【2008年8月25日〜 8月31日】
●パキスタン軍は、ここ3週間、部族地帯にいるタリバンに対して戦闘ヘリコプターやジェット戦闘機を使用している(中略)。
●ある軍関係者によると、バジョールではタリバン400人が死亡したという(中略)。しかし土曜日、パキスタン政府は水曜日に始まるラマダンに合わせて、停戦を宣言した。部族地帯出身者が多いイスラーム神学者協会が、空爆を中止すればザルダリを支持することを表明したために、取り引きが交わされた。
●(中略)停戦により、これまでの政府の努力が台無しになる恐れがある。タリバンはこの機を利用して、態勢を立て直すと見られている。「武装勢力に対して立ち上がったコミューニティーもあるのに、政府はこれを利用していない」と、北西辺境州の元責任者のハリッド・アジーズが述べた。
●ラマダン後も停戦がつづくかどうかは、明らかではない。
●(中略)パキスタン陸軍参謀長のキヤニ将軍は、先週アラビア海の航空母艦で、統合参謀本部のマイク・ミューレンと会談している(中略)。
●パキスタン軍は、バジョールの武装勢力の激しい抵抗にあっている。バジョールの準軍隊を率いるシャッバース・ラスール大佐によると、空爆でタリバン400人以上が死亡したという。いっぽう諜報組織関係者によると、タリバンの犠牲者数は200人で、正確な数はわからない。
●ラスール大佐によると、タリバン戦闘員たちは自分の部下たちよりも給料が良く、やる気もあるという。約2400人のタリバンが、4人の司令官の下で動いている。中でもファキール・ムハンマドが率いる1200人のグループが最大だという。ファキールは、テヘリーケ・タリバンの副司令官である。ファキールは死亡したという噂があったが、その後ラジオインタビューに登場し、戦闘機に攻撃される直前に車から飛び降りたと述べた。
●国境警察の兵士たちは、空爆が始まって以来、カールの城塞に篭城している。8月の始め、兵士たちがタリバンからロエ・サムを奪回しようとしたところ、3日間の激しい戦闘になり、29人の兵士を失った(中略)。「武装勢力たちが、洗練された武器をもって大勢で襲撃してきた」。
●テヘリーケ・タリバン報道官のモーラビ・オマルが金曜日、タリバンはロエ・サムの戦いで仲間6人を失っただけだという。オマルはザルダリを批判して、アメリカのために行動していると述べた。
●(中略)政府が停戦を宣言したことで、バジョールから避難した住民が、自宅に戻ろうとしている(後略)。
Cease-Fire by Pakistan in Attacks on Militants●ジェット戦闘機がパキスタンの北西部のタリバンの隠れ家を攻撃し、少なくとも武装勢力40人が死亡したと、軍が土曜日に発表した。
●これとは別に、アフガニスタンとの国境付近の民家が爆発し、5人が死亡した。地元政府関係者によると、ミサイル攻撃だったというが、はっきりしたことはわからない。
●(中略)軍の報道官、ナシール・アリ中佐によると、ジェット戦闘機がスワートの武装勢力の隠れ家を攻撃し、少なくともタリバン40人が死亡した。
●タリバン報道官のムスリム・ハーンが、仲間8人が死亡し、その中には地元司令官がいたと述べた。
●(中略)土曜日にはワナで民家が爆発し、武装勢力5人が死亡したという。軍報道官のムラッド・ハーン中佐によると、爆発のことは聞いているが、ミサイル攻撃だったかどうかはわからないという(後略)。
Pakistan jets kill 40 Taliban in new fighting●土曜日に南ワジリスタンのコルザイ地域の民家がミサイルで攻撃され、アラブ系カナダ人2人を含む4人が死亡した。
●住民によると、午後4時半頃、ヌール・ハーン・ガンギヘールという男の家がミサイルで攻撃された。負傷したパンジャーブ人が、地元の病院に運ばれた。
Two Canadians killed in Wana missile attack●日曜日にパキスタンの国境地帯で、無人偵察機がミサイルを発射し、武装勢力6人が殺害された。
●ミランシャーから10キロ南東にあるタッピ村で、民家がミサイルで攻撃された。「6人が死亡し、8人が負傷した」と、治安関係者が述べた。「死者のほとんどが外国人で、アラブ人やウズベク人が含まれている」。住民によると、ミサイルは無人偵察機から発射され、攻撃された民家は地元の部族民のもので、武装勢力に貸していたという。
●土曜日には南ワジリスタンでもミサイルによる攻撃があり、少なくとも5人が死亡している。
Six dead in Pakistan missile strike●カイバル行政区で活動する過激派組織、ラシュカレ・イスラームの責任者マンガル・バーが、ランディコタルまでを自分の管轄下に入れたと主張し、今後この地域は自分たちが支配すると述べた。マンガル・バーは、カイバル行政区で反社会的、反イスラーム的な行為は許さないと主張し、目的を達成するためには手段は選ばないという。
Mangal Bagh extends 'control' to Landikotal●バヌーとコハートを結ぶクラム・タンギ橋でバヌー警察の護送車が爆発し、警察官7人と一般市民3人が死亡、16人が負傷した。
●警察によると、警察の車はバヌーの中央刑務所に向かう途中で、囚人たちを法廷に連れて行く予定だったという。
●目撃者によると、何者かがクラム橋の真ん中にボンネットを開けたままの白いスズキを置いたままにしていたという。警察の車が橋の真ん中にさしかかると、車は遠隔操作で爆発した。「強力な爆発だったために、警察官の遺体が飛び散り、クラム橋の中央に大きなクレーターができた」(後略)。
Seven cops among 10 killed in Bannu police van blast●パキスタン北西部で、爆発物を搭載した車に乗った自爆犯が政府軍に激突し、2人が死亡、30人以上が負傷した。
●犯人は、ダラ・アダム・ヘールのトンネルのそばにある検問所を攻撃した。「自爆攻撃だった。犯人がトンネルの入り口にあった治安部隊のキャンプに、車を激突させた」と、ハイウェイの関係者、シャキール・アフマッドが述べた。地元の警察官によると、一般市民2人が死亡し、31人が負傷した。
●治安関係者によると、ダラ・アダム・ヘールは、アルカイダと関係を持つスンナ派ムスリムの過激派組織、ラシュカレ・ジャングヴィの拠点となっている。
Two dead, 31 wounded in Pakistan suicide blast: officials●木曜日に、スワートのカーバル地域にあるバラ・バンダイとコザ・バンダイで治安部隊がタリバンを攻撃し、武装勢力23人を殺害した。また一般市民8人も死亡した。
●軍によると、スワートのタリバン報道官、マカン・バーの義理の息子と弟を含む、武装勢力7人を逮捕した。コプラ戦闘ヘリコプターがカーバルにある武装勢力の隠れ家を攻撃し、武装勢力14人を殺害。コザ・バンダイでも数十人を負傷させた(後略)。
31 killed in Swat fighting●パキスタンで刑務所のバスが爆発し、7人が死亡した。
●バヌーの近くで起きた爆発で、警察官6人と一般市民1人が死亡した。橋の上に駐車していた車に爆発物が仕掛けられ、刑務所のバスが近づいたときに、遠隔操作で爆発した。
●地元の警察官が語ったところによると、「警察官6人と一般市民1人が死亡した。刑務所のバスは、裁判所に出廷予定だった囚人を迎えに行く途中だった」という。
●「クラム川に架けられた橋の近くに、爆発物を搭載した車が駐車していた。バスが近づくと、リモート・コントロールで爆発した」(後略)。
Pakistan car bomb hits jail bus●火曜日に統合参謀本部の責任者が、アメリカとパキスタンの司令官たちとインド洋上の航空母艦で異例の会合を開き、パキスタンとアフガニスタンの間の地域で発生している武力衝突と戦う方法を話し合った。
●関係者たちは、この会談の内容についてほとんど語らなかった。この会談を代表するのは、米総合参謀本部のマイク・ミュレン提督とパキスタン陸軍参謀長のアシュファク・キヤニ将軍である。
●アブラハム・リンカーン航空母艦に合流したのは、イラクの米軍総指揮官のデビッド・ペトルス、そしてアフガニスタンのNATO軍総責任者デビッド・マッキエルナン、特殊部隊責任者エリック・オルソン提督、中東における米軍現司令官のマーティン・デンブシー准将、パキスタンの米軍連絡官マイケル・ルフィーバー中将である。
●会談は、さまざまな事情のために開催された。まずパキスタンでは混乱が続き、アフガニスタンではアフガン人や欧米人に対する攻撃が続いている。またパキスタン軍が、国内にいる武装勢力の取り締まりをしていないことなどである。
●アメリカの関係者は、先週アフガニスタンで起きたタリバンの攻撃2件を話題にした。米軍基地が10人の自爆攻撃者に攻撃されたことと、フランスのパラシュート隊が襲撃されて、仏兵10人が死亡した出来事である。
●「会談は、国境沿いの過激派に対する対処法、また問題解決の方法を、今後も話し合うためのものだった」と、ある関係者が語った。
●ミュレンは1ヵ月前にもイスラマバードでキアニと会談している。今回の会談は、そのときに計画されたという。その際ミュレンはキアニに、パキスタンは部族地帯でもっと行動するべきだと警告した。
●アブラハム・リンカーンで行なわれた会談は、この時よりも和やかに行なわれたという。「問題解決のための会談で、問題を理解し、前向きに検討するためのものだった」と、あるパキスタン人関係者が語った。
●両国の軍関係者は、アメリかの特殊部隊がパキスタンの部族地帯で行動することが許されたかどうかは、語らなかった(後略)。
U.S.-Pakistani Brainstorming on Border Violence●水曜日に警察が、前日拉致された日本人の銃殺された遺体を発見した。
●アフガニスタン東部で5年間援助活動に従事していた伊藤和也は、灌漑プロジェクトの現場に出ようとしていたところ、拉致された。「拉致された日本人の遺体を発見した。数ヵ所銃弾を受けていた」と、クズ・クナール地区の知事のマイム・マシュークが述べた。アフガン人運転手と通訳が、伊藤の遺体の確認をしたという。2人は一緒に拉致されたが、数時間後に解放された。
●(中略)ベシャワール会関係者が、伊藤が殺害されたことを認めたが、ある関係者によると、足を2ヵ所撃たれたために、出血多量で死亡したという。
●アフガニスタンの内務省と警察によると、村人数百人が彼の捜査活動に参加していたという。「警察が犯人たちを包囲したために、彼は取り残され、出血多量で死亡した」と述べた。
●タリバンが、仲間が伊藤を拉致し、彼の後を追っていた治安部隊との銃撃戦に巻き込まれて死亡したと述べた(中略)。
●いっぽうクンドゥーズでは、ドイツ軍が襲撃され、兵士1人が死亡、2人が負傷した(後略)。
Japanese aid worker found dead as Afghan casualties rise●水曜日にパキスタンの部族地帯で、治安部隊が抵抗勢力と診療所で銃撃戦を交わした。さらに抵抗勢力の拠点を攻撃し、抵抗勢力49人が死亡した。
●軍は、スワートとバジョールでイスラーム過激派と激しい戦いを展開している。さらに南ワジリスタンでも抵抗勢力が軍の城塞を攻撃し、この地域でも新たな戦闘が開始される可能性がある。テアルザ城塞と近くの橋に設置された検問所が攻撃され、「報復で武装勢力11人を殺害した」と、軍が声明を発表した。
●さらに軍がバジョールの診療所に立て籠っていた武装勢力を攻撃し、武装勢力30人を殺害した。抵抗勢力の無線の傍受で、犠牲者の数を割り出したという。
●これとは別に水曜日に、武装勢力の車をバジョールで攻撃し、それぞれの場所で、8人を殺害したという。これらの犠牲者の数は、確認されたものではない(後略)。
49 killed in fighting along Pakistan border belt●パキスタン北西部で、アメリカの外交官が乗った装甲車の前に、AK47ライフルを持った男2人が飛び出して発砲した。運転手が車をバックさせて現場から走り去ったために、外交官は無事だった。
●ペシャワルの米領事リン・トレイシーが自宅を出たところ、数分後に車が銃撃された(後略)。
American diplomat escapes gun attack in Pakistan●アメリカ政府関係者が昨日、アフガニスタンでアフガン人とアメリカ人関係者に銃を発射したとして逮捕されたパキスタン人女性の息子で、アメリカ国籍を持つ11歳の少年を、アフガン政府が拘束していると述べた。
●アルカイダ工作員と疑われ、アメリカに拘束されているアフィア・スィディーキの家族の手紙によると、アフガニスタンに拘束されている少年はスィディーキの息子であることが、写真やDNA鑑定からは明らかになったという。少年は、警察がスィディーキを7月18日に逮捕したときに、拘束された。
●スィディーキは2003年に、息子3人と一緒にパキスタンで行方不明になった(中略)。
●スィディーキの弁護士と家族が昨日、母親と子供たちは、CIAに協力したアフガニスタンかパキスタンが、彼女を極秘収容所に拘束していたと述べた。アメリカ国籍を持つ彼女の2人の息子は、行方不明当時6ヵ月と5歳だったが、いまだに行方がわからない。
●(中略)CIAと法務省は、アメリカがスィディーキと子供たちを拘束していたことを否定した。「2008年に逮捕されるまで、彼女を拘束したことはない」と、CIA報道官のジョージ・リトルが述べた(中略)。
●ガズニ州知事の報道官、イスマイル・ジャハンギールが月曜日に、スィディーキが逮捕された当日少年を拘束したが、内務省に引き渡された後はどうなったかはわからないという。
●内務省関係者によると、アフマッドは1日拘束され、その後アフガニスタンの諜報組織に引き渡された。「少年を24時間拘束したが、それ以上拘束する権限はなかった」。「諜報組織のNational Security Directorateに引き渡したが、その後のことはわからない」。
●アメリカの工作員によると、少年は当時孤児だと語っていたという(後略)。
Afghan Officials Detain American Boy, U.S. SaysMother Held by U.S. as Al-Qaeda Suspect●国連のアメリカ特使ザルマイ・ハリルザードが、パキスタンのザルダリと無断で接触した理由を、ブッシュ政権関係者から問われている。
●月曜日にナワーズ・シェリーフが、自分の政党は連立政権から離脱することを表明したために、混乱している。
●ある政府幹部によると、ハリルザード氏は先月、政府に無断でザルダリと数回電話で話したために、その理由を問われているという。ハリルザードは来週の火曜日に、休暇でドバイを訪れることが予定されていたが、その際個人的にザルダリと会うことにしていたという。この会見は、リチャード・バウチャーがザルダリ自身から、大使から「アドバイスと援助を受けている」と教えられたために、中止させたという。
●バウチャーがハリルザードに、「いったいあなたはどのような『助言と協力』をしているのか」と、eメールで質問したという(中略)。
●ハリルザードは、ブット女史とも親しかった。ハリルザードはアフガニスタンの次期大統領戦にも参加すると噂されているために、アフガニスタンの米大使ウィリアム・ウッドを激怒させている(後略)。
U.N. Envoy's Ties to Pakistani Are Questioned●スワートで、政治家の家がロケット弾で攻撃され、8人が死亡した。
●Awami National Partyのワカール・アフマッド・ハーンが、弟と甥、さらに警備員数人が死亡したと述べた。カーバルにあった自宅が攻撃されたとき、ハーンは外出していたという(後略)。
Rockets blast Pakistan MP's home●パキスタンが、パキスタンのタリバンテヘリーケ・タリバン・パキスタンTTPの活動を禁じた。TTPの銀行口座は凍結されると、内務省が発表した。
●(中略)「自爆攻撃を行なっているために、TTPの活動を禁じた」と、内務省責任者のレーマン・マリックが述べた。「彼ら自身が犯行声明を出している。政府はそのような人間たちとは、話し合いはできない」(中略)。政府は組織の銀行口座を凍結したという(後略)。
Pakistan government bans Taleban●スワートでは日曜日、さらに13人が死亡し、土曜日に自爆攻撃を受けたチャルバー警察検問所の瓦礫の中から、2遺体が掘り起こされた。
●カーバルでは緊張が高まっており、戦闘ヘリコプターと大砲で武装勢力を攻撃している。軍によると、武装勢力の拠点を破壊し、チェチェン人、ウズベク人、タジーク人を含む外国人戦闘員10〜15人を殺害したという。
●殺害されたのは、タヒール・ユルダシェフが率いる、ウズベクイスラーム運動の戦闘員だという。「土曜日に殺害された45人のうち、10〜15人が外国人であることがわかった」と、スワートの軍報道官であるナシール・アリが述べた(中略)。
●しかし、スワートのTTP報道官のムスリム・ハーンは、外国人戦闘員を殺害したという軍の報道は事実無根だと述べた。カーバルで戦闘員45〜50人が死亡したという事実はなく、治安部隊の兵士30人の遺体がカーバルで散乱しているという。政府に遺体の引き取りにくるよう、要求した。
●(中略)カーバルでは、一般市民の犠牲者が報告されている(後略)。
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