【2009年5月25日〜5月31日】


■パキスタンに隠れるアルカイダに対する兵器は、CIAの謎の「チップ」[090531 Guardian]

CIAはパキスタンの部族民に、アルカイダ指導者たちを攻撃または殺害するために、極秘電子トランスミッターを供給している。

軍がスワートのタリバン掃討作戦を実施する最中、バイトゥッラー・マフスードがいるワジリスタンに、注目が集っている。

しかし部族民によると、アメリカはこの地域にいる敵を狙うために、高度なテクノロジーと、昔ながらのキャッシュを使用しているという。18ヵ月の間に、アメリカは北ワジリスタンに50回以上無人偵察機によるミサイル攻撃を実施し、アメリカの関係者によると、アルカイダ幹部20人のうち、9人が死亡したという。

これらの成功は、謎の電子機器、「チップ」または「パスライ(金属器機に対するパシュトゥ)」のおかげで、人々を恐怖と畏敬の念を抱かせている。「話題になっている」と、南ワジリスタンの学生のタージ・ムハンマド・ワジールが述べた。「パスライが家の中に入ってくれば、偵察機がそれを攻撃しにくると、人々は恐れている」。

住民やタリバンのプロパガンダによると、CIAは部族民を買収して、アルカイダやタリバンを匿っている家の近くに、電子機器を設置する。数時間または数日後、このチップに導かれて無人偵察機がやってきて、建物をミサイルで攻撃する。「遺体が吹っ飛ぶ」と、攻撃の様子を目撃したワジールが述べた。

パキスタン軍が戦いを放棄したために、ワジリスタンの抵抗勢力たちは、無人偵察機だけが脅威だった。しかしスワートの作戦で抵抗勢力が一掃されると、イスラマバードはこの地域にも進出しようとしている。

(中略)オバマ政権は無人偵察機の使用を認めている。米軍にとっては、安上がりで、危険もない。しかしミサイル攻撃により、一般市民の犠牲者も増えた。パキスタンの新聞によると、2006年以来、700人以上がミサイル攻撃で死亡したが、そのほとんどが一般市民だったと報道している。

部族民にとって、誤った標的にマイクロチップを設置してしまった場合、恐ろしい結果となる。先月タリバンが、19歳のハビーブ・ウル・レーマンの自白ビデオを発行した。「よい報酬だった」と、2万ルピーをもらい、タバコの巻き紙に隠されたマイクロチップを、標的の家に置いたことを震える声で告白した。レーマンによると、攻撃が成功した場合、数千ボンドの報酬金と、万が一捕まった時には保護されることが約束されたという。ビデオの終わりにレーマンは仲間3人のスパイと一緒に、射殺された。これまで約100人が、スパイ容疑で処刑されている。

ワナでは、外国人戦闘員たちがバザールや店を避け、地元民たちは戦闘員を避けている。「以前、一般民たちは抵抗勢力の隣に座っていた」と、ワジールが語る。「いまは恐れている」。

神経質になった抵抗勢力司令官たちは、アフガニスタンとパキスタンの車の行き来を監視している。CIAのチップを持ったスパイが入ってくるのを疑っていると、北ワジリスタンのスピン・アム村のイムティアーズ・ワジールが語る。「何の目的もなくアフガニスタンに入れば、抵抗勢力に理由を聞かれる」。誤った答えを返した地元の運転手が、2ヵ月前に発見された。足と手が折られていた。

(中略)2006年にワジリスタンで仕事をしていた元CIA関係者が、CIAの工作員、通信専門家、特殊部隊兵士からなる小さな米国人の一団が、部族地帯にあるパキスタンの軍事基地に駐屯しているという。そこからCIAは協力者に報酬を支払い、標的を特定させている。ほとんどが、貧しい地元民だ。

皮肉なことに、国境地帯では無人偵察機による攻撃が支持されている。特に治安関係者は、これを歓迎している。「非常に正確、効果的で、タリバンやアルカイダはこれを恐れている」と、州警察責任者のマリーク・ナヴィード・ハーンが述べた。しかしこの攻撃により、アメリカとISIの間に溝が生じた。ISIは、この新たなテクノロジーをコントロールする権限を、パキスタンに渡してほしいのだ。

軍が南ワジリスタンを攻撃する準備を進めているために、バイトゥッラー・マフスードも窮地に追いやられそうだ。軍の支持を得たライバルの抵抗勢力も、彼に挑戦している。さらに誰がが「パサライ」を、自分の家に置くかもしれない。

smellMysterious 'chip' is CIA's latest weapon against al-Qaida targets hiding in Pakistan's tribal belt
Declan Walsh、Peshawar

■パキスタン、スワート制圧、他地域でも衝突[090531 AP]

日曜日にタリバン戦闘員が、北西部の部族地帯でパキスタン軍と衝突したと、諜報関係者が述べた。この戦闘で、抵抗勢力数十人が死亡したという。また軍が、スワートの中心であるミンゴーラを制圧した。

バイトゥッラー・マフスードの拠点である南ワジリスタンで戦闘が発生したことにより、パキスタン軍がスワートの作戦をさらに別の地域にも拡大していくつもりかどうかが、注目される。またスワートから気をそらせるための、武装勢力の戦術とも考えられる。

パキスタンの国防省が日曜日、1ヵ月に及んだスワートの軍事作戦は、「ほとんど完成し、成功した」と述べた。「仕事の10%が残っているだけで、2〜3日中には終わる」と、サイード・アサール・アリ元将軍が述べた。道路封鎖にも関わらず、ミンゴーラから逃げ出した者もいるという。別の地域で再び戦闘が開始する可能性もあると付け加えた(後略)。

hoonPakistan gains in Swat as trouble flares elsewhere
ISHTIAQ MAHSUD、DERA ISMAIL KHAN

■軍、スワートを制圧[090530 New York Times]

パキスタン軍が土曜日、ミンゴーラを完全に制圧したと述べ、タリバンに対して勝利したという。

アサール・アッバス少将が記者会見で、軍は地元民の協力でホテルや建物内に隠れていたタリバンを探し出し、抵抗勢力を追い出したと述べた。

(中略)アッパス将軍はアブ・サイードとミスバフッディンの2人の司令官を殺害したと発表したが、他のタリバン幹部指導者たちが逮捕または殺害されたかどうかは、明らかではない。

(中略)アッバスによると、スワートの戦いは地元の人間との戦いだったが、そのうちの10%が外部の人間で、中央アジアやアフガニスタン、そしてワジリスタンなどの出身者もいたという(中略)。

パキスタンは次の作戦を、ワジリスタンで実施することを計画していると発表している。

ミンゴーラでは、抵抗勢力が一般市民を装って、ホテルや一般の建物内部にいたという(中略)。兵士たちは、長さ100フィート幅12フィートの、武器が隠された5つのトンネルを発見した。

軍によると、一般市民の犠牲者の数はわからないが、兵士81人が死亡、250人が負傷したという(後略)。

hoonPakistan Army Claims Control of Main Swat Town
SABRINA TAVERNISE、ISLAMABAD

■軍、ピオチャールとバーレーンを制圧[090530 News]

治安部隊が金曜日、スワートのピオチャールとバーレンを制圧し、抵抗勢力司令官6人を含む28人を殺害、7人を逮捕した。

軍広報部によると、谷の各地で兵士5人と一般市民2人が負傷した。ロワー・ディールのカルパニ地域の捜索では、抵抗勢力司令官6人が死亡し、2人が逮捕された。

軍広報部によると、これまでの作戦で、抵抗勢力1300人と兵士90人が死亡したという。治安部隊はカラームに向かっており、間もなくこの地域に到着する。

ピオチャールでは、治安軍が捜索活動を実施し、タリバンの拠点を排除した(中略)。またバーレーンでは、抵抗勢力司令官のフーシュミール・ハーン、別名アブ・フザイファを含む9人の戦闘員を殺害した。銃撃戦で、兵士2人と一般市民多数が負傷した。

ブネールでは、治安部隊がダッガール付近で簡易爆弾5個を取り除いた。軍と抵抗勢力との間で銃撃戦もあり、抵抗勢力13人が死亡した(中略)。

カラームの住民によると、サタール地域に抵抗勢力の遺体が放置されているという。カラームの抵抗勢力は、軍がバーレーンに入って来たために逃走した。コーヒスタン方面に逃げていくのが目撃されたという。

ミンゴーラでは軍が、抵抗勢力を探し出すために、一軒ずつ家を捜索している。

またブネールでは、軍がピール・バーバとゴーカンド谷にいる抵抗勢力に近づいている(後略)。

hoonForces secure Peuchar, Bahrain
Muhammad Anis、RAWALPINDI

■タリバン、カナダ人をいまだに拘束[090530 Asia Times]

パキスタンにとって、いまだに2つのタリバンがいる。いいタリバンと悪いタリバンだ。北ワジリスタンのハーフィズ・グル・バハドゥールは、いいタリバンと見られている。

彼はバイトゥッラー・マフスードのライバルで、治安部隊とは和平協定を締結している。ムジャヒディン会議のメンバーであるために、アフガニスタンにいる米軍とだけ戦っている。

しかし彼は去年北西辺境州のブッナーで、カナダ人ジャーナリストのビバリー・ギースベレヒト拉致事件に関わっている。このジャーリストはイスラーム教に改宗し、ハドジャ・アブドゥル・カハールとして知られている(中略)。

ハドジャ解放に関与している者によると、彼女は心臓が悪く、今週になって状態が悪化した。しかし身代金に関して折り合いが合わず、いまだに拘束されたままである。

「解放のために尽力している」と、元ISIの退役軍人、ハリッド・ハジャワが述べた。彼女と通訳のスレーマンの解放のための交渉に、関与していいる。「イスラーム神学者協会のモーラナ・ファズール・レーマンが、カナダ政府のために動いていた。当初抵抗勢力は、彼女はアメリカのスパイだとして、解放を拒否した。しかしファズールが関与してくると、6000万ルピーと引き換えに解放することに同意した。カナダ政府は金を用意した。ところが数週間前に、新たな展開になった」。

「北ワジリスタンの行政官を通じて話し合いが進んでいたが、行政官が身代金の50%を要求してきた。金の一部はペシャワルのガバナーズ・ハウスにいき、その後イスラマバードの大統領本部に回る」。「ということはカナダは3000万ルピー余計に支払わなければならないわけで、従ってカナダはこの話に興味を失ってしまった」。

2002年4月にハドジャはインターネット・ウェベサイトの「ジハード・アンスパン」を立ち上げた。反米サイトとして捉えられていた。

「ハドジャが心臓発作を起こしたという情報が入って来た。しかし、抵抗勢力は解放を拒否している。我々の抵抗勢力とのリンクは、シャー・アブドゥル・アジーズだった。彼は元国会議員で、彼のアドバイスに従ってハドジャはブナーに向かった。しかし、彼は水曜日に治安組織に逮捕された。従って今となっては、報道を通じて抵抗勢力と接触するしかなくなった」と、ハワジャが述べた。

smellTaliban keep grip on kidnapped Canadian
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■一連の爆発で11人死亡、68人負傷[090529 News]

木曜日にテロリストが州都を攻撃し、8人が死亡、68人以上が負傷した。

キサハニ・バザールで2つの爆発があったあと、コハート・ロードのスラ・ハウラ検問所の警察車に対して自爆攻撃があり、警察官3人が死亡、9人が負傷した。

爆発直後、キサハニ・バザールの裏の建物に立て籠ったテロリストが警察と対戦し、抵抗勢力2人が殺害され、2人が逮捕された。

(中略)最初の爆発は、キラハニ・バザールの裏にあるカバリ・バザールで起きた。その2分後に、キサハニ・バザールの菓子店の前に置かれたバイクに仕掛けられた爆弾が、爆発した。

この爆発で7人が死亡し、63人が負傷した(中略)。犠牲者のうちの3人は、抵抗勢力と警察との銃撃戦に巻き込まれて死亡したと報告されている。

キサハニ・バザールで救助活動が行なわれている最中、車に乗った自爆発がコハート・ロードに設置された検問所に駐車中の警察の車に激突した。警察の車が破壊され、中にいた警察官が死傷した。警察官3人が死亡、9人が負傷した。

タージ・マーケットの所有者であるハッジ・ティラ・ムハンマドが後に、逮捕された男の1人は日中バナナを売る、自分の店の見張り役で、過激活動には関わっていないと述べた(後略)。

hoon11 killed, 68 injured in three successive blasts
Javed Aziz Khan、PESHAWAR

■アルカイダ、ラホール攻撃[090529 Asia Times]

(前略)水曜日のラホールに対する攻撃は、スワートの軍事作戦の報復と見られているが、事実は異なる。

スワートの軍事作戦の報復として、バイトゥッラー・マフスードは各地に何人かの男たちを派遣したが、攻撃は失敗した。

まずカラチに男たちの一団が派遣された。スワートの住民であるサディーク・ザミールの息子、アムジャッド・ザミール・ハタック、別名ムシサート、別名タルハ、ノーシェラの住民ムハンマド・ハキーム・ハーンの息子のムハンマド・サフィール、別名サイフッラー、アドナーンとアブドゥル・ハキームである。彼らはラシュカレ・ジャングヴィとハラカトゥル・ムジャヒディンのメンバーだったが、現在はバイトゥッラー・マフスードの一味である。

彼らは先週カラチに到着し、MMQ本部を攻撃しようとしたが、厳重に警備されていたために諦めた。次の標的に向かう途中に彼らの存在が警察に漏れ、ハタックとアシームが逮捕された。残りは逃走した。

水曜日のラホールの攻撃は、ブッシュ政権最後の日々にパキスタンとアメリカが交わした合意に根づく(中略)。オバマ政権はブッシュの政策を踏襲してパキスタンに圧力をかけ、アルカイダ幹部のエジプト人、シェイク・エッサ・アルミスリが逮捕された。

アブ・アムロ・アブドゥル・ハキーム、別名シェイク・エッサは70代であるが、彼は必ずしもアルカイダ幹部の中では人気があるわけではなかった。彼は1960年代のムスリム同胞団のメンバーで、アブドゥル・カディール・オウダーの仲間だった。1960年にエジプトのナセル大統領時代に処刑された、ムスリム同胞団の将軍である。

シェイク・エッサは北ワジリスタンに落ち着いていたが、パンジャーブのファイサラバードを訪れたとき、諜報組織に逮捕された。この逮捕で、アラブ人グループは激怒した。

しかしラホールの攻撃の直接的な原因は、モーマンド行政区のアルカイダの拠点に対する取り締まりに対するもので、2つのパキスタン人グループが計画した。

10日前、諜報組織がサウジ国籍の人間4人を逮捕した。アフマッド、アリ、ムハンマド、オバイドゥッラーとだけ明らかになっている。最近サウジから入国している。リビア出身のアブドゥッラーという男もおり、この爆発物の専門家たちはアフガニスタンのヘルマンドにしばらくいたことがある(中略)。サウジ人たちの逮捕から、パキスタンのアルカイダ幹部に対する敵意が明らかになる。

その結果、ラホールの攻撃はアルカイダが計画、資金援助を行なった。カシミールのゲリラ司令官、イリアス・カシミーリが率いるジュンドゥル・フィーダ組織が、バイトゥッラー・マフスード系の抵抗勢力に兵站学的援助を行ない、自爆攻撃が実施された(後略)。

garrAl-Qaeda strikes back in Lahore
Syed Saleem Shahzad、KARACHI

■TTP犯行声明発表[090529 News]

テヘリケーケ・タリバン・パキスタン(TTP)の抵抗勢力司令官のハキムッラー・マフスードが木曜日、水曜日にラホールで起きた自爆攻撃に対して犯行声明を発表した。

南ワジリスタンのバイトゥッラー・マフスードの代表であるハキムッラーは、今後パンジャーブ各地で攻撃を行なうと警告した。

ラホールの攻撃は、スワートに対する軍事作戦の報復だと述べ、無実な人間多数が死亡していると主張した。さらに南ワジリスタンでも軍事作戦が実施され、仲間3人が死亡、数人が負傷したと述べた。

(中略)武装勢力に近い情報源によると、ファズルッラーがバイトゥッラー・マフスードに、パンジャーブを攻撃するために自爆志願者を派遣するよう依頼したという。情報源によると、スワートのタリバンが軍事作戦で仲間を失っていることに憤慨し、バイトゥッラー・マフスードに、軍関係者や政府に対して自爆攻撃を実施するよう依頼したという。

軍報道部が、TTPスワート報道官のムスリム・ハーンと南ワジリスタンの何者かとの会話を盗聴し、公開した。この会話からムスリム・ハーンが、他の部族地帯のTTP戦闘員に失望している様子が伺われた(中略)。

ハキムッラーはバイトゥッラー・マフスードの信頼を受けた司令官で、カイバル・オラクザイ・クラム行政区を管轄している。南ワジリスタンのTTPの自爆訓練士で、スポンサーである別のタリバン司令官、カリ・フセインの従兄弟である。

garrTTP claims Lahore attack, threatens more
Mushtaq Yusufzai、PESHAWAR

■アフガニスタン東部で、抵抗勢力34人殺害[090528 AP]

木曜日にアフガニスタン東部で、米軍主導軍が外国人戦闘員の訓練所を攻撃し、アラブ人やパキスタン人を含む過激派34人を殺害した。犠牲者のうちの6人が戦いの際に自爆ベストを爆破させたと、米合同軍が発表した。

パクティア州の、厳重に警備された敷地内が襲撃された。パクティアは、アフガニスタンとパキスタンが接する国境地帯で、この地域がいまだにイスラーム過激派の養成所であることが明らかになった。

(中略)戦闘の際、少なくとも6人の抵抗勢力が自爆ベストを爆破させ、同盟軍兵士1人が負傷した。アフガン政府関係者によると、アラブ人とパキスタン人22人を含む、34人の遺体を回収したという。

同盟軍は、サンギーンという名前の抵抗勢力司令官を捜索していたが、ワール・マメイ地区の敷地内で殺害された人間の中に含まれていたかは、明らかではない。サンギーンは、アルカイダ幹部やパキスタンからアフガニスタンにかけて活動する外国人戦闘員のために計画を立て、活動を取り仕切っていると思われる。

抵抗勢力数十人が、夜明け前に実施された地上戦に応戦してきたために、空からの攻撃が行なわれたという。軍は武器庫を摘発したという。

いっぽうアフガニスタン南部では、NATO軍兵士1人が道路脇に仕掛けられた簡易爆弾で殺害された(後略)。

hoon34 insurgents killed in eastern Afghanistan
FISNIK ABRASHI、KABUL

■パキスタンで新たな爆発[090528 BBC]

ペシャワルの町2ヵ所で爆発があり、少なくとも10人が死亡した。混雑したマーケットで2つの爆発があり、6人が死亡、70人が負傷した。その後自爆犯が町の郊外にある軍の検問所を攻撃し、兵士4人を殺害した。攻撃は、パキスタン人タリバンが、24人を殺害したラホールの攻撃に対して、犯行声明を出した数時間後に起きた。

最初に起きたペシャワルの攻撃では、バイク2台に仕掛けられた爆弾が時限装置で爆発したと、爆発処理班責任者のシャファカート・マリークが述べた。

ペシャワルの住民のタヒール・アリ・シャーが、15人ほどが地面に横たわっているのが見えたと述べた。店舗や車が破壊されている映像が、テレビで放映された(中略)。「突然爆発し、一面火の海になり、煙が空に立ちこめた」と、店主のハイール・ウッディンが述べた。警察が到着すると、銃を持った男たちが発砲を始めた。警察によると、抵抗勢力2人が殺害され、2人が逮捕された。

銃撃が続いている間、爆発物を搭載した車を運転した自爆犯が、町の郊外にある軍の検問所に向かった。

これらの攻撃は、ラホールの攻撃とタリバンの警告があった直後に発生している。

さらに木曜日には、ペシャワルから300キロ離れたデーラ・イスマイル・ハーンで爆発があり、少なくとも3人が死亡、数人が負傷した。

前日のラホールの攻撃は、軍がスワートで作戦を実施していることに対する報復だと、タリバン代表のハキムッラー・マフスードが『BBC』に電話で語った。

軍によると、過去1ヵ月の間に抵抗勢力1000人以上が殺害されたというが、裏付けはない。またスワートの中心であるミンゴーラの70%を制圧し、数日のうちには全体を確保すると語っている。

オラクザイとカイバル地域のタリバン司令官ハキムッラー・マフスードが、一般市民に対して「町から避難する」ように呼びかけた。今後ラホール、イスラマバード、ラワルピンディ、ムルタンの「政府を標的に」攻撃を続けると警告した。(中略)。

水曜日に起きたラホールの攻撃では、200人以上が負傷した。男の一団が強力な車爆弾を爆発させる前に、警察関係者に発砲し、警察官12人とISI工作員が少なくとも1人、幼児1人が、少なくとも死亡した。

garrFresh blasts hit Pakistani city

■パキスタンのタリバン戦争の影で[090528 BBC]

パキスタンの北西部にあるコーヒスタンでは、人々の話題の中心はシャリア法ではなく、治安である。

政府は、支配が及ばないこの広大な地域の治安が悪くなれば、タリバンに占拠されることを懸念している。しかし地元の部族民たちは、軍もタリバンも歓迎しない。「もし軍が来れば、タリバンが来る。逆でも同じだ」と、有力な長老で元国会議員のマリーク・サイード・アフマッドが語る。

地元の人間は、パシュトゥーンとは異なる民族で、パシュトゥーンのタリバンに対立する。タリバンは軍が作り出したもので、軍の「極秘」使命のために使用されていると信じる者さえいる。

部族民たちは、タリバンが入ってきた場合に備えて、地元の民兵軍を組織しようとしているが、このような軍は、タリバンに太刀打ちできないはずだ。地元警察の数は足りず、能力も低い。「スワートから追い出されたタリバンが、コーヒスタンに入ることは大いに考えられる」と、政府関係者が述べた。

これは最悪の事態だ。抵抗勢力が中央平原部に集まって交通網が良いスワートと異なり、コーヒスタンは2400〜3700メートルの山脈に囲まれた、7400平方キロメートルの地域である。軍が防衛目的のために、谷の西部に備品を運び込むための道路もない。この地域を通過する唯一の道路は、パキスタンと中国をつなぐカラコルム・ハイウェイである。政府関係者は、一度コーヒスタン内にタリバンが入れば、タリバンはこのハイウェイを占拠すると考える。

しかし現在最も頭を悩ませるのが、コーヒスタンのドゥベール地域を流れるインダス川に、中国が建設中の水力発電所があることだ。これまでタリバンは、中国人を好んで標的にしてきた。タリバンは、中国西部の新疆省で活動する、ウイグル・イスラーム抵抗勢力にシンパシーを感じているからだ。

木曜日に、コーヒスタンの主な部族がダッスーに集まり、この問題を話し合った。この地域への軍の配置が、満場一致で反対された。しかし地元の行政官や警察に、ドゥベールの建設作業を警備するために、小隊を駐屯させることを説得された。

話し合いは2時間以上続いたが、その間シャリア法という言葉は一度たりとも出なかったと、地元の弁護士のムムターズ・ハーン・ジャルコッティが述べた。コーヒスタンに住む50万人のうちの3分の2が遊牧民で、高地にある放牧地を移動する。家族間の争いは世代を通じて続くか、このコミューニティーと一緒に移動する長老が仲介する。

ダッスーには、弁護士は8人程度しかおらず、すべての住民の問題を扱う。「地元の裁判所に問題を持ってくる者はほとんどいない。それを高等裁判所に持って行く者はさらに少ない。コーヒスタンから1日がかりでやっと辿り着く、アボタバードにあるからだ」と、ジャルコッティ氏が語る。若い弁護士の間には、1994年代のシャリア法運運動のおぼろげな記憶しかない。この時コーヒスタンがこの運動の中心となり、数週間カラコルム・ハイウェイが遮断された。

これを率いたのが、ディールのモーラナ・スーフィー・ムハンマドだ(中略)。1994年に北西辺境州政府がマラカンド地域にシャリア法を導入したとき、コーヒスタンも対象地域に入れられた。それ以来シャリア法を望む声は、スワート以外では消えた。

「なぜマラカンド地域の人間が要求している法律が、この地域には含まれないコーヒスタンにまで広げられたのかが納得できない」と、別の弁護士のアブドゥル・ハキームが述べた。

ダッスーで行なわれた火曜日の集まりで、1994年にモーラナ・スーフィー・ムハンマドのコーヒスタンにおける部下だったモーラナ・アブドゥル・ハキームが、誰よりもタリバンに反感を示した。

しかし最近のシャリア法導入で、コーヒスタンも対象地域になった。これはコーヒスタンに影響力を及ばせようとするタリバンに、政府が先手を打とうとするためのものだと、ジャルコッティが語る。「コーヒスタンにタリバンはいない。しかし我々をスワートやブネールと一緒にすることで、政府は我々を脅威にさらしている」。

garrIn the shadow of Pakistan's Taliban war
M Ilyas Khan、Kohistan

■なぜラホール?[090528 BBC]

水曜日に、厳重に警備されたラホールのモール・ロードにある警察の緊急事態対策本部に対する自爆攻撃は、パキスタンの文化の中心が攻撃されたことを意味する。スワートなどで攻撃されている、抵抗勢力の仕業であることは明らかだ。彼らは勢力的に活動し、報復する。

3月に起きた警察の訓練センターに対する攻撃、また同じ3月に起きたスリランカのクリケット・チームに対する攻撃からも、ラホールがいまや抵抗勢力と戦うパキスタンの前線になっていることがわかる。

治安関係者によると、ラホールが狙われ始めたのは、これまで安定していたからだという。「ラホールは、9.11以後、パキスタンの中でこれまで唯一安定していた地域だった」。「だから国家や政府に揺さぶりをかけたい人間は、ラホールを狙うだろう」と、関係者は語る。

これまでタリバンたちは、いくつもの攻撃計画を認めたり、犯行声明を出して来た。最近自爆攻撃に対する犯行声明を表明するプロパガンダビデオが最近出回ったが、そのうちの少なくとも2つの事件は、ラホールで起きた。

スリランカのチームに対する攻撃は、ラシュカレ・タイバの犯行とされる。ムンバイのテロの容疑者として、仲間が逮捕されたことに対する報復だとも言われる。ラシュカレ・ジャングヴィのせいにする者もいる(中略)。インドの仕業だとする者さえいる。

しかし事の始まりを忘れている者たちが多い。パキスタンの抵抗勢力たちは、2004年になって、初めて完成度の高い自爆攻撃を使用し始めた。最初はカラチだった。5月に一連の自爆攻撃があり、100人以上が死亡した。それ以来、自爆攻撃が頻発している。北西辺境州では、毎日のように起きている。

専門家たちは、戦術の変化に対してさまざまな意見を述べるが、過激派自身が次のように語る。

「自爆攻撃を行ない始めたのは、当時我々が追い詰められていたからだ」と、過激派のリーダーが2006年に語った。「9.11以後の取り締まりで、多数の仲間が逮捕されたり殺害され、訓練された人間が少なくなった。訓練キャンプを作る場所も、なくなってきた。反撃する最も手っ取り早い方法は爆弾を使用することで、成功率が最も高いのは、人間が直接爆発物を爆破させることだ。訓練はほとんど必要なかった。実行者は若ければ若いほど、説得するのも簡単だった」。

しかし彼によると、必ずしも自爆が効果的ではないという。特に標的が広範囲に広がっていれば、うまくいかない。「メンバーの力が整ったところで、再び襲撃作戦をもう一度行なう」と、結んだ。

パキスタン政府がなんと説明しようと、抵抗勢力たちの力はこの2年間で強力になった(後略)。

hoonAnalysis: Why attack Lahore?
Syed Shoaib Hasan、Islamabad

■パキスタンで自爆隊、30人殺害、250人負傷[090527 AP]

水曜日に自爆隊が銃、手榴弾と爆発物を搭載したワゴンを用いて警察とISIを標的にし、30人を殺害、250人を負傷させた。スワートのタリバンに対する軍事作戦の報復と思われる。

朝、混雑した通りで爆発が起き、町の1ブロック近くが破壊された。死傷者のほとんどが、一般市民だった。

内相のレーマン・マリークによると、抵抗勢力が政府軍に敗北し始めたために攻撃していると述べた(中略)。

SITE Intelligence Groupによると、水曜日に、テヘリーキ・タリバン・パンジャーブと名乗る組織が、トルコのジハード・ウェブサイトに、爆弾攻撃に対してトルコ語で声明を発表し、スワートの戦いに対する報復だと述べた。タリバンとの関係は明らかではない。

爆発が起きたラホールは、タリバンの拠点があるアフガニスタンとの国境地帯から離れている(中略)。

関係者によると、容疑者3人が拘束された。

警察と政府関係者によると、いくつかの政府関係の建物が立っている区画で、統率のとれた爆発が起きた。一連の建物群には、パンジャーブ州政府の建物、警察の緊急事態対策センター、ISIが入ったビルなどがあった。

白いワゴンが警察とISIの建物の間の路地に入り込んだと、警察関係者のソハイル・サヒーラが述べた。ワゴンから2人のガンマンが飛び出し、建物を保護するコンクリートの後ろに隠れて、ISIと警察の建物に向かって発砲した。運転手はワゴンの中に残っていた。

警備員が応戦し、銃撃戦が数分間続いたが、犯人のうちの1人がISIの狙撃隊に撃たれた。その後巨大な爆発が起きた。「爆発が起きると、すべてが真っ暗になった」と、目撃者のムハンマド・アリが述べた。

警察の建物が崩壊し、警察官が下敷きになったり建物内に閉じ込められた。ISIの建物も、壁が崩れた。直径数ヤード、深さ1フィートのクレーターができた。100キロ爆弾が使用されたようだという。

(中略)州大臣のラジャ・リアーズが報道陣に語ったところによると、約30人が死亡し、250人が負傷した。犠牲者の中には、警察官15人とISI関係者数人が含まれている。警察の建物が爆発の直撃を受けたが、ISI本部が本当の標的だったようだ。この建物は、パンジャーブ州のISI作戦センターである(後略)。

garrSuicide squad kills 30, wounds 250 in Pakistan
BABAR DOGAR、LAHORE

■南ワジリスタンで軍事作戦[090527 News]

火曜日に治安部隊が、南ワジリスタンのバイトゥッラー・マフスードが率いる抵抗勢力に対して軍事作戦を実施し、抵抗勢力7人を殺害したと報告されている。

多数の人間が避難を開始し、政府はタンク〜デーラ間の道路に沿ったダバラ地域に、避難キャンプを設営するという。

しかし、軍報道官のアサール・アッパス少将は、南ワジリスタンで軍事作戦を実施したことを否定した。

政府関係者や部族民情報源によると、陸軍の戦闘ヘリコプター4機が、南ワジリスタンのマフスード族の居住地にあるバイトゥッラー・マフスード系タリバンの拠点を攻撃した。

またジャンドーラ・ヘルパトイ、ティアザの国境警察隊の駐屯地から、チャグマライ、ティアルザ、スピンカイ・ラガザイ、セルパトイ村が砲撃された。部族民情報源によると、砲撃と戦闘ヘリコプターの攻撃で、抵抗勢力7人が死亡し、数人が負傷したという。

避難する部族民の間でも犠牲者が出たという報告があるが、政府関係者はこれを否定した。

15人からなるマフスード族の長老と宗教指導者が、政府とバイトゥッラー・マフスード系武装勢力の間を取り持ち、交渉を行なっている間に作戦が実施された。ジルガはすでにバイトゥッラー・マフスードと彼の幹部司令官との話し合いを終え、対話を通して政府と問題を解決することを約束したばかりだった。

ジルガは、南ワジリスタンの行政官のサイード・シャハーブ・アリ・シャーに、タリバンとの話し合いの結果を報告した。ジルガは、これまで続いていた和平協定が決裂することを恐れている(後略)。

hoonOperation launched in South Waziristan
Mushtaq Yusufzai & Irfan Burki、PESHAWAR/WANA

■ファズルッラー、金曜日に殺害されたか?[090627 News]

カーバルとシャモザイの間にあるタリバンの拠点、ダッタ・フラー村の丘の上の避難壕が、金曜日の夕方になって戦闘ヘリコプターで破壊されたが、ここに避難していたタリバン最高幹部の消息が注目されている。

タリバン司令官のファズルッラー師が殺害されたことを軍の情報源は否定していないが、非常にデリケートな事柄であるために、誰もこのことに触れようとしない。

しかし金曜日の攻撃以来、ファズルッラーは司令官と連絡を取っていない。タリバン側もこの件に関しては、沈黙している。もし死亡が確認されれば、テロリストのモラルに大きな衝撃となる。

情報源によると、この避難壕にはタリバン幹部司令官が避難しており、多数散在する他の避難壕と違って、この避難壕の床は大理石で作られ、高価な分厚いアフガン絨毯が残骸の中から発見された。頑丈に作られたこの避難壕には、食料とともに高度に洗練された通信設備もあった。

タリバンが遺体をすぐさま持ち去り埋葬するために、軍は犠牲者の数を特定することが非常に難しい(後略)。

hoonWas Fazlullah taken out in bunker hit on Friday?
RAWALPINDI

■パキスタン、タリバンに接近[090626 AFP]

パキスタン軍が火曜日にスワートで市街戦を行ない、対タリバン作戦で足止めを受けている住民に危険が迫っている。

(中略)「ミンゴーラの半分以上を、軍が制圧した。抵抗勢力の逃走路を全部遮断した」と、軍報道官のアサール・アッバス少将が述べた。「過激主義抵抗勢力」はもう残っていない。「市街戦を展開し、軍はまだ抵抗を受けている。町の中心部や広場は、軍が制圧している。しかし軍の前進とともに、抵抗を受けている」。

治安部隊は以前、ミンゴーラの70%をタリバンが占拠していると発表していた(中略)。「4日前にタリバンが町をパトロールしていたが、今は軍が多数入ってきた」と、ミンゴーラで薬屋を経営するアフマッドゥッラーが述べた。「近くに少なくともタリバン3人の遺体がある。ターバンを捲いて武器が落ちているので判別できる」。

タリバン報道官のモーラビ・オマルが火曜日に電話で、ミンゴーラの抵抗勢力は「一般市民の犠牲者を避けるために」撤退していると述べた。

軍は、24時間内にスワートで抵抗勢力29人を殺害したと発表した。そのうちミンゴーラでは抵抗勢力18人、兵士6人が戦闘で死亡した。

またブネールの90%から抵抗勢力を排除し、ロワー・ディールではまだ戦闘が続いている。

さらに治安関係者によると、南ワジリスタンでは抵抗勢力3人が死亡した。アッバスは、南ワジリスタンで軍事作戦が実施されたことを確認していないが、オマルは、政府が新たな作戦を実施したとこに関して警告している。「南ワジリスタンで軍事作戦を実施したら、政府にとってまずいことになるはずだ。部族地帯だけでなく、北西辺境州全体に問題が生じるだろう」。

(中略)また、火曜日に北西辺境州では、タンクで簡易爆弾が爆発し、警察官2人が負傷した。

hoonPakistan closes on Taliban as fears grow for civilians
Lehaz Ali、PESHAWAR

■パキスタンタリバン、スワートの住民に帰還を呼びかける[090525 AP]

月曜日にタリバンがスワートの住民に、足止めされている住民の安全のために治安部隊とは戦わないことを約束し、一般市民に帰還を呼びかけた。

パキスタン軍は、武装勢力がミンゴーラの住民に溶け込むためのジェスチャーだと述べ、スワートの作戦を中止する意思はないと述べた。

(中略)タリバン報道官のムスリム・ハーンが日曜日と月曜日の午後、タリバンの約束は停戦を要求するものではないとし、抵抗勢力の『協力者」たちが町に留まると述べた。「今後は銃を発砲しないために、ミンゴーラの住民には、自宅に戻って日常生活を送ってほしい」と電話で述べた。

軍は、ミンゴーラの重要な場所は制圧したと述べた。過激派たちはミンゴーラからガーバルに逃げているという。

軍は去年抵抗勢力が荒らしたスキー場がある、マラーム・ジャッバを制圧したという。タリバンが訓練所や平坦学的基地としてしようしていた場所だという。

(中略)パキスタン政府は、南ワジリスタンで作戦を実施するかもしれないという噂を必死に否定しようとしている。しかし軍と抵抗勢力は、最近ここでも衝突した。最近の衝突としては、抵抗勢力がハルガイ・キラーとジュンドーラ地域にある軍事キャンプ2ヵ所をロケット弾や迫撃砲で攻撃している。軍が大砲で報復した(後略)。

hoonNAHAL TOOSI、ISLAMABAD

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