【2009年4月13日〜4月19日】


■アメリカのミサイル攻撃、南ワジリスタンで3人死亡[090419 AP]

日曜日にアメリカのミサイルがパキスタン北西部のパキスタン人武装勢力を攻撃し、3人が死亡した。前日も北西部では自爆攻撃があり、27人が死亡した。アメリカがミサイル攻撃を続ければ今後も攻撃を行なうという犯行声明を、タリバン幹部が発表した。

南ワジリスタンの政府幹部のシャーハッブ・アリ・シャーが、日曜日にザリ・ヌール村に対して行なわれた攻撃で、5人が負傷したと述べた。犠牲者たちの身元は明らかにされていない。

(中略)ザール・ヌール村のすぐ外に住むハッジ・グル・ザマーンによると、日曜日に爆発音が2回聞こえ、煙が上がるのを見たという。タリバン戦闘員を乗せたトラックが現場に急行した。爆発で車も数台破壊された。

土曜日にハングの警察検問所を狙った自爆攻撃では、治安部隊兵士25人と一般市民2人が死亡した。この他に兵士62人と一般市民3人が負傷した。地元警察責任者も負傷者の中に含まれているという。

タリバン司令官のハキームッラー・マフスードが犯行声明を出した。ハキームッラーは今月の初めに、パキスタン軍が国境地帯から撤退するとともに、ミサイル攻撃をすぐさま中止しなければ、週に2度ずつ自爆攻撃を行なうと警告していた(後略)。

hoonSuspected US missiles kill 3 in SW Pakistan
NAHAL TOOSI、ISLAMABAD

■ペンタゴン、タリバンと関係するラジオを妨害[090418 Wall Street Journal]

オバマ政権は、パキスタンとアフガニスタンでタリバンがラジオ局やウェブサイトを使用して、一般市民を煽動したり攻撃を計画することを妨害することにしたと、米政府関係者が述べた。

極秘の試みとして、米軍と諜報組織はパキスタンのアフガニスタンとの国境付近で、タリバンが脅迫や命令を放送している違法ラジオ局を妨害しようとしている。

また地下組織の過激派が使用する、パキスタンのチャットやウェブサイトも妨害しようとしている。これらのウェブサイトは、攻撃のビデオや扇動的な内容を含み、暴力を肯定しようとするものである。

米政府は「心理的作戦」を行なおうとしているが、アフガニスタンとパキスタンの安定のためは、必要な作戦だと見ている。

(中略)パキスタンでは、タリバンが違法FMラジオを使用して、タリバンが殺害しようとしているパキスタン政府関係者や警察官などの名前を列挙している。放送で名前を発表された数百人が後に殺害されたと、アメリカやパキスタンの関係者が語った。

「タリバンは情報戦に勝利しているだけではない。我々は彼らに挑むことさえできない」と、アフガニスタンのあるアメリカの関係者が述べた。「自分たちが支配し、誰でも、いつでも攻撃できることを民衆に広めることを、止めさせなければいけない」(後略)。

hoonPentagon Jams Web, Radio Links of Taliban
YOCHI J. DREAZEN and SIOBHAN GORMAN、WASHINGTON

■自爆犯、パキスタンの検問所で20人殺害[090418 AP]

土曜日に自爆犯がパキスタンの北西部で軍の検問所に爆発物を搭載した車で突っ込み、少なくとも20人を殺害した。検問所は、オラクザイ部族地帯の近くにあった。

検問所の隣にあった、兵士や警察官が駐屯する建物が破壊されたと、ハングの警察幹部であるファリッド・ハーンが述べた。治安部隊兵士18人と一般市民2人が死亡したという。数十人が負傷した(後略)。

garrSuicide bomber kills 20 at Pakistani checkpoint
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■タリバン、階級差に目をつけて進出[090416 New York Times]

政府関係者やアナリストによると、タリバンは少数の裕福な地主と土地を持たない借り主など、階級間の亀裂を利用して、パキスタン各地に進出してきた。

この戦略により、タリバンはスワートで権力を勝ち取り、政府がシャリア法の導入を認めた。

スワートから逃げて来た人々の話から、タリバンが、権力を持っていた48人の地主を追い出したことで、この地域を支配したという。政府に嫌気を感じていた人々は、タリバンのテロや強制によって厳しいイスラーム法を強制したにもかかわらず、経済的恩恵のために彼らを受け入れたのだ。「スワートの残虐な革命だった」と、スワートを管轄していたあるパキスタン政府幹部が述べた。「パキスタン全体に広がったとしても、驚きではない」。

タリバンが階級差を利用して人々の間に入り込む能力は、パキスタンにとって大きな警鐘となる(中略)。スワートの戦略は、パンジャーブにすぐにも移すことができる。抵抗組織はすでにパンジャーブで力を発揮し、スワートや部族地帯で起きたような社会現象が起きる可能性が十分ある。

オバマ大統領の元クラスメートでパキスタン系アメリカ人弁護士のマフブード・マフムードは、「パキスタンの人間は心理的に、革命を起こす準備が整っている」と述べた。スンナ派過激主義は、パキスタンでは長い歴史がある。「過激派たちは、音楽や教育を禁じるだけではない」。「彼らはイスラーム法、有効な政府、経済的分配を約束している」。

(中略)スワートの抵抗運動は、対立する力という弱点を突いた。地主と選出された指導者(同じ階級の人間)と、雇用されたやる気のない警察官であると、イスラマバードのバーリア大学教授のハディーム・フセインが述べた。

同時にタリバンは、土地を持たない借地人、特に自分たちのボスに対して、なかなかはかどらず、汚職にまみれた裁判で争う人々の怒りを利用したと、フセインやスワートから逃げ出した住民が述べた。若い過激派、モーラナ・ファズルッラーが、2004年に設置した違法FMラジオを通じてこれらの人間に呼びかけ、彼らの怒りはさらに大きくなった。山羊、牛、牧草などのわかりやすい例を挙げて説明したのだ。2006年になる頃にファズルッラーは、土地を持たない農民たちに武器を与え、急ごしらえの軍を組織したという。

最初は、地主に対する圧力はわずかなものだった。ある地主は、英語教育をする学校に通っていた息子を、退学させざるを得なくなった。タリバンに献金を強制された者もいた。

2007年になると、最も裕福な地主だったシュジャート・アリ・ハーンが、彼の兄弟やスワート市長の息子のジャマール・ナジールが、標的になった。

パキスタンムスリム連合Qの政治家であるシュジャート・アリ・ハーンは、爆弾事件で一命を取りとめた後、ロンドンに逃げた。元国会議員だった弟のファテ・アリ・ムハンマドもスワートを出て、現在はイスラマバードに住む。ナジールも逃げた。

その後タリバンは、「最も重要な指名手配者」43人の名前を挙げたと、PPPの政治家で地主のムハンマド・シェール・ハーンが述べた。彼の名前も、指名手配者の中に入っている。名前が挙げられ人間は、タリバン法廷に出廷するか殺害されるかの選択肢を迫られた。「殺されるとわかっていて、帰れるだろうか」と、パンジャーブに隠れるハーンが述べた。「リストに挙げられたということは、スワートに帰るなということだ」。

新しい秩序の導入に動いた人間の1人が、地主たちが住むマッタ出身のタリバン司令官、イブネ・アミンだった。アミン氏がマッタ出身だったために、誰がマッタの出身かを熟知し、地主に圧力を強くかけたという。

パキスタンのニュースによると、アミンは2004年8月にアルカイダと関係があった疑いで逮捕されたが、2006年11月に釈放された。別のパキスタン人諜報関係者によると、アミン氏は北ワジリスタンのマドラッサを何度も訪れ、ここで指導されたという。

地主が逃げ出すたびに、借地人に報酬が与えられた。果樹を切り、木材を売ることが許され、その儲けが与えられた。地代をタリバンに払うようになった者もいる。これまで閉鎖されていたエメラルド鉱山2ヵ所が、タリバンに牛耳られた。武装勢力たちはその3分の1の儲けを得る。

2月にタリバンと軍が和平協定を結んでから、武装勢力たちはさらに各地に入り込み、誰が支配者であるかを誇示している。

州の政治家たちがミンゴーラに出向くときには、タリバンの習慣に従って床に座り、武器や場合によっては自爆ジャケットを着たタリバンに囲まれる。スワートのタリバンは、各家庭から息子1人をタリバン戦闘員として提供することを命じたと、NGO団体であるInitiative for Development and Empowerment Axisのムハンマド・アマードが述べた。

去年スワートから逃げ出したある地主が、先週恐ろしい知らせを受けたという。土地の借地人がペシャワールから彼に電話をかけてきて、自分の巨大な家が取り壊されたという。さらにいやなニュースがあった。果物の収穫が、前もって売られたという。しかもその代金も彼のものにならないという、タリバンからのメッセージだった。その代金はタリバンに入るのだ。

garrTaliban Exploit Class Rifts to Gain Ground in Pakistan
JANE PERLEZ and PIR ZUBAIR SHAH、PESHAWAR

■パキスタンの赤のモスクの宗教者、保釈[090416 AFP]

パキスタンが木曜日、2年前に原理主義の赤のモスクを襲撃した際に逮捕した宗教指導者を釈放した。

モーラナ・アブドゥル・アジズが自宅を出ることを許され、赤のモスクでジープから降りると、薔薇の花びらをまき散らす数百人の支持者たちに迎えられた。長い髭と赤い帽子を被った年長の宗教者は、テロ、拉致、政府所有の建物の占拠など、約24の罪状で起訴され、まだ裁判を待たなければならない。

数百人の支持者の前でアジズは、イスラーム法導入のための戦いを続けることを誓った。「赤のモスクの人間や女学生による犠牲は、決して無駄にはならない。イスラーム法が国に導入されるだろう」と、1000人程度の支持者の前で演説した。

(中略)最高裁判所が水曜日に、20万ルピーの保釈金でアジズを釈放した。「警察が彼の自宅から引き上げた。今からは自由な人間だ」と、彼の弁護士のショーカット・スィディーキが述べた。

政府は、赤のモスクがシャリア法導入のためにタリバンのような活動を開始し、中国人7人を拉致したことをきっかけに取り締まりを開始した。モスクの学生たちが反道徳キャンペーンを実施し、売春に関係した人間多数を拉致した。

hoonPakistan's Red Mosque cleric freed on bail
Sami Zubeiri、ISLAMABAD

■武装勢力、パキスタンに新しい前線[090416 Asia Times]

アメリカの諜報組織は3月25日に、パキスタンから詳しい情報を得ていたにもかかわらず、パキスタン人タリバン指導者のバイトゥッラー・マフスードを殺害するチャンスを逸した。

マフスードのTTPに関与する逮捕者が自白したところによると、今回の失敗により、国内各地が不安定になった。その最初がカラチだ。

ISI幹部関係者は、自分たちが提供した情報を元にマフスードの拠点を攻撃したアメリカの親友から、良い知らせを受けるはずだった。標的は攻撃され、アルカイダ武装勢力8人が殺害された。無人偵察機が南ワジリスタンのマキーンのマフスードの拠点を攻撃したが、彼は無事だった。

この攻撃にマフスードは怒り、復讐を誓ったと、ある若いジハード組織の人間が述べた。「しかし、彼の怒りはパキスタンに向けられている。これは単純な理由からだ。北ワジリスタンと南ワジリスタンには、3つの大きな組織がある。ダンダ・ダルパ・ヘールのシラージュッデン・ハッカーニの組織。ここには22の強力な組織がある。この地域はアフガニスタンのコーストにつながる、グーラム・ハーンと接する。この組織は非常に影響力があり、コースト、パクティア、ガズニにいるNATO軍を攻撃している」。

「2番目の組織は、南ワジリスタンを拠点とするムッラー・ナジールの組織だ。これはパクティアと接するアンゴール・アッダとシャカイに近い、ワジール族の居住区である。ナジールはパクティアに最大のジハード組織を持つ。これがNATO軍を攻撃する、最大の組織だ。ナジールとハッカーニは、パキスタンにとって脅威ではない」。

「これらの中で最も奇妙な立場にいるのが、バイトゥッラー・マフスードの組織だ。彼はマキーンを拠点とするが、ここは国境とは接してなく、パキスタンの治安部隊が駐屯する地域に近い。だからパキスタンは、マフスードの組織と停戦協定を結びたがっている。彼の組織が、3つの中で最も大きい」。

「マフスードの地域がアメリカに攻撃されると、マフスードは刺激される。彼はアフガニスタンに直接関与しないために、パキスタン軍が陰謀を計っている考え、彼らを攻撃する」。

マフスードは、たまにイスラマバードとラワルピンディを攻撃してはいるものの、北西辺境州に限定されていた。しかし最近彼の支配地域が攻撃されてからは、マフスードの組織とアルカイダ系の組織は、国内各地で「本当の戦い」を行なうことを計画しているのだと、カラチで逮捕された彼の組織と関係のある人間が語った。

月曜日に犯罪捜査局が諜報組織と協力して、マフスードの部下である59歳のバッドシャー・ディーン・マフスードを逮捕した。バッドシャーは、グル・ハディーン・マフスードの息子で、カラチのシャー・ヌーラニ・ゴースと南ワジリスタンの住民である。

バッドシャーは、ウルドゥー語とパシュトー語を話し、マフスードの信頼を受ける男である。彼の息子の1人、メールバーンもTTPの活動家である。

犯罪捜査局のファイヤーズ・ハーンは、バッドシャーはマフスードに兵站学的協力をし、マネー・チェンジャーや銀行強盗を働き、カラチのTTPに車や隠れ家を提供していたという。負傷した仲間の治療も行なっていた。

カラチの状況は非常にデリケートで、法関係者たちは、過激派たちと直接衝突することを避けることにしたという。これは、過激派がカラチで資金集めや兵站学的な活動をするのを許可するようなものだ。治安組織は、彼らの拠点を取り締まらない。

資金集めの目的は、アフガニスタンのタリバンに協力するためだった。そのためにカラチを拠点とする政党、ムッテヒーダ・カユミ運動(MQM)が最近、カラチのタリバンに対してキャンペーンを繰り広げた。

カラチでマフスード族が拉致事件を起こして警察官数人が負傷したが、この事件の捜索に対してMQMが警告を発した。これを受けて警察が行動し、数人が逮捕された。その1人がバッドシャーである。

治安部隊との「和平協定」が破綻したために、マフスードとその仲間は反撃し、カラチを混乱に陥れようとしている。彼らがカラチを選んだのは、2つの理由からだ。まず南ワジリスタンに次いで、マフスード族が最も多く居住する町であること。そして非パシュトゥーン族が大多数であるために、次に多いパシュトゥーン族との民族抗争を引き起こしやすい。

この戦いで武装勢力たちは、有力者の拉致などで、政府幹部の神経を逆なでようとしている。部族地帯の戦いは、都市部に移った。

garrMilitants open a new front in Pakistan
Syed Saleem Shahzad

■カジ判決、優先[090416 News]

TNSMのモーラナ・スーフィー・ムハンマドが水曜日、カジ裁判はシャリア法に基づいて訴訟問題を扱い、高等裁判所や最高裁判所はその判決を覆すことはできないと述べた。ダルール・カザが導入され、異議申し立ててに対して、ここで最終的な判決を下すという。

(中略)マラカンド地域の法制度は、他の地域のものとは異なる。ここではすべての訴訟問題がシャリア法に基づき、カジ裁判所で解決する。またダルール・カザを設置するために、人々は高等裁判所や最高裁判所に行かないですむという。

ダルール・カザが導入されれば、カジはアッパー・ディール、ロワー・ディール、ブネール、シャンガーラ、マラカンド行政区、チトラル、コーヒスタンに順次導入していくという。ニザミ・アドルの調印により、古い法制度に基づく裁判官たちは機能しなくなる。シャリア法を用いた裁判官だけが、任命される。

ダルール・カザは政府の管轄下に入るが、法問題においては、政府はこれを支配しない(中略)。

武器を放棄するかどうかの質問に対しては、「シャリア自身が平和を約束するものだ」という(中略)。

北西辺境州知事のミアーン・イフティハール・フセインは、カジ裁判所の判決に対する異議申し立ては、ダルール・カザだけで行なうと述べた(後略)。

hoonKazis' verdict can not be challenged in SC

■パキスタンで自爆攻撃[090415 BBC]

パキスタン北西部の検問所に、爆発物を搭載した車が激突し、警察官9人を含む18人が死亡した。

犯人は、ペシャワルの近くにあるチャールサッダの検問所で自爆した(中略)。

「スワートの人間がペシャワルでテロ行為をしようとしていた、という情報が入っている。検問所に軍を配置していた」と、ペシャワル警察責任者のシフワート・グユールが語った(後略)。

garrSuicide car bomber hits Pakistan

■スワートのタリバン、武器放棄を拒否[090415 Dawn]

パキスタン人タリバンは、シャリア法導入のために交わされた取り引きの一部だった武器の放棄を拒否し、今後は新たな土地で「戦い」を開始すると、武装勢力報道官が述べた。

(中略)パキスタン人タリバン報道官が、自分たちは銃を捨てないと述べた。「シャリアのために、我々は武器を放棄することはできない」と、ムスリム・ハーンが電話で述べた(中略)。「ある場所で目的を達成すれば、次の場所に移り、目的のために戦う」。

(中略)スーフィー・ムハンマドは、ニザミ・アドル条例は一般人のためのものであると述べ、武装勢力には恩赦を与えるという。またカジ裁判所の判決は、最高裁判所であっても、国内の別の裁判所で意義の申し立てはできないと述べた。

(中略)ムスリム・ハーンは、武装勢力たちはアフガン人タリバンの要求があれば、アフガニスタンで米軍主導軍と戦うと述べた。「我々の目的は、アッラーの国で、アッラーの支配を導入することだ。彼らが要求すれば、ムジャヒディンをアフガニスタンに送る」(後略)。

hoonSwat Taliban refuse to lay down arms

■パキスタンの赤のモスクの宗教指導者、保釈[090415 AFP]

パキスタンの最高裁判所が水曜日、イスラマバードの赤のモスクの宗教指導者を保釈したと、彼の弁護士が述べた。「最高裁判所の3人の裁判官が、モーラナ・アブドゥル・アジズの保釈を命じた。彼は20万ルピーと引き換えに保釈される」と、ショーカット・スィディキ弁護士が述べた。

アジズは刑務所から、ラワルピンディにある民家に拘束されている。赤のモスクのそばにある子供図書館の占拠をけしかけたことで、起訴されていた。弁護士によると、これが彼に対して残っている最後の訴訟事件で、裁判所は「単に煽動したということで、これ以上彼を拘束できない」と見たという。「彼の保釈を妨害する要素はない」という(後略)。

hoonPakistan Red Mosque cleric granted bail: lawyer
ISLAMABAD

■パキスタンの赤のモスクの宗教指導者、保釈[090415 BBC]

パキスタンの最高裁判所が、2007年にラール・マスジッドを襲撃して逮捕したイスラーム主義の宗教指導者の釈放を命じた。

宗教指導者モーラナ・アブドゥル・アジズの弁護士が、裁判所が彼の起訴状を考慮している間、保釈されたという。

『BBC』のイリアス・ハーンによると、彼がすでに釈放されたかどうかは明らかではないという。

アジズは軍がモスクに突入する直前にブルカを被って逃げようとしていたところ、逮捕された(中略)。

宗教指導者の保釈は、先月シフティハール・チョードリー裁判官が、パキスタンの最高裁判官として復職したことと関係がある証拠はないという(中略)。

アジズは約1年前の4件の訴訟に対して、50万ルピーと引き換えに保釈された。当初は、27件の訴訟で起訴された。

ohPakistan Red Mosque cleric bailed

■スーフィー、タリバンに武器の放棄を呼びかける[090415 News]

TNSM指導者のスーフィー・ムハンマドが火曜日、ニザミ・アドル条例2009に大統領が調印したために、タリバンに武器を放棄するように呼びかけた。

TNSMは軍と協力し、今後もマラカンド地区に平和をもたらすことに尽力するという。タリバンに拘束されている者には、全員恩赦が与えられると表明した。

(中略)いっぽうTTP報道官のハッジ・ムスリム・ハーンが武装勢力に、武器を捨てるように呼びかけた。マームデーライにあるタリバン本部においても、武器の所持は許されないという。

また公共の場で武器を振りかざすのをやめるように指図し、これに違反したらタリーブではないと述べた。マラカンド全域にカジが派遣され、シャリア法に従ってすべての決議がなされるという。

TNSM責任者によると、タリバンはブネール地区から撤退し、現在いるのは地元タリバンだけだという(中略)。またタリバンはスワートでパトロールを行なうことを中止したと述べ、これからは法施行者に協力するという(中略)。

火曜日からシャリア法廷が始動した。これらの法廷はスワートの6地域で機能を開始していたが、大統領の調印が遅れたために、その権限は限られていた。

スワートのタリバン責任者のモーラナ・ファズルッラーは、中央政府はシャリア法の導入により、マラカンド地域の人々とタリバンの心を勝ち取ったと述べた。タリバンは、今後は中央政府に協力するという。

いっぽうスーフィー・ムハンマドは、残虐な殺人罪で起訴された過激派は、処刑されることはないと述べた。ファズルッラーや彼の部下たちの過去は清算するという。過去は捨てて、これからは平和な暮らしが始まるという(後略)。

hoonSufi asks Taliban to lay down arms
MINGORA

■シャリア法調印、残る疑問[090414 BBC]

パキスタン政府は、スワート地方にシャリア法を導入することに、とうとう調印した。しかしこの法の概略はいまだに明らかではなく、今後も問題が生じる可能性がある。

政府は、シャリア法導入というタリバンの要求が実現したために、彼らが武器を捨てるだろうと見ている。いっぽうタリバンは、新たな前線を支配したわけではいないものの、「正しい道」に社会を誘導するために、平和な時間を確保したと信じている。

地元の宗教指導者のモーラナ・スーフィー・ムハンマドは、政府ともタリバンとも距離を置き、自分が考えている法の形態を明かしていない。

パキスタンや欧米では、タリバンが人権を尊重しないのではないかと見ている。さらにタリバンは力で平和を獲得したために、軍事力を手放さないのではないかと見ている。

(中略)北西辺境州政府のANPは、スワートにイスラーム法を導入する法案を起草し、ザルダリの承認を待った。しかし大統領は2ヵ月もこれを放置し、「スワートに政府の権限が回復」したあと、調印すると主張した。しかし、これが実現したわけではない。

調印が完了した今、スーフィー・ムハンマドは武装勢力に、武器の放棄を呼びかけている(中略)。ANPの幹部指導者ハッジ・アディールは、もしタリバンがスワートの民衆に影響力を持ち続けたいのであれば、政党を組織するべきだと述べた。「銃をつきつけて人々に生活する方法を指図するのは、正しい道ではない」。しかしこの協定に反対する人々は、そんな生易しいことではないと述べる。

ここ数ヵ月の間に、武装勢力はスワート各地に自分たちの支部を作り、犯罪や争いを解決するため、また道徳に反した者を処罰するために、イスラーム法廷を設置した。2月に停戦協定を結んでからは、軍が指定された駐屯地以外に検問所を作る事を禁じた。

しかし、自分たちの行動を規制されることを拒み、先週もブネール地区に侵入して警察署を占拠、有名な地元の聖地を封鎖した(中略)。

火曜日に宗教問題省のハミッド・サイード・カズミは、裁判官の資格、彼らを任命するメカニズムや正式な法廷の設置方法は、今後の課題であると述べた。

北西辺境州政府は、裁判官の選抜や任命を自分たちが行なうと述べたが、武装勢力をはじめスーフィー・ムハンマドも、これに関与することを望んでいる。スワートから軍が撤退する時期、警察や地元政府の役割もまだ明らかではない。

ANP主導政府がタリバンと和平協定を結んだのは、軍はタリバンをスワートから追い出すつもりはないことを確信したからだ。シャリア法が導入されたあと、タリバンは民衆やスーフィー・ムハンマドのような指導者たちから、圧力がかけられるはずだと考える。

1994年にスワートにイスラーム法廷を初めて導入した元北西辺境州大臣のアフタブ・シェルパオは、成功するまで時間がかかると述べた。「スワートが日常に戻るには、1年かかるだろう」。しかし1年後にタリバンは、スワートを確保し、近隣地域に進出する態勢を整えているはずだと見る者が多い。

garrDoubts remain as Sharia bill signed、
M Ilyas Khan、Islamabad

■パキスタン、ムンバイの攻撃に関与して、新たに逮捕者[090413 AFP]

パキスタンが月曜日、ムンバイテロに関与した新たな首謀者を逮捕したと発表した。(中略)「我々はもう1人、別の人間を逮捕した。資金を送金し、計画に関与していたシャヒード・ジャミール・リアーズを逮捕した」と、レーマン・マリーク内相が述べた。

先月パキスタンで報道された地元のメディアによると、リアーズは現在まだ取り調べを受けているという。

イスラマバードは2月に、ムンバイ攻撃は一部パキスタンで計画されことを認め、8人の容疑者を起訴したという。そのうちの6人は、すでに逮捕されている(後略)。

hoonPakistan confirms new arrest over Mumbai attacks
ISLAMABAD

■パキスタン、マフスードの仲間を逮捕[090413 AFP]

パキスタンの警察によると、月曜日にバイトゥッラー・マフスードと関係する容疑者を逮捕した。「バイトゥッラー・マフスードと関係がある、バッドシャー・ディームという男を逮捕した」と、犯罪捜査局の刑事ファヤーズ・ハーンが述べた。

(中略)ハーンによると、カラチの貧民街のサチャールにある民家を家宅捜索してディーンを逮捕し、武器を押収したという。「バッドシャーは、カラチで犯罪行為をする過激派たちに、兵站学的援助を行なっていた」という。「資金を部族地帯に送っていた」と付け加えた。警察はカラチで、ディーンの仲間を探しているという。

hoonPakistan arrests suspected Mehsud ally
KARACHI

■抵抗勢力、パキスタンの州に大きな一歩[090413 New York Times]

地元過激派組織と協力しているタリバン抵抗勢力が、パンジャーブに進出してきた。

(中略)3月にラホールでスリランカのクリケットチームが襲撃された事件や、去年の秋のマリオット・ホテルの爆弾事件は、過激派とタリバンが協力し合っていることを証明する。

警察や地元住民、アナリストたちは、政府が真剣にならなければ、パンジャーブの貧困層たちが住む地域が、次に狙われる可能性があるという。「問題の深刻さに気づいている人間は少ない」と、パンジャーブの警察幹部が述べた。「パキスタンを不安定にするためには、パンジャーブを不安定にすればよい」。

アメリカの無人偵察機が部族地帯のタリバンやアルカイダ拠点を破壊しているが、武装勢力たちはパキスタン内部に侵入し始めた。報復のため、そして新たな拠点を作るためである。

(中略)武装勢力は、タリバンが支配する地域とパンジャーブの中心への入り口でもある、デーラ・ガジ・ハーンに進出し始めた。住民たちは、恐れおののいている。

北部の町には武装勢力が多数侵入しているために、周辺の人々は入って来なくなった。

ムルターンを含む、パンジャーブ南部と西部の5つの町で、床屋や音楽店、インターネットカフェが、武装勢力に脅迫されている。太鼓や踊りなどを伴う伝統的な祭りが、一部の地域で中止された。過激主義のイデオロギーが多数の人間に影響を与え、イスラーム革命を浸透させようとしている。1990年代以来なかった宗教抗争が、再び勃発し始めた。

「これからひどくなる」と、デーラ・ガジ・ハーンの警察関係者が語った。「彼らは活動を開始した。これは事実だ」。

米政府関係者も、同意する。オバマ政権のパキスタンとアフガニスタンの政策をまとめたブルース・リーデルは、タリバンは最近「パンジャーブで活動し始めた」と述べた。「これらの過激派組織が、協力している」と、元CIA関係者のリーデルが語った。「これまでも関係はあったが、それがさらに強化され、以前よりも目立ってきた」。

パンジャーブの過激派組織は、パシュトゥーン族のタリバンと1980年代から関係を持って来た。政府に支援され、カシミールでインド軍に対立してきた、パンジャーブの組織のベテランたちもいる。シーア派を標的にする組織もある。

アメリカの圧力のもとで、ムシャラフ元大統領はパンジャーブ人組織への支援を打ち切った。彼らは地下に潜ったか、部族地帯に侵入し、タリバンやアルカイダとの関係を強化した。

夏以来、部族地帯に対するアメリカの攻撃で殺害された武装勢力のうち、少なくとも20人はパンジャーブ人だった。部族地帯の武装勢力の5〜10%がパンジャーブ人の可能性があると、あるパキスタン人治安関係者が語った。

彼らは、イデオロギー以上のもので協力しあっている。「戦略的な協力だ」と、ある米対テロリズム幹部が語った。アルカイダと関係のあるパシュトゥーン族のタリバンとアラブ人の過激派は、金、隠れ家、訓練所、自爆志願者たちを持つ。パンジャーブ人過激派は、ラホールのようなパンジャーブの町で、兵站学的な援助を提供できる。

2007年に政府がイスラマバードのラール・マスジッドを攻撃してから、組織間の連携が活発になった(中略)。

両者の協力で行なわれのが、去年の9月のマリオットホテルの爆弾事件である。それ以来、デーラ・ガジ・ハーンのような場所が、狙われて来た(中略)。

デーラ・ガジ・ハーンは、パキスタンにとって重要な2つの地域の接点にある。まずはパキスタンの中心に至る、パンジシャーブ南部。そしてバローチスタンに接する北西辺境州である。どちらもタリバンの拠点である。

(中略)宗教抗争を植え付けるようとする攻撃も、頻繁になってきた。2月5日にデーラ・ガジ・ハーンで起きた自爆事件が、例に挙げられる。地元のパンジャーブ人2人がタリバンの協力を得て、シーア派が儀礼を行なっている最中に攻撃を行ない、29人を殺害した。

4月6日に、政府は首謀者2人を逮捕した。地元マドラッサの指導者、カリ・ムハンマド・イスマイル・グルと、医療会社のセールスマンを装ったジハード志願者のグーラム・ムスタファ・カイスラニである。2人は、過激派組織のラシュカレ・ジャングヴィに属するが、バイトゥッラー・マフスードと電話で連絡を取っていた。

「彼らがかけた電話番号は、ワジリスタンのものだった」と、警察関係者が述べた。「協力し合っていた」。「1人は去年の夏にワジリスタンで訓練を受けていた。作戦は用意周到だった。カイスラニは自分のパキスタンの銀行口座に、1100万ドル相当の送金を受けていた」。

デーラ・ガジ・ハーンで最近起きた、2件の銀行強盗事件が、イスラーム過激派組織と関係していたという。「入ってくる金額は膨大だ」と、ラホール警察署の操作責任者ズルフィカール・ハミードが述べた。「送金の流れを辿ると、金が目的であることがわかる」。

デーラ・ガジ・ハーンの自爆攻撃のあと、ラール・マスジッドの「復讐」と題されたビデオが出回った。各地で起きた自爆攻撃の現場写真と、実行犯の遺言を集めたものである。

ラール・マスジッドの作戦で殺害された説教師の妻であるウッメ・セッサンは、最近パンジャーブに頻繁に通い、支持者たちと集会を持つ。ここ数ヵ月の間に12回も群衆の歓迎を受け、攻撃の様子を撮った感動的なビデオクリップを見せたと、彼女を監視しているパンジャーブ人関係者が述べた。「3ヵ月以内に、イスラーム革命を起こすと主張している」と、ムザファルガーの集会に出席したウマル・ドラーズが語った。

パンジャーブ南部と西部の状況は、スワートほどではない(中略)。しかし類似点が多数ある(中略)。警察力の欠如。国家や州の指導者の注意の欠如。脅迫を受ける住民。または過激主義のムッラーに説得された住民。

ちょうど北に位置するジャダン・ルンドでは、過激派がイスラーム法を要求していると、ジャン・シェールが語る。「スワートと状況が似てきた」(後略)。

garrInsurgents Make Inroads in Key Pakistan Province
Sabrina Tavernise

■比較的安定していたワジリスタンで衝突[090413 BBC]

パキスタン軍が夜間に北西部で武装勢力と衝突し、3人を殺害したと関係者が述べた。

ムッラー・ナジール司令官の配下の戦闘員たちが、南ワジリスタンのワナの近くにある治安部隊の拠点を攻撃したために、衝突が発生した。

パキスタン軍は2004年にワジリスタンの武装勢力と和平協定を結び、それ以来武装勢力の取り締まりを実施していない。ムッラー・ナジールとの激しい戦闘があったのは、2007年4月以来のことである。

当時ワナのパキスタン軍はムッラー・ナジールは、政府の支援を受けて、パキスタン政府に対抗していたタリバン司令官多数を排除した。しかしアメリカの無人偵察機がミサイル攻撃を実施していることで、政府とムッラー・ナジールとの関係は悪化した。

今回の衝突で、武装勢力たちは夜中にロケット砲や自動兵器を使用して、ワナにある治安部隊の検問所2ヵ所を攻撃した。軍は大砲や迫撃砲を使用して応戦し、周囲の丘にある武装勢力の隠れ家2ヵ所を破壊、部族民戦闘員3人を殺害した。

ダルガイ地域の戦いで、準軍隊兵士1人が負傷した。

ムッラー・ナジールは数週間前に、政府が無人偵察機による攻撃を許し、過激派にモスクや公共施設を攻撃するよう命じてタリバンに汚名を着せていると非難するCDメッセージを発表し、これらの行為に報復すると述べた。

いっぽうジャンドーラの関係者によると、バイトゥッラー・マフスードと関係のある組織に属する2人の男の遺体が発見された。2人は至近距離から撃たれていた。遺体は、ジャンドーラのマフスード派に属する、アスマトゥッラー・シャヒーンが率いる組織の戦闘員だという。組織は、ハッジ・トルキスタン・ビッターニが率いるライバル組織と対立している。ビッターニは、政府に協力しているといわれる。

ビッターニは、今回の殺人には関与していないと語った。

hoonClashes break lull in Waziristan
M Ilyas Khan、Islamabad

■パキスタン、スワートのシャリア法、許可[090413 BBC]

ザルダリ大統領が、スワートにシャリア法を導入する保守的な条例に調印した。

これに先立ち国会は、ザルダリにタリバンと交わした約束を守ることを促す決議を提出した。

(中略)この地域にいる武装勢力に有利になり、人権問題が発生する危険性が伴う。しかしギラニ首相は、シャリア法導入に賛成したという。「我々は国家全体の合意がほしい。国会を除外したくなかった」。国会は満場一致で決議を承認し、ザルダリに調印を促した。

唯一、カラチを拠点とするムッタヒダ・カウーム運動党だけが、棄権した。

(中略)国会に持ち込まれたのは、保守的で、国の内外で議論が沸いているこの問題に対して、国家の承認を得るためだったと思われる。北西辺境州を支配する世俗政党のANPは、条例を議会に持ち込んだザルダリの決議に批判的だった。北西辺境州大臣のミアン・イフティハール・フセインがメディアに、大統領は政策の変更をANPに相談していなかったと述べた。

タリバン報道官のムスリム・ハーンが、議会で協定に反対した議員は、敵と見なすと述べた(後略)。

hoonPakistan passes Swat Sharia deal

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2009.