えている。

大統領に近い情報源はこのような動きはないと述べ、大統領は辞任して出国する計画はないという。パキスタンと関係のある国家の飛行機が、常に行き来しているという。

大統領の国外退去は、上院議員のムハンマドミアン・スームロが海外から帰国したら、すぐに始まるという。ムハンマドミアンはすぐに帰国するよう命じられ、現在イスラマバードに向かっている。(後略)。

smellPlane arrives at Chaklala airport
Muhammad Saleh Zaafir、ISLAMABAD

■ムシャラフ、辞任の噂を否定[080530 AP]

金曜日、ムシャラフの政敵やメディアが大統領が辞任すると騒ぎ立てるなか、ムシャラフはこれを否定した。

今週ムシャラフとキヤニ陸軍参謀長が夜遅く会ったために、さまざまな憶測が飛び、彼の辞任が噂された。

木曜日に政府幹部と夕食をともにしたムシャラフは、軍参謀長と自分との間に意見の相違があることを否定し、日刊紙の『News』の、ムシャラフが「辞任することを決めた」と報道した記事を否定した。「通常の会談で、さまざまな問題を話し合った。我々の関係は最善で、何の問題もない」(後略)。

smellPakistan's Musharraf denies resignation rumors
MATTHEW PENNINGTON、ISLAMABAD

■アルカイダは打撃を受けているとCIA長官[080530 Washington Post]

CIA長官のマイケルV・ハイデンが、イラク、サウジにいるテロリストたちは本質的に敗北し、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯を含めて、彼らはその隠れ家で身を守るのが精一杯になっていると述べた。

(中略)アルカイダはいまだに脅威ではあるが、ビンラディンはイスラーム世界の人々の支持を失いつつあるという(中略)。

テロとの戦いで風向きが変わっていることを多数のテロ専門家が指摘しているが、この勝利が長期的なものであるかはわからないと警告する。アルカイダを敗北させることができたのは、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯で、無人偵察機を用いて侵犯に対して攻撃をしていることが挙げられる(中略)。

去年の8月、16人からなる米諜報組織関係者が研究会を開催し、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯がアルカイダの拠点となり、ここでテロリストリーダーたちが欧米を攻撃する計画を練っていると発表した。しかしハイデンによると、この地域における対テロ作戦に成功しているという。ハイダンは、CIAの作戦を詳述することは避けたが、米諜報組織は無人偵察機を使用して、アルカイダやタリバンの拠点を攻撃している。「アルカイダの主要メンバーを殺害、または逮捕する能力により、彼らのバランスを崩している。アフガニスタンとパキスタンの国境沿いにある彼らの拠点でさえ、安全ではなくなった」。

しかしテロ専門家は、アメリカがビンラディンやザワヒリをいまだに逮捕できないでいることを指摘する。2人はパキスタンとアフガニスタンの国境地帯にいると見られているが、ハイデンは、2人の逮捕あるいは殺害はいまだに最大課題だと述べた。

(中略)ハイデンは、パキスタンの新しい政府とどのような取り引きをしたのか、それが実際なかったとしても、その内容に言及することを拒否した。「我々は現在の政府に満足している」という(後略)。

hoonU.S. Cites Big Gains Against Al-QaedaGroup Is Facing Setbacks Globally, CIA Chief Says
Joby Warrick

■アフガニスタンのNATO責任者、パキスタンは武装勢力排除に協力していないと発言[080530 New York Times]

アフガニスタンから帰国予定のNATO軍の米謝意管ダン・K・マックニールが木曜日、パキスタンは国境地帯にいる武装勢力を排除するという約束を守っていないと述べた。最近では、NATO軍やアフガン軍に協力さえしていないという。

マックニール将軍は、パキスタンが部族地帯にいる武装勢力を取り締まっていないことや、武装勢力とのと対話を始めたために、アフガニスタン東部の米軍やNATO軍に対する攻撃が頻発していると主張した。「去年期待していたような行動が、何も見られない。今までとは異なる動きをしている」(中略)。

この発言を証明するかのように、木曜日にカブール東部の国際軍の車列のそばで、車を用いた自爆があった。ここ数週間、カブールでは攻撃がなかったが、ここにきて頻発している。木曜日には警察官13人を含む24人が、道路脇に仕掛けられた爆弾や自爆攻撃で死亡。水曜日に発生したコーストとカンダハルの自爆攻撃では、1人が死亡、数人が負傷した。

マックニルによると、パキスタンは、パキスタン・アフガニスタン・NATO軍の幹部司令官会議を中止したと述べた。ここ3回ほど、会議が延期されている(中略)。

木曜日にカブールで発生したが自爆攻撃は、ジャララバード州に通じる幹線道路で発生した。この周辺にはいくつかの軍事基地がある。犯人は米軍主導軍兵士を運ぶ車を狙ったが、大きな被害はなかった。

州警察責任者のアッラー・ムハンマドによると、一般市民4人が死亡し、14人が負傷した。犠牲者の大半が、小学生だったという。

hoonNATO Chief in Afghanistan Says Pakistan's Tack on Militants Is Not as Expected
CARLOTTA GALL、KABUL

■米軍主導軍兵士、アフガニスタンで死亡、タリバンが地区を占拠[080530 AFP]

米軍主導軍兵士と武装勢力数人が、アフガニスタン各地で起きた衝突で死亡したと、関係者が金曜日に述べた。またタリバンが僻地を襲撃して、占拠した。

兵士は木曜日にファラ州で死亡した。兵士の国籍や詳細は明らかにされていない。イランと国境を接するファラ州では、最近激しい戦闘が続いている。

水曜日に国際軍の戦闘機がファラ州の武装勢力の拠点を攻撃して、パキスタン人を含むタリバン戦闘員30人を殺害したと、アフガン関係者が述べた。この戦闘でアフガン人兵士2人と警察官も死亡している。

これとは別に同盟軍が、木曜日に実施された作戦で「武装勢力数人」を殺害し、16人を逮捕したと述べた。ガズニ州における、「反政府運動を排除するためだった」という。

隊がアンダールに入り、アフガニスタンで活動する外国人戦闘員に協力したり、外国軍を狙って爆弾を仕掛けている過激派を捜索したという。「この作戦の最中、同盟軍は数人の武装勢力に襲われたために、小火器で応戦し、彼らを殺害した」。

アンダール知事のアブドゥル・ラヒーム・ダイシワルによると、この作戦で男と少年が死亡し、17人が逮捕された。死亡したり逮捕された者たちがタリバンなどの武装勢力と関係があるか、現在捜査中である。

さらにガズニで、タリバンがラシダンと呼ばれる地域を占拠し、警察責任者と行政官を捕虜にしているという。「昨晩タリバンがラシダン地区を攻撃し、占拠した」と、州の警察長官のジャン・ムハンマド・ムジャーヒッドが述べた。

タリバン報道官のザヒブッラー・ムジャーヒッドが、タリバンがラシダンを占拠していることを認めた。地区責任者と警察責任者、その他政府関係者8人を監禁しているという。「彼らは無事だが、拘束されている。我々が地区を完全に占拠している」(中略)。

政府関係者が、タリバンはいまだにアフガニスタン南部のいくつかの地域を占拠していると述べた。

hoonUS-led soldier killed in Afghanistan, district falls
KABUL

■パキスタンの主張は「偽り」とハーン[080529 BBC]

パキスタンの核科学者のアブドゥル・カディール・ハーンが、彼が核の秘密を流したという容疑は偽りだと述べた。インタビューに答えたハーンは、「国家の利益」のために、疑惑を認めるよう圧力をかけられたという。

ハーンは4年前に、核テクトロジーをイラン、北朝鮮、韓国に流したことを認めた(中略)。

ハーンは政治家や元陸軍参謀長の名前を挙げ、彼に対する疑惑は謝りで、告白するように圧力をかけられたと述べた。なぜ圧力をかけられたかという質問に対して、「誰かが責任を取れば、国家を救うことになる」。ハーンは、自宅から電話でインタビューに応じた。

政府が約束したにもかかわらず、まだ自由ではないという。「自由とは、外に出て誰かに会えるということだ」。新政府は、彼を逮捕したのではないから、釈放できないという態度を取っているという。「このようなことが続き、新しい政府が、前の政府がしたことを撤回できないというのなら、自由というものはなくなる」(中略)。

誰が彼の釈放を妨害しているか尋ねると、曖昧な答えが返ってきた。「外には警備員がいる。軍の警備員だ」(中略)。彼がメディアと話すことに対する規制が最近解かれ、釈放は近いと見られている(後略)。

smellPakistan claims 'are false'
Syed Shoaib Hasan、Islamabad

■陸軍、ムシャラフに関する報道を否定[080529 BBC]

パキスタンの政情や経済問題が顕在化する中、ムシャラフ大統領がパキスタン陸軍参謀長のアシュファク・ペルヴェズ・キヤニと会見した。

また軍報道官が、ムシャラフ大統領が選出した重要な軍関係者が異動になったことを認めた。

ムシャラフは、彼の政敵からの呼びかけを拒否し続けている。

パキスタン軍報道官のアサール・アッバスは、陸軍関係者がムシャラフと会見したことや、ムシャラフの息が掛かった関係者の異動を、「通常」の出来事と述べた。関係者がムシャラフ大統領と会ったのは彼に辞任を促すためだという、メディアの報道を否定した。

報道によると、軍はムシャラフの追随者をラワルピンディの111連隊から外したという。国防アナリストたちは、今回の異動により、軍の政府乗っ取りや文民政府解任が難しくなったという。

ムシャラフは、11月3日に更迭した裁判官たちから、強く抵抗されている。反ムシャラフ派は、裁判官を復帰させたがっている。

パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ派PML-Nが、裁判官を支持している。PML-Nは、PPPが裁判官の復帰を拒否したために、連邦政府から退いた。PPPはムシャラフに寛大すぎると批判されていたが、今週になってPPP責任者のザルダイが、ムシャラフを「過去の人物」と述べ、「人民と民主主義の間」に立ちふさがる人間と述べた(後略)。

hoonArmy plays down Musharraf report
M Ilyas Khan、Karachi

■武装勢力と新たな和平協定[080528 AP]

パキスタンは、アフガニスタンとの国境付近の地域にいる少数のタリバン戦闘員と新たな和平協定を結んだと、関係者が述べた。

モーマンド部族地帯の副行政官のサイード・アフマッドが、ウマール・ハリッドが率いる武装勢力と、政府や治安関係者を攻撃しないよう、和平協定を締結したと述べた。それぞれ拘束していた男たちを交換したという。その数については明らかにしなかったが、武装勢力が政府関係者を拘束していたと語った。

「数ヵ月前から和平協定を結ぶために尽力してきた。月曜日に調印にこぎつけた」とアフマッドが述べ、武装勢力たちはこの地域で武器を持ち歩かないことを約束したと付け加えた(後略)。

hoonNew peace deal with militants
KHAR

■部族地帯の爆発でタリバン8人死亡[080528 AFP]

水曜日にアフガニスタンと接するパキスタンの部族地帯で爆発があり、車に乗っていたタリバン8人が死亡、数人が負傷した。

バジョールのサラルザイでピックアップ・トラックが爆発してタリバンが死亡したと、地元の行政官アダラット・ハーンが述べた。「爆発で8人が死亡し、トラックは全壊した」。トラックに搭載された手榴弾が爆発した可能性があるという。

武装勢力の情報源によると、タリバンたちは、今週政府に支援された部族民警察官を襲撃したとして逮捕された戦闘員たちの処遇を決めるために、ジルガに向かっていたという。

しかし住民によると、爆発があったとき、隣のアフガニスタンからアメリカの無人偵察機が飛んできたという(後略)。

hoonBlast kills eight Taliban in tribal Pakistan: officials
KHAR

■パキスタン、タリーク・アジズウッズィンと引き換えにダドゥッラーを釈放[080528 News]

タリバン幹部責任者2人、ムッラー・オバイドゥッラー・アフンドとムッラサー・マンスール・ダドゥッラーが、タリバンとの捕虜交換で釈放されたことを『News』がつかんだ。

政府関係者は繰り返し否定しているが、2人は約2週間前にアフガニスタンに戻った。情報源によると2人は、アフガニスタン駐在パキスタン大使タリーク・アジズウッディンと陸軍関係者35人の解放と引き換えに、武装勢力数百人と一緒に解放されたという。

首相アドバイザーのレーマン・マリックに問い合わせたところ、そのような人質交換はなかったと述べた。(中略)「PPP政府は部族地帯に秩序を回復させた。ジルガに秩序を維持するように命じた。デーラ・イスマイル・ハーン〜ワナ、サッダ〜パラチナール道路の安全を確保した。ハング道路を近々再開するだろう」。

タリバン責任者2人がまだ政府の管轄下にいるかどうか尋ねたところマリックは、ムッラー・マンスール・ダドゥッラーについては知らないと述べた。しかし1人のタリバンも、釈放されていないという。

いっぽうアフガニスタンの有名なジハード組織責任者に尋ねたところ、2人とも2週間前に故郷に帰ったと述べた。「タリバン司令官2人の釈放は、パキスタン政府とタリバンとの間の人質交換の一環だった。パキスタン大使とその部下のほかに、陸軍関係者35人が解放された」(中略)。

情報源によると、タリバンが多大な圧力をかけたために、ダドゥッラーとアフンドが釈放されたという。「政府はバイトゥッラー・マフスードに圧力をかけるためにマフスード族の人間300人ほどを逮捕した。しかし思うようにいかず、最終的に政府は全員を釈放した」。

さらに情報源は、タリーク・アジズッディン大使を拉致していないというバイトゥッラー・マフスードの主張を否定した。「大使はサラルーガで監禁され、その後ラズマックで引き渡された。マフスード族の居住地だ」。政府は人質交換を拒否したために、3ヵ月も大使の解放が遅れた。しかし最終的にはタリバン司令官たちを釈放せずを得なかった(後略)。

ohPakistan swapped Dadullah for Tariq Azizuddin
Mian Abrar、ISLAMABAD

■アフガン関係者、ビンラディンはパキスタン北部に[080527 AFP]

火曜日にアフガニスタンの諜報組織幹部が、ビンラディンがアフガニスタンと国境を接するパキスタン北部に隠れているという情報を数ヵ月前に入手したと述べた。

関係者によると、ビンラディンはチトラルにいるという。「彼がチトラルにいるという情報を入手した。4〜5ヵ月前にそこにいるという情報を得た」。

(中略)先週アル・アラビアテレビが、ビンラディンがパキスタン北部にいるという情報を受けて、アメリカとアフガン関係者が軍事作戦を実施することを検討しているというパキスタン関係者の話を報道した。

ohBin Laden in northern Pakistan: Afghan official
KABUL

■パキスタンの最も恐れられている過激派[080527 BBC]

パキスタンタリバンとして知られている武装勢力たちを統率するバイトゥッラー・マフスードが、南ワジリスタンで記者会見を開いた。

(中略)マフスード司令官は最近の雑誌『タイム』で、最も影響力の強い人間100人の中に入れられた。「ビンラディンよりも恐ろしい人間」というレッテルが、貼られている。

ムシャラフ大統領は、彼がパキスタンで自爆攻撃を行なったとして、非常事態宣言を出した。CIAは、ブット女史暗殺事件の首謀者だと名指しする(中略)。

今月の初め、軍がジャーナリストたちを南ワジリスタンに招待して、1月に実施した作戦で武装勢力に勝利したことを表明しようとした。今度は武装勢力の番だ。

北ワジリスタンのミール・アリのガソリンスタンドで長間時間待たされてから、旅が始まった。約6台の車が、山々が連なる美しい谷の間を、猛スピードで走った。我々のエスコートたちは厳戒態勢だ。スピードを出すのは安全のためだ。

政府がいつも言及する軍は、この地域にほとんどいなかった。放棄されたチェックポストや、タリバンに壊された土豪がそこかしこにあった。

南ワジリスタンのマキーンで、四輪駆動車に乗り換えた。目的地はサラローガだ。タリバンの拠点である。

その晩滞在した山の頂上にあるマドラッサに到着したのは、もう夜だ。翌朝谷を下り、軍の空爆を受けた現場に連れられた。村は恐ろしい状態だった。すべての家が、何らかの被害を受けていた。完全につぶされたものもある。

「すべての金を失った」と、コットカイ地域のゴルラマ村の住民アリ・ハーンが語った。ハーンの家は、家族と避難した直後、ジェット機で爆撃された。「1980年からアラブ首長国連邦で働き、この家を建てて貯金をした」。「私の家にはタリバンはいない。なのになぜ政府はこんなことをするのか」(中略)。

最後に寄ったのは、瓦礫の山となったスピンカイのマーケットだった。店の所有者たちが怒りを表す。「自爆犯を訓練するためにこの場所を使用していたと言っている。粉引き小屋なのに」と、自分の店も破壊されたハッジ・ハーンが語った。「我々はみんな商売民人だ。もう生活の糧がない」。

そう言っている後ろで、近くの村に戻る車の列が通った。今のところ停戦協定は効果があったようだ。しかしいつまでだろう。軍は、武装勢力たちの能力を奪ったと主張する。

この質問をするとバイトゥッラー・マフスードが、我々を集めた庭で微笑みながら首を振った。「タリバンは言葉を守る」。「政府次第だ。彼らが約束を守るか。それともアメリカへの忠実を守るか」。いつまでもアメリカに追随するのなら、武装勢力たちには選択肢はない。抵抗運動を選ぶ。「パキスタンや軍とは戦いたくない。しかしもし彼らがアメリカの奴隷であり続けるのなら、我々も仕方ない。アメリカとの取り引きはあり得ない」。

garrMeeting Pakistan's most feared militant

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2008.