【2008年6月30日〜 7月6日】
●日曜日にイスラマバードで、軍隊によるラール・マスジッド突入の1周年に合わせて行なわれた、原理主義者たちの集会を警備していた警察官を狙って自爆攻撃があり、15人が死亡した。
●数千人の原理主義者たちがムシャラフの公開処刑を要求したあと、犯人が集まった警察官の間に入り込み、自爆した(中略)。
●「若い男が警察官の間に歩いていき、自爆した」と、ある警備関係者が述べた。「集会が解散になった15分後のことだ。警備していた警察官たちがモスクから数百メートル離れた交差点にいた。彼らが攻撃された」(後略)。
Suicide bomber at Pakistan Red Mosque rally kills 15●水曜日に武装した準軍隊が、パキスタンの北西辺境州の部族民の村に通じる道路を封鎖し、閑散としたバザールをパトロールした。過激派に対する作戦は5日目を迎えて逮捕者が出たが、戦闘は起きていない。
●カイバル行政区で隊が、地元の過激は責任者、マンガル・バーの追随者10人を逮捕し、彼らが乗っていたピックアップ・トラックから武器を押収した。国境警察隊の基地を訪れた報道陣たちに、目隠しをされた逮捕者たちが公開された。男たちは、ティラ谷に武器を運ぼうとしていたところを、逮捕されたという。
●敵対組織であるアンサール・ウル・イスラームとバーが率いるラシュカレ・イスラームは、パキスタン軍がバラ周辺で軍事作戦を実施する最中も、互いに攻撃し合っている。
●(中略)水曜日にパキスタンのテレビが放映したインタビューで、バーは、自分はペシャワルを占拠するつもりなく、政府と戦ったこともないと述べた。自分が率いるラシュカレ・イスラームはここ3年間、この地域から犯罪者を一掃するために犠牲を「払って」きたという(後略)。
Pakistani forces round up militants●週末に10時間に及んだ作戦が実施され、パキスタンは、準軍隊がカイバル行政区をタリバンから解放したと述べた(中略)。
●カイバル行政区は、ナンガルハル州にいるNATO軍に物資を送る補給路である。数人のタリバンは隠れ家から追い払われたかもしれないが、今回の作戦は的外れな場所と人間を標的にしたもので、政府がパキスタン人タリバンと対戦するつもりがないことが、改めて浮き彫りになった。
●準軍隊の車列に乗っていたのが、カイバル行政区の自称親タリバン系組織、Amal Bil Maroof Nahi Anil Munkir責任者のハッジ・ナマンダールだった。彼の組織が今回の作戦の標的であるはずなので、彼の存在は極秘である。
●ナマンダールが同行したのは、武装勢力との衝突を最小限に留めるためだ。4人が逮捕されたが、殺害された者は1人もいない。
●ハッジ・ナマンダールは、非常に保守的な人間である。サラフィ派であるが、タリバンやアルカイダに声をかけられ、NATO軍の補給線攻撃に協力することを頼まれた。ハッジ・ナマンダールはこれに同意したが、その後4月にタリバンを裏切り、アメリカの諜報組織に15万ドルの報酬をもらった。
●その数週間後、ハッジ・ナマンダールは自爆攻撃の標的となったが、逃げ延びた。そして月曜日にはペシャワル郊外にある彼の事務所がミサイルで攻撃されたが、再び無事だった。この攻撃で、7人が死亡した。
●週末の軍事作戦の標的は、バスの掃除夫から司令官になったマンガル・バーが率いるラシュカレ・イスラームと、スーフィの組織、アンサール・ウル・イスラーム、そしてハッジ・ナマンダールの組織である。これらの組織はタリバンの一派で、カイバル行政区をタリバン化しようとしているということだった。
●アメリカは、NATO軍の補給線のことを心配していた。作戦を実行することに決めた理由は、ブッシュがムシャラフに、パキスタンにF16戦闘機4機を輸送することを約束したからだ(中略)。
●標的となった組織は、タリバンに共鳴しているものの、直接関係のない組織だ。軍は、「本当のタリバン」と対戦することを後伸ばしにして、時間稼ぎをしているに過ぎない。
●ハッジ・ナマンダールに裏切られたため、タリバンの力の中心は、南ワジリスタン、スワート、ダラ・アダム・ヘールである。
●しかし、カイバル行政区に軍が入ったことで、パキスタン人タリバンに好機が訪れた。最初のハッジ・ナマンダール攻撃の首謀者と言われるバイトゥッラー・マフスードは、カイバル行政区の非タリバン戦闘員に、自分たちをアピールして協力を仰いだ。
●さらにバイトゥッラー・マフスードは、政府との和平協定を破棄することを表明し、政府がタリバンを攻撃したら、自分の部下をどこにでも派遣すると述べた。
●イスラマバードは、パキスタン国内のタリバンの基地を一掃するよう、ワシントンから圧力をかけられている。誕生してまだ数ヵ月の連立政府は、すでに崩壊目前である(中略)。タリバンはアフガニスタンに集中したく、パキスタンで戦いたくない。カイバル行政区の出来事は、ワシントンを含めて全員が満足するための茶番劇である。
Smoke and mirrors in the Khyber Valley●パキスタン軍が火曜日、カイバル行政区にある過激派の2つの建物を取り壊した。過激派に対する作戦は、4日目を迎えた。
●(中略)。火曜日に治安部隊が、カンジューリ地区にあるラシュカレ・イスラーム(LI)の地元本部として使用されていた、空の建物を爆破した。建物はラシュカレ・イスラームの創始者である、ムフティ・ムニール・シャキールのものだった。「ダイナマイトで爆破したときに建物は空だったために、負傷したり逮捕されたものは誰もいない」と、ある関係者が述べた。
●これとは別に、ラシュカレ・イスラームのメンバーが、組織と対立していた宗教指導者であるマンガル・バーの空の家を、アフガニスタンとの国境近くのピール・イレイ町で攻撃した。隊がLIのメンバーを追い払ったあと、タリバン系のアンサール・ウル・イスラームの責任者であるピール・サイフール・レーマン所有の家を、爆破した。バー自身の家は、土曜日にパキスタン軍に爆破されている(中略)。
●別の過激派責任者、ハッジ・ナマンダールの家も月曜日に爆破され、6人が死亡した。無事だったナマンダールによると、作戦で1人が死亡したが、それ以外の犠牲者はいないと述べている(後略)。
Pakistani forces demolish militant-linked buildings: official●バラで爆発があったが、タリバン報道官のモーラビ・オマルは無事だった。カイバル行政区における軍の作戦は、3日目を迎えた。
●爆発は、Amr Bil Maroof Wa Nahi Anil Munkarを率いるハッジ・ナマンダールの支持者が所有する建物で起き、7人が死亡し、9人が負傷した。ナマンダールの報道官のムンシフ・ハーン・アフリディが、爆発があった当時、モーラビ・オマルが建物の中にいて、ハッジ・ナマンダールとバイトゥッラー・マフスードとの間を取り持とうとしていたという。オマルは無事だった。
●カイバル行政府によると、爆発の原因を現在捜査中だが、建物に備蓄された爆発物が爆発したのではないかという。しかし、ある関係者によると、爆発は軍事作戦の一環だったという。またナマンダールは「誘導ミサイルによる攻撃のようだった」と述べた。「パキスタンとNATO軍の仕業だ。報復する」。建物に対する攻撃は、連邦政府がバラを拠点とするラシュカレ・イスラーム、アンサルール・イスラーム、Amr Bil Maroof Wa Nahi Anil Munkarの活動を禁止した翌日に起きた。(後略)
Maulvi Omar escapes Bara blast●カブールと隣接する州で、米軍のブラックホーク・ヘリコプターが墜落した。ロケット推進手榴弾で撃墜されたという。
●パイロットはヘリコプターを無事に着陸させ、炎上する前に乗員は脱出した。これまでアフガニスタンには多数のヘリコプターが撃墜されている。ヘルマンドではチヌークが撃墜され、7人が死亡した。
●(中略)ブラックホークは、タリバンの拠点があるといわれるロガール州で、地上に近い位置で飛行していたところを「小火器」で攻撃されたという。ブラックホークは墜落で炎上し、残骸は精密誘導ミサイルで完全に破壊された。
●数日前には別のブラックホークが着陸の際に墜落し、砂埃をたてて回転した。またクナールではチヌークが、エンジントラブルのために墜落。1週間前にはカンダハルで小さな偵察ヘリコプターが墜落した(後略)。
US helicopter downed near Kabul●日曜日にパキスタンの準軍隊が武装勢力をペシャワルから一掃し、組織のメンバーの家や拠点を破壊した。しかし武装勢力のリーダーは、無事のようだ。
●武装勢力たちが、政府軍によって爆撃された、カイバル行政区にある自分たちのリーダーであるマンガル・バーの家を点検した。バーは日曜日、パキスタンの治安部隊が爆破した家や基地があったカイバル行政区のバラから100マイル離れたティラ谷にいたと、バラの住民が電話で語った。
●カイバル行政区で活動するマンガル・バーの戦闘員たちは、ペシャワルで誘拐を繰り返している。マンガル・バーは、元はバス清掃夫とポディーガードをしていたが、3年前から頭角を現し、ラシュカレ・イスラームの責任者となった。『News』紙に電話で、自分たちはパキスタン軍に抵抗していないと語り、自分たちの兄弟だと述べた。
●バラの住民によると、バーはティラ谷のカジ・メヘブーブが率いるアンサールウル・イスラームと対立しているという。ティラ谷では、バーの軍が大きくアンサールに敗北している。
●パキスタン内務省関係者が日曜日に、治安部隊の作戦は成功したと述べたが、マンガル・バーの武装した戦闘員たちは、1人も殺害されていない(中略)。
●マンガル・バーは、テヘリーケ・タリバンの傘下には入っていない。しかしPromotion of Virtue and Prevention of Viceという組織を率いるハッジ・ナマンダルの協力を得て、強力になった。日曜日にナマンダルは、カイバル行政区にいる追随者たちに、パキスタン治安軍と戦うよう、呼びかけた。
●政府は今回の作戦をイスラーム過激派ではなく、「犯罪者」の取り締まりと称している。これはバイトゥッラー・マフスードを意識したものである(中略)。しかしバイトゥッラー・マフスードの腹心のハッジ・ムスリム・ハーンが土曜日に、政府による土曜日の攻撃のために、スワートで政府と締結しようとしていた和平協定を取り下げると表明した。
●これに対してスワートの弁護士は、いずれにしても和平協定は失敗したと述べた。先週タリバンがスワートのリゾート・ホテルに放火し、スキー・リフトを壊した。女子校も爆破された。一般市民を残虐に殺している。
●マフスードの報道官は、ダラ・アダム・ヘールで締結しようとしていた協定も取り下げるという。2週間前にタリバンは犯罪者だという3人の男たちをロバに乗せて、覆面を被せてバザールを引き回した。
●マンガル・バーに対する週末の行動で、一応ペシャワルは救われたかもしれない。しかし、これは一時しのぎにすぎない(後略)。
Pakistani Forces Appear to Push Back Militants●月曜日にパキスタンの部族地帯で強力な爆発があり、8人が死亡した(中略)。カイバル部族地帯で爆発があった。現場の住民によると、地元過激派リーダーのハッジ・ナマンダルの支持者の家が狙われた。近くに住むナワーズ・ハーン・アフリディが、8人の遺体を目撃したという。Vice and Virtue Movementを率いるナマンダルは、アフガニスタンで越境攻撃をしていると言われる。
●カイバル部族地帯の行政関係者によると、少なくとも5人が死亡し、3人が負傷した。治安部隊が建物を攻撃したのではないとも述べた。
●(中略)武装勢力たちは、アフガニスタンからミサイルで攻撃された可能性があると述べた(中略)。ナマンダルの組織の報道官が、ミサイル攻撃による爆発で、6人が死亡したいう。爆発の前に「アフガニスタンの方角から閃光が見えたと仲間が言っている」。バラ村は、アフガニスタンとの国境から約25マイル離れている。
●(中略)カイバルでは、ラシュカレ・イスラーム、アンサール・イスラーム、そしてハッジ・ナマンダルの組織の3組織が活動しているが、「政府は彼らの活動を阻止しよう」としているという。ナマンダルは、自分たちは政府に対立していないと述べるが、国境沿いに住む部族民の独立を主張した。「我々は宗教活動をしている。我々は聖戦の準備を行なう聖戦士だ。我々は活動する。だから我々は攻撃される」。
●関係者によると、治安部隊が武装勢力の4つの施設を壊した。ラジオ局を破壊し、地下の拷問部屋も発見された。しかし隊はほとんど抵抗されておらず、武装勢力1人しか殺害していない(後略)。
Explosion at militant compound in Pakistan●カイバル地域の過激派リーダーの家が爆発で破壊され、少なくとも7人が死亡したと関係者が述べた。建物内に備蓄された爆発物が爆発したのか、ミサイルで攻撃されたかは明らかではない。
●治安部隊が先週末、この地域の過激派一掃のために動き出した。
●これとは別に、ラワルピンディでは大きな爆発音が聞こえたが、飛行機の衝撃音で、爆弾ではないようだという。関係者によると、「重要な施設」はすべて安全で、ピンディの軍関係施設では爆発は起きていないと述べた。「衝撃音のようだが、現在捜査中」だという。
●カイバルの関係者が語ったところによると、この地域で活動している3つの武装勢力のうちの1つのリーダー、ハッジ・ナマンダルの家が爆破された。「目撃者の中にはミサイルで攻撃されたと言っている者もいるが、家に備蓄された爆発物が爆発した可能性もある」と、地元関係者が述べた。
●(中略)さらに軍は、この地域の別の場所から、8人の遺体を回収したという。クラム部族地帯で遺体で発見された8人の男たちは、武装勢力に殺害されたらしい。「全員頭と胸に銃弾を受けていた。首を斬られた者はいない」。
●『BBC』のイリヤス・ハーンは、クラム行政区でタリバンが処刑を行なった初めての例だと述べた。「これらは宗派の抗争ではない」と、クラム行政区の政府関係者、アタウル・ラーマンが述べた。
●準軍隊による作戦で、カイバル行政区東部の武装勢力リーダーたちの家が破壊された。治安部隊は今のところ、抵抗されていないという。武装勢力は、アフガニスタンとの国境沿いの山中に退去したようだ。
●日曜日に親タリバン系組織の報道官であるモーラビ・オマルが、「政府が約束を破っているのでは、話し合いを続けることはできない」と述べた。パキスタンの新政府は春以来、武装勢力と平和に向けての話し合いを開始していた。
Pakistan militant house destroyed