【2009年3月23日〜3月29日】


■抵抗勢力、パキスタン北西部で警察官を拉致・殺害[090329 AP]

抵抗勢力が日曜日に警察官を拉致したあと、追跡してきた警察にロケット弾を発射し、警察幹部の他5人を殺害した。

これとは別に抵抗抗勢力が、米軍の補給線が通る部族地域で警察官11人を拉致した。

(中略)6人は、ロワー・ディールのバラームバット地域で殺害された。地域警察責任者フルシッド・ハーンを含む警察官の一団が、地元の住民を拉致したと思われる武装勢力を追跡していたと、サイード・ムハンマド・ジャヴィッドが述べた。銃撃戦の結果、武装した抵抗勢力がハーンと警備官2人を乗せた車に命中させて、3人が死亡した。また銃撃戦に巻き込まれで、元地元知事とその2人の甥が負傷した。

警察は、拉致された男を救出することができなかっただけでなく、警察官2人が拉致された。抵抗勢力側にも犠牲者が出た模様だが、明らかではない。

ディールはバジョールとスワートの間に位置する。軍はバジョールの抵抗勢力を一掃したと発表し、スワートでは和平協定が締結された。バジョールとスワートで作戦が実施されたことで、抵抗勢力たちがディールを含む周辺の地域に移った可能性がある(後略)。

hoonMilitants kidnap, kill police in NW Pakistan
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■オバマ、パキスタン内に米軍を入れないことを誓う[090329 AFP]

オバマ大統領が、アフガニスタンで抵抗勢力を追う米軍は国境を越えてパキスタンに入らないことを誓ったが、イスラマバードには、対テロ戦争を続けるよう要求した。

また抵抗勢力に対するミサイル攻撃に関しては、「我々の視野内に重要な標的が見えた場合、パキスタンに一報してから攻撃する」と述べた。しかし、パキスタンにある抵抗勢力の拠点に米軍地上軍を派遣させるかどうか、『Face the Nation』というCBSの番組に質問されたところ、「それはない」と答えた。「パキスタンを主権国家として認める我々の態度は変わらない」という。「彼らと協力する必要があり、彼らを通してアルカイダと戦う。彼らは、もっと信頼されるようになってほしい」。

金曜日にオバマは、パキスタンをアルカイダとの戦いの中心に置き、すでに増兵された1万7000兵に加えて、アフガン戦争にはさらに4000兵を派遣すると述べた(後略)。

hoonObama vows no pursuit by US troops into Pakistan
Jitendra Joshi、WASHINGTON

■タリバン、パキスタンの警察官12人を拉致[090329 AFP]

タリバンが日曜日の早朝、礼拝者約50人を殺害したモスクに対する自爆攻撃があった地域で、警察官12人を拉致した。

抵抗勢力がカイバル地域にある部族民警察の検問所を包囲し、その後警察官を連れ去ったと、地元政府関係者のラーハート・グルが述べた。犯行声明は出ていないが、別の関係者によると、TTPの犯行だという。

土曜日に、前日の自爆攻撃のあと、パキスタンの治安部隊が近くのバラにある抵抗勢力の拠点2ヵ所を破壊し、タリバン抵抗勢力4人を逮捕している(後略)。

hoonTaliban militants abduct 12 Pakistan police
PESHAWAR

■パキスタン軍、国境付近で抵抗勢力26人殺害[090328 AFP]

土曜日にパキスタンの治安部隊がアフガニスタンとの国境地帯で作戦を実施し、抵抗勢力26人を殺害した。

治安関係者によると、戦闘ヘリコプターがモーマンドに向かった。「モーマンドのサプリ地域で治安部隊が作戦を実施し、抵抗勢力26人を殺害した」と、国境警察隊が発表した。「国境警察隊はサプリ周辺を確保した」という。サプリは、モーマンドの中心であるヤカ・グーンドの周りに広がる地域である。軍が現場を包囲したために、抵抗勢力の犠牲者の数は確認されていない。

hoonPakistan troops kill 26 militants in border zone
PESHAWAR

■スワートの衝突で抵抗勢力死亡、兵士負傷[090328 News]

金曜日にスワート谷のカンベール地域で治安部隊と抵抗勢力が衝突し、最近釈放されたばかりの抵抗勢力1人が死亡し、兵士1人が負傷した。

抵抗勢力が治安部隊の車列に発砲した後、銃撃戦となった。治安部隊は、ミンゴーラ郊外にあるカンベールに物資を運んでいた。和平協定が締結されてから起きた、3度目の衝突である(中略)。

地元民によると、治安部隊の車列が、カンベールで抵抗勢力に銃撃された。治安部隊が応戦し、銃撃戦となった。この銃撃戦でカンベール出身のハヤット・ハーンという抵抗勢力司令官が死亡した。ハヤット・ハーンは数日前、和平協定に従って政府に釈放されたばかりである。また兵士1人が負傷した。

ミンゴーラ〜ペシャワル間の道路が、この出来事のせいで数時間封鎖された。マラカンド行政官のサイード・ムハンマド・ジャヴィッドと地域行政官のフーシャル・ハーンが現場に急行し、両者に銃撃を止めさせるのに成功した。しかし、抵抗勢力は治安部隊の車と物資を持ち去ったという(後略)。

hoonMilitant killed, soldier hurt in Swat clash
MINGORA

■パキスタンのモスクの自爆攻撃で48人死亡[090327 AP]

金曜日の礼拝のために、数百人が集っていたカイバル行政区のモスクで自爆攻撃があり、少なくとも48人が死亡、数十人が負傷した。

(中略)政府によると、犯行はイスラーム過激派によるもので、アフガニスタンのNATO軍や米軍の補給路を守るため最近行なわれた作戦に対する報復だという。補給路は、このモスクの前を通る。

「この地域の住民は、我々に協力していた。過激派たちは、報復すると警告していた」と、カイバル部族地域の政府関係者のタリーク・ハヤートが述べた。「彼らはパキスタンの敵だ。イスラームの敵だ」。

(中略)モスクはジャムルッドのそばの、岩に囲まれた谷に位置し、アフガニスタンにいる米軍主導軍に補給物資を運ぶトラックが通過する幹線道路に沿っている。

(中略)この地域は、部族民同士や過激派組織間の対立が多く、中には政府に協力している者もいる。

garrSuicide attack kills 48 at Pakistani mosque
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■パキスタンのレストランで爆発[090326 BBC]

パキスタン北西部で自爆攻撃があり、少なくとも10人が死亡した。南ワジリスタンのジャンドーラのレストランで起きた爆発で、さらに20人が負傷した。関係者によると、パキスタンのタリバン最高司令官に対立する抵抗勢力組織が、このレストランにいたという。

イスラマバードの『BBC』特派員のサイード・ショアイブによると、犯人は木曜日の朝レストランに入り、自爆した。犯人は、バイトゥッラー・マフスードと対立する親政府系部族民リーダーであるトルキスタン・ビッターニを狙ったものだという。マフスードを逮捕するために、軍に強力していたトルキスタニ・ビッターニは、攻撃の数分前にレストランを出たばかりだった。

hoonDeadly Pakistan restaurant blast

■パキスタンとアフガンタリバン、対米で連帯[090326 New York Times]

パキスタンのタリバン指導者たちは、相違を乗り越えて、アフガン人の仲間たちとの関係を修復して連帯し、アフガニスタンで新たな攻撃を行なうための準備を進めている。

インタビューに応じたタリバン戦闘員たちによると、米軍に対する攻撃の準備はすでに整ったという。若い仲間多数が、簡易爆弾や自爆攻撃で、米軍を迎えるという。

アフガンタリバン指導者のオマール師が、パキスタン人タリバンに使節団を派遣し、一緒にアフガニスタンで戦うことを説得したのだと、パキスタン政府関係者とタリバンが述べた。

(中略)パキスタン人タリバンは、南北ワジリスタンの3人の強力な司令官、バイトゥッラー・マフスード、ハーフィーズ・グル・バハドゥール、モーラビ・ナジールが率いる。

オマール師は12月下旬と1月初めに6人の使節団を派遣したと、タリバン戦闘員数人が、デーラ・イスマイル・ハーンで行なったインタビューで述べた。アフガンタリバンの使節団はパキスタンのタリバン指導者たちに、仲違いをやめてパキスタンにおける活動を中止し、アフガニスタンにいる米軍に対する攻撃に協力してほしいと述べたという。

3人のパキスタン人タリバン指導者は、これにに同意した。2月に連合会議、またはムジャヒディン連合会議と呼ばれるシューラを開催した。指導者たちは自分たちの意見の相違を解決し、アフガニスタンにいる米軍主導軍と戦うことに焦点を当てるという文章を発表した。

アフガンタリバン報道官のザヒブッラー・ムジャーヒッドは、このような話し合いがあったことや、オマール師が使節団を派遣したことを否定した。アフガン人タリバンは、自分たちがパキスタン国内にいることや、パキスタン人タリバンと関係があることをいつも否定する。自分たちの運動は、アフガニスタン特有のものであることを強調する。「彼らに関わりたくない。我々は、パキスタン人タリバン戦闘員との関係を拒否している」と、ムジャーヒッドが述べた。「ムスリムであるから、彼らに共鳴はある。しかし、我々の間に関係はない」。

パキスタン人関係者も、このような会合があったことを認めた。しかしこれは、シラージュ・ハッカーニの目論みである可能性があると述べた。ハッカーニはオマール師に忠実であるが、独自の作戦を実施している。

(中略)タリバン戦闘員によると、アフガン人タリバンの使節団はムッラー・アブドゥル・ザキールに率いられたという。ザキールは、ヘルマンド州の司令官で、本名はアブドゥッラー・グーラム・ラスールだという。

タリバン政権時代に前線司令官だったムッラー・ザキールは、2001年にアフガニスタン北部で逮捕され、グアンタナモ収容所に収監されたあと、2007年に釈放されたといわれる。

パキスタン人戦闘員によると、ムッラー・ザキールは話術に長け、訓練士でもある。さまざまなタリバン組織を連帯させることに、非常に熱心だという。アフガニスタンで両者が協力することになっただけでなく、アフガン人とパキスタン人タリバン指導者には連帯する別の理由があると、パキスタン人関係者が述べた。

その理由の一つは、アフガニスタンに戦場を移すことで、ワジリスタンの安全を確保することだ。これまでマフスード氏とナジール氏を狙った無人偵察機によるミサイル攻撃が、30回以上実施されている。ハッカーニの組織の幹部司令官2人が、死亡した。

パキスタン人タリバンは、ハッカーニ氏やアフガン人ムジャヒディンとの関係に正当性や、資金や彼らが及ぼす影響力に依存している。

3本の交差した剣の紋章で飾られた文章で、パキスタン人タリバン指導者たちは改めてオマール師ととにも、ビンラディンへの忠誠を表明した。

「敵」がオバマ大統領のもとで結束したために、ムジャヒディンも結束しなければならないという。「ムジャヒディンは神のため、神の喜び、宗教の強化のために違いを乗り越え、異教徒に不名誉を与えなければならない」と書かれていた。タリバン戦闘員によると、幹部司令官たちはこれからの戦いに備え、古い司令官と若い司令官を入れ替えたという。

タリバンたちは、2009年は「血に濡れた」年になるはずだと、意気揚々に語った。

garrPakistani and Afghan Taliban Unify in Face of U.S. Influx
CARLOTTA GALL、ISLAMABAD

■タリバン、アフガニスタンで米ヘリ撃墜と主張[090326 News]

火曜日にタリバンがアメリカのヘリコプターを撃墜したと主張し、同盟軍が、NATO主導のISAF軍ヘリコプターがアフガニスタン東部のパクティアで不時着したと発表した。

「ISAF所有・操縦の航空機が、技術的問題のためにパクティア州で不時着した」という。

航空機に乗っていた乗員は軽傷を負い、手当を受けた。「この地域で敵の活動があったという報告はない」という。

hoonTaliban claim shooting down US copter in Afghanistan
KABUL

■タリバンのアフガン攻撃、パキスタンの協力を得る[090325 New York Times]

タリバンがアフガニスタン南部で攻撃を拡大しているのは、パキスタンのISIの工作員から直接援助されているからだと、米政府関係者が述べた。(中略)援助は、タリバン司令官に対する資金、軍事物資、戦略計画の援助である。

タリバンなどの過激派組織に対する援助を行なっているのは、パキスタンのISIだと、関係者が述べた。ISI工作員が定期的にタリバン司令官と会い、アフガニスタンの選挙に先立ち、攻撃を激化するか沈静化するかを話し合っている証拠さえあるという。

(中略)米関係者によると、タリバンとISIとの関係は、電子通信の盗聴や信頼のおける情報源からのものによるという。パキスタンの関係者は、両者の関係を明らかに認識しているが、それが抵抗運動を激化させているわけではないと述べた。

(中略)パキスタンの関係者は、両者の関係は、アメリカが思っているような脅威ではないと述べた。米軍がアフガニスタンから撤退する日に備えて、アフガニスタンに対する影響力を維持するための戦略の一部だという。米軍が撤退した場合、その空白にインドが入り込むことを予測し、それに対処するためだという。

(中略)国家諜報組織長官のデニス・ブレアが最近、パキスタンはさまざまな過激派組織を「区別」していると述べた。「一掃せねばならぬと思われる組織があり、そのために我々が協力するべきだと見るかと思えば、それほどの脅威ではなく、放っておくべきだと見る組織がある」。

アフガニスタンで攻撃を行なっているハッカーニの組織は、パキスタンの戦略にとっては重要と受け止められていると、アメリカとパキスタンの関係者が述べた。これと対照的なのが、バイトゥッラー・マフスードの組織である。バイトゥッーラは、政府を転覆を目論んでいると見られている。

去年の7月にカブールのインド大使館が攻撃された際、ISI工作員がこれに協力していたという明らかな証拠が出てきたのにもかかわらず、何も変化がないという(中略)。

タリバンは、麻薬の密輸や湾岸諸国の富豪からの援助で、資金を得ている。しかし戦闘員たちが燃料や弾薬を欲すると、ISIに頼るという。兵員が必要になれば、ISIがパキスタン各地のマドラッサから、人員を提供する。

過激派に対するISIの援助は、パキスタンの北西部の部族地帯外でも行なわれている。ISIはラシュカレ・トイバとも、情報を交換している。

(中略)ハッカーニの戦闘員が米軍の先手をうちたいと思った場合、ISI内部の人間を買収して情報を得るのだという(後略)。

garrAfghan Strikes by Taliban Get Pakistan Help, U.S. Aides Say
MARK MAZZETTI and ERIC SCHMITT、WASHINGTON

■アメリカのパキスタン攻撃で8人死亡[090325 AP]

水曜日にパキスタンのタリバン最高司令官の拠点に対するアメリカのミサイル攻撃があり、外国人数人を含む8人の抵抗勢力が殺害されたと、諜報関係者が述べた。

(中略)水曜日の攻撃では、南ワジリスタンのマキーン近くをアフガニスタン方面に走行していた2台の車が破壊された。情報源や抵抗勢力の通信を傍受したパキスタン人諜報関係者によると、死者のうち4人は外国人で、小さな橋のそばで、ピックアップ・トラックに乗っていたという。このほか地元抵抗勢力4人も死亡、3人が負傷した(後略)。

hoonPakistani officials: Suspected US strike kills 8
ISHTIAQ MAHSUD、DERA ISMAIL KHAN

■スーフィー、スワートの取り引き引き下げると脅迫[090325 Dawn]

TNSM会長のスーフィー・ムハンマドが火曜日、政府がニザミ・アドル条例を直ちに施行しなければ、平和運動を中止すると脅迫した。

サイドゥ・シャリーフで開かれた記者会見で、政府はスワートの和平協定を実現するのが遅すぎると不満を表し、調印後38日たった今も、マラカンドでは非イスラーム法が施行されていると述べた。

ムハンマドは、和平協定を支持するが実現の仕方に不満があると述べた。「裁判官はカジと交代した。彼らは社会を改革しているが、命令を下したり、決議を実現させることができない」。2月16日に政府とニザミ・アドル条例施行に調印したが、マラカンド地区とハザラのコーヒスタン地域では、イスラームに反する法がいまだに残っているという。

ムハンマドによると、連邦政府やザルダリ大統領は協定にまだ調印していないという。北西辺境州政府とは調印したために、失敗した場合、責任は北西辺境州政府にあるという。この地域にシャリア法が施行されなければ、平和は訪れないと述べた。

いっぽう政府の教育機関に治安部隊が駐屯していることに抗議して、数百人がミンゴラ〜マッタ間の道路を4時間にわたって封鎖した。抗議に集った人々は、「検問所ではなく学校が必要だ」というプラカードを掲げた。隊がすでに2年間、学校を占拠している。その結果数百人の学生が、教育を受けることができないでいる。

スワート平和ジルガとカーバル知事が、隊が3日以内に学校から撤退することを約束したために、道路封鎖は解除された。

hoonSufi threatens to withdraw from Swat deal
Hameedullah Khan

■スワートのタリバン、シャリアに挑戦[090324 BBC]

「シャリアに従って有効であるから、決議を変えるつもりはない」と、スワートのカジ(裁判官)に任命されたモーラナ・エシャーン・ウル・レーマンが述べた。ミンゴーラの裁判所のベンチの前に立った、12人ほどの男たちに判決を下している。一団は裁判所の決議に対して説明を要求する、強面の男に率いられていた。

男は、パキスタン軍と戦ったスワートのタリバン司令官だ(中略)。この「タリバン訴訟」は、地元の農民の畑にタリバンがあぜ道を作ったことを争っていた。農民がシャリア裁判に訴訟を持ち込み、モーラナ・レーマンが判決を下した。判決は、農民側に味方した。

「しかし、裁判に出席したタリバンは判決を受け入れることを拒否し、タリバン幹部司令官に訴訟を持ち込むと言った」と、目撃者が語った。「彼らは裁判官の言葉をねじ曲げて伝え、モーラナ・レーマンは、モーラナ・ファズルッラー自身が判決の取り消しを要求したとして、とり合わないと言ったと伝えた」。

激高したタリバン司令官は、モーラナ・レーマンに説明を求めた。カジは、そのような発言はしていないと主張した。しかし判決は最終的なものであると、念を押した(中略)。

数分間、タリバン司令官と仲間たちは抗議を続けた。しかしモーラナ・レーマンは発言を変えず、仲間のカジも彼の味方になった。

最終的にクルアーンを引用して決議の有効性を裏付けて、タリバンを納得させた。判決に従わなければ、直接現場を訪れて問題を検証するとも付け加えた。これを聞いてタリバンは判決を受け入れ、急いで退出した。

「このシステムは、我々のためになる」と、原告のカリ・ファザル・モーラが語った。彼はリキシャの所有者を巡って告訴し、勝利したばかりだ。「2年前に告訴したにもかかわらず、何の決議も出なかった」。「弁護士の費用など、金を捨てるようなものだった。ここでは書類にスタンプを押すために、20ルピー払っただけだ」。

他の原告も、みな同じような気持ちだった。しかし不満の声もある。「裁判所は、我々の問題を取り挙げていない」と、ファルーク・アフマッドが語る。彼は、40年前の財産を巡る問題に対する裁判を待っている。「シャリア法が施行される以前の1999年の問題は、受けつけない」と裁判官が説明する。「そうしなければ、膨大な訴訟の量となり、裁判は再び遅れてしまう」。

モーラナ・レーマンによると、2月18日にシャリア法が施行されてから、すでに100件の陳述を聞いたという。「20件の陳述に対して判決を下した」。「決議はシャリア法に従ったものだ」。

全地域に対してたった7人の裁判官しかいないために、いくつかの問題も生じている。マラカンド地区に施行されたシャリア法は、3段階を構成する。

まずイラカ裁判所(地元地域)、その上にジーラ裁判(地区)があり、どちらも地域全体を管轄するダルール・カザ裁判所の下にある。ダルール・カザが、最高裁判所の役目を担う。この地域の問題を解決するためには、少なくとも20人の裁判官が必要だ。

しかしこれは資金の問題にすぎず、必要があれば、解決できる。問題はシャリア法そのものだ。

シャリア法施行の決議は3月15日から有効になったが、条例にはまだ調印が必要である。「大統領が条例に調印したら、遡及的効力が発生する」と、地元TNSM指導者が述べた。

(中略)以前のシャリア条例は、裁判所が法律と住民の意見の両方を取り入れて決議を下して来た。アナリストたちは、今後もこのような形を取るだろうとみており、タリバンが問題を起こすことが予測されるという。「タリバンたちは、自分たちのシャリア法を施行したいと主張してきた」と、地元の法専門家が語る。しかしスワートのニザミ・アドルまはた「法の秩序」は、関係する派閥の要求に従ってシャリアを解釈する。「悪いことが起きるだろう」と、法専門家が説明した。

hoonSwat Taleban find Sharia a challenge
Syed Shoaib、Mingora

■タリバン、スワートのエメラルドを独占[090324 BBC]

スワートのタリバンが、エメラルド鉱山採掘を牛耳っている。

国際水準のエメラルドを産出する鉱山は、以前はパキスタン政府がコントロールしていた。しかし4ヵ月前に抵抗勢力と政府との間で停戦協定が結ばれたあと、タリバンに引き渡された。鉱山はアフガニスタンのパンシールの鉱山とともに、南アジア最大規模の産出量を誇る。

「民衆の利益になるように、鉱山を再開した」と、タリバン司令官が語った。「我々の規則に従う者は、誰でも採掘できる」。

スワートのエメラルド鉱山は、ミンゴーラを取り囲む山脈にあり、約8キロに及ぶ。採掘が盛んだった1979〜1988年の間は、250万カラットを産出していた。政府が把握している最新の産出量は、132万カラットである。宝石商によると、エメラルドは通常1以下〜5カラットのものが取り引きされ、カットしたエメラルドは1000ドル〜10万ドルで取り引きされる。

しかし鉱山の労働者たちはタリバンにマージンを取られるので、毎日1人400ルピーしか収入を得ることができないという。「以前は採掘は全くできなかったので、これだけでもいい収入だ」と、ある労働者が語った。

タリバン司令官も、その恩恵を評価している。「この地域には貧乏人が多く失業者も多いため、人々にとっては良い機会だ」。取り引きによると、タリバンは採掘業者から、収穫の3分の1をもらうことになっている。採掘にかかった経費は平等に分ける。タリバンによると、自分たちは採掘に直接かかわっているのではないという。

しかし窃盗をした場合は手を切断され、シャリア法への遵守を要求する規則は、タリバン協賛者だけが採掘できることを意味する(中略)。今のところ政府は、タリバンが鉱山をコントロールしていることに関して、コメントしていない。

エメラルドの採掘は、タリバンにとって大きな収入源になるだろう。これらの資金がどのように使用されるか、答えはすぐに想像できるだろう。

hoonTaleban tap into Swat's emeralds
Syed Shoaib Hasan、Mingora

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2009.