【2008年7月7日〜 7月13日】
●日曜日にタリバン武装勢力が、パキスタンの北西部の襲撃で殺害した準軍隊兵士17人の遺体を引き渡した。
●死者は、ハング郊外の城塞に向かっていた車列に乗っていた兵士たちで、土曜日に抵抗勢力たちにロケット推進手榴弾やライフルで襲撃された。
●その後土曜日の夜遅くまで続いた戦いで、地元タリバン司令官のラジームを含めた武装勢力3人が死亡し、6人が負傷したという(中略)。
●いっぽうハングでは外出禁止令が出されて、4日目に入った。
Militants hand over bodies of 17 troops killed in Pakistan●土曜日にタリバン武装勢力がパキスタンの準軍隊の車列を襲撃し、兵士16人を殺害、数人を負傷させた。
●車列が、アフガニスタンとの国境近くのハング地区にある城塞に向かう途中、ロケット推進手榴弾やライフルを持った抵抗勢力に襲撃された(中略)。ある関係者によると、兵士16人がハング郊外のザルガリ付近で殺害されたという。
●治安部隊がヘリコプター戦闘機や大砲を用いて、タリバンの位置を攻撃した。「国境警察隊員16人が襲撃で死亡し、数人が負傷した。軍が応戦したが、タリバン側の犠牲者の数はわからない」という。
●地元関係者のファザン・ハーンによると、土曜日の攻撃にはタリバン抵抗勢力数百人が参加した。「タリバン数百人が車列を襲撃し、治安部隊が兵士の遺体を回収するのを、数時間の間妨害した」(後略)。
16 Pakistani troops killed in ambush: official●ハングのドアバ地域では木曜日に戒厳令が出され、金曜日には治安部隊がタリバンの捜索を続け、各地から19人が逮捕された。
●いっぽうバイトゥッラー・マフスードが率いる武装勢力は、ハングから治安部隊員29人を拉致し、軍事作戦をすぐさま中止して逮捕した仲間を釈放しなければ、1人ずつ殺害すると脅迫した。
●「土曜日の2時までに仲間を釈放しなければ、捕虜となっている兵士を殺害せざるを得ない」と、テヘリーケ・タリバン・パキスタンの報道官であるモーラビ・オマルが述べた。
●オマルによると、警察がドウバ・バザールから、何もしていない平和的な自分たちの仲間を逮捕したために、パキスタン陸軍兵士12人と準軍隊兵士8人、警察官7人をドアバとサール地域から拉致したという。
●木曜日、警察がタリバン司令官のラフィウッディンを含む武装勢力7人を逮捕したために、タリバンがドアバにある警察署を占拠した。ラフィウッディンは、バイトゥッラー・マフスードの腹心だという噂もある。
●パキスタン陸軍と国境警察隊、警察官を含む治安部隊が町を捜索し、さらに19人の武装勢力を逮捕した。隊は町に重火器や大砲を運び込み、幹線道路や要所に陣取っている(中略)。
●各地から多数の武装勢力が、ハングにいる地元タリバンに協力するために、集まり始めたともいわれる。
Taliban threaten to kill 29 captive soldiersSaturday, July PESHAWAR/HANGU●(前略)パキスタンは、タリバン内の過激派たちを孤立させ、部族出身の、田舎者で単純な「タリバン・ボーイズ」を育てようとしている(中略)。この新たな部族民タリバンが、これまでのタリバンやアルカイダの過激主義と入れ換わることを望んでいる。
●この動きは、すでにパキスタンの部族地帯で始まっている。パキスタン人タリバン責任者の1人で、アフガニスタンにいる同盟軍と勢力的に戦っている南ワジリスタンのハッジ・ナジールが、最近大きな集会を開き、南ワジリスタンからウズベク人過激派を追い出そうとしている。去年の初めにも、このような動きがあった。
●ナジールは、もし抵抗されれば、ウズベク人擁護者のバイトゥッラー・マフスードとも対決する構えだ。ナジールはパキスタンの治安部隊と親密で、他のパキスタン人タリバン責任者である、バジョールのモーラビ・ファキールやモーマンド行政区のシャー・ハリッドや、カイバル行政区のハッジ・ナマンダールとも親しい。北ワジリスタンのハーフィズ・グル・バハドゥール司令官を、ナジールはパキスタン人タリバンの責任者に指名した。
●パキスタン人タリバンの大半は親パキスタン派で、バイトゥッラーとその外国人のような過激派と対立してきた。しかし過激派と直接対戦するために正式な組織を作り、責任者を任命するのは初めてのことである。
●彼らの信念の根底には部族民的価値観があり、欧米軍と戦うアフガニスタンの抵抗運動を支持する。しかしヨーロッパやアメリカを攻撃するというような、グローバルの使命は持っていない。
●責任者の呼びかけに応じて、アフガニスタン東部の重要なアフガンタリバン司令官が、この新しいパキスタン人タリバン組織に協力を申し出た。ナンガハール州の元タリバン知事だったモーラビ・アブドゥル・カビール、そしてサダルウッディン司令官である。今のところ東部の最も重要な司令官、モーラナ・ジャラウッディン・ハッカーニは中庸の立場にいる。パキスタンに近いこと、また過激派のキャンプと近いからであろう。
●これに先立ちヒズビ・イスラミのグルブッディン・ヘクマチアルも、北東部のカピサ州とワルダック州で作戦が成功したことを表明している。この展開も重要だ。
●アフガニスタン東部では、このような新たな動きが始まっている。これらのグループがパキスタンの協力を得て、さらに非過激主義的な部族民の抵抗運動であるカンダハルのタリバンとも協力すれば、イスラマバードはワシントンに重要なプロポーザルができるだろう。
●つまり、今回は土地っ子タリバンだけのジルガを再開し、次期大統領選挙に先立ち、武器を捨てることや新たな政治的な役目について話し合うのだ
Afghanistan's 'sons of the soil' rise up●アフガニスタン政府の調査団によると、アフガニスタン東部で日曜日に米軍が行なった空爆で、一般市民47人が死亡したという。そのうちの39人が女性と子供だった。
●当時は、ナンガルハルの空爆で20人が殺害されたと報告された。米軍によると、死亡したのは全員武装勢力だった。しかし地元の人々によると、結婚式に集まった客が犠牲になったという(中略)。
●カルザイ大統領は日曜日の事件を調べるために、9人からなる調査委員会を組織した。「我々の調査から、米軍の爆撃で市民47人が死亡し、9人が負傷したことがわかった」と、国会議員のブルハヌッラー・シンワリが述べた。「39人が女性と子供だった。そのうちの8人は、14〜18歳だった」。
●当時米軍は、NATO軍の基地を迫撃砲で攻撃した武装勢力を殺害したと発表していた。事件は国境付近のデー・バラで起きた(後略)。
US 'killed 47 Afghan civilians'●アフガニスタンからの攻撃でパキスタン軍兵士8人が負傷したと、関係者と目撃者が述べた。関係者によると、このほかに近くの森林地帯も爆撃されたという。
●攻撃された軍のポストは、パキスタン国境内に数百メートル入った所にあった。先月もアフガニスタンの米軍の空爆で、パキスタン兵11人が死亡している。
●パキスタンの関係者によると、アフガニスタンのバルマル地域で活動している同盟軍に攻撃されたという。南ワジリスタンにいるパキスタン人関係者によると、負傷者たちはワナにヘリコプターで運ばれて手当を受けている。イスラマバードの軍関係者が、爆撃により負傷者が発生したことを認めたが、それ以上のことは話さなかった(後略)。
'US strike' hits Pakistan troops●米軍と諜報組織関係者は、最近パキスタンに入ってくる外国人戦闘員の数が増していると指摘する。西アジア、北アフリカ、中央アジアのスンナ派の過激派は、最近ではイラクではなくパキスタンを目指し、欧米に武器を向け始めた。
●数十人、あるいはもっと多くのグループになってパキスタンに入り、部族地帯にいるアルカイダ軍がますます強化されつつある。アルカイダはタリバンを支援し、アフガニスタンにいる米軍に対する攻撃はますます激しくなってきた。
●米関係者によると、部族地帯に入る戦闘員の多数がウズベク人、北アフリカ人、そして湾岸諸国のアラブ人である。米諜報関係者は、ジハードのウェブサイトが、外国人過激派にパキスタンやアフガニスタンに行くように呼びかけている。イラクに比べて「勝算のある」戦いだと考えられているようだ。
●イラクに入ってくる戦闘員たちは、去年は月に110人だったのが40人に減ったと、バグダードの軍報道官が水曜日に述べた。「パキスタンの部族地帯や北西辺境州にはもっと多くの者が入り、これまで以上に大きな問題になってきた」と、アフガニスタンの新たなNATO軍司令官のデビッド・マックキエルナンが語った。「穴だらけの国境線のために、武装勢力たちは自由に国境を越え、補給物資も入る。リーダーたちは隠れ家を維持・強化し、戦闘員を送り出す」。
●外国人戦闘員のなかには、旅客機に乗ってパキスタンに到着し、その後、車かバスに乗って部族地帯に入る。中には陸路でイランから、バローチスタンを経由して入ってくる者もいる。「去年よりも非パシュトゥーン人戦闘員が増えた」と、マックキエルナン将軍が述べた。
●米諜報関係者の中には、流入する戦闘員の数はまだ比較的少なく数十人にすぎないと述べる者もいるが、軍やアナリストの中には、150〜500人のハードコア・アルカイダ戦闘員が部族地帯で活動していると語る。そしてアルカイダはアフガニスタンやイラクで戦う戦闘員や自爆者たちを、いまだに募集しているらしい。
●アフガニスタン東部では、去年に比べて攻撃の数が40%も上がった(中略)。「タリバンなどの抵抗勢力がパキスタンから越境していること、パキスタン側が国境の取り締まりを十分しないことが、大きな問題だ」と、国防省のロバート・ゲイツは語る。「パキスタン政府とこの地域について話し合わなければならない」。
●ブッシュ政権は、なんとかアフガニスタンとパキスタン政府と協力して、政治的、外交的、軍隊的な方策を使用して、抵抗運動を一掃しようとしている。しかしパキスタンの新たな連立政権との取り引きは、なかなか難しいようだ。
●(中略)「以前はムシャラフに頼めばよかった」と、ある関係者が語る。「今はもっと大変だ。効果的な解決策がない。今後の6ヵ月は、以前の6ヵ月とはずいぶん違ってくるだろう」。
●(中略)アメリカが部族地帯で空爆を実施する可能性は、限定的なものだ。CIAは武器を搭載した無人偵察機の準備があるが、ペンタゴンが部族地帯で特殊部隊を展開させるかどうかは、ブッシュ政権の関係者によっていまだに論議されている。ペンタゴンは最近、航空母艦アブラハム・リンカーンをペルシャ湾からアラビア海に移した。アフガニスタンの戦いを支援する航空母艦が搭載しているFA-18ホーネットとスーパー・ホーネット48機爆撃機が、現場に到着する時間を節約するためだ。
●ブッシュの本土保安アドバイザーのケニス・ウェインスタインが、先月サウジアラビア、イエメン、カタール、クウェートを訪れた。これらの国々の指導者たちに、部族地帯の抵抗運動のために戦闘員たちを送り込んだり資金を提供する組織を取り締まるように、協力を呼びかけるためだ。
●(中略)アメリカは、パキスタンの陸軍参謀長のキアニ将軍に対する支持を続けている。キアニは先月新文民政府から、「信憑性のある諜報情報」があった場合、部族地帯と北西辺境州で軍事作戦を実施する権限を与えられた。
●米関係者は、国境警察隊やパキスタン軍やISIが、抵抗勢力が越境攻撃することを見て見ぬふりをしていると語る。「パキスタンは、部族の長老、国境警察隊、陸軍をどのように扱ったらいいか、混乱しているようだ」。「アメリカとパキスタンの関係は最近悪化しており、問題をさらに深刻化させている」。
Pakistan Is Said to Be Attracting Insurgents●カルザイ大統領の報道官が、月曜日に発生した爆弾攻撃の背後には「外国人」がいると述べた。フマユン・ハミッドザダはパキスタンのISIを名指しこそしなかったが、暗にほのめかした。
●パキスタンは、爆発に関与していることを否定している。タリバンも、攻撃には関わっていないと述べた。
●(中略)「今回の攻撃が非常に洗練されたものだったことや、爆弾製造に使用された材料や標的を考えると、すべてがある特定の諜報組織にたどりつく。これまでもこの組織は、アフガニスタン内部で同じようなテロ行為を行なっている」。「これだけのことを言うに足りる材料がそろっている」と、ハミッドザダが述べた。
●アフガン政府は、4月のカルザイ大統領暗殺未遂に対しても、ISIを非難している(後略)。
Afghans point finger over bombing●カラチでは月曜日に6件の爆発事件があり、1人が死亡、37人が負傷した(中略)。
●「カラチのパシュトゥーン族街で一連の爆発があり、1人が死亡、30人が負傷した。爆発はそれほど強い威力のものではなかった」(中略)。「爆発の目的は、街を恐怖に陥れることだった。またカラチの民族間の対立を、煽動することが目的だったのかもしれない」。
Multiple bombs kill one, wound 37 in Pakistan's Karachi●月曜日に爆発物を搭載した車をアフガニスタンにあるインド大使館の玄関に激突させ、インド人4人を含む40人以上が死亡した。
●(中略)原理主義者たちの報道官は、今回の攻撃にタリバンは関与していないと発表した。「我々はやってはいない」と、ザビブッラー・ムジャーヒッドが述べた(後略)。
40 dead in suicide attack on India's Afghanistan embassy