【2009年8月24日〜8月30日】
●警察署に対する自爆攻撃で見習い警察官17人が死亡したスワートでは、各地で銃撃戦が発生してタリバン30人が死亡したと、月曜日に軍が発表した。
●爆発のあと、抵抗勢力を捜索していた兵士たちが各地で抵抗されて戦闘となったと、軍報道官のアサール・アバスが述べた。「治安部隊が抵抗勢力の集団を包囲し、夜遅くまで戦闘となった」という。30人が死亡したと付け加えた。
●これとは別の軍の声明によると、3ヵ所で戦いがあり、兵士1人が死亡した(後略)。
Pakistan army: 30 Taliban killed in Swat battles●日曜日の夜遅くにパキスタンのチャマンで爆発があり、アフガニスタンとNATO軍に補給物資を運んでいたトラック数台が炎上した。
●爆発は、NATO軍に燃料を運んでいたタンクローリーの下に設置され、炎上後12台以上の車に引火したと、チャマン警察のサルダル・ハッセン・ムサヘールが述べた。「現時点では何台車が損傷したかは明らかではない。火を消している最中だ」。負傷者はいないもようである(後略)。
Pakistan blast sets NATO trucks ablaze: officials●スワートで自爆犯が見習い警察官14人を殺害して多数を負傷させたと、関係者が述べた。
●見習い警察官に変装した自爆犯が、訓練を受けている所に徒歩で近づいた。現在の所犯行声明を出ていない(中略)。
●ミンゴーラで訓練を受けていた警察隊の志願兵が、標的となった。報告によると、巨大な爆発のあと銃撃があったという。警察官の制服を着た14人の遺体が病院に運び込まれた(後略)。
Pakistan blast 'kills 14 cadets'●戦闘ヘリコプターが、スワートにあった自爆訓練所を破壊してタリバン6人を殺害したと、軍が土曜日に発表した。
●チャルバー町の反対側にあるスワート川の小さな島に設置された訓練所で、さちに数人の抵抗勢力が負傷したという。訓練所に関する情報があったために、作戦が実施された。
●「自爆攻撃者を送り出すために使用されていた」と、軍が声明を発表し、訓練を受けた者はスワートで攻撃を計画していたという。1週間前にスワートでは2件の自爆攻撃があり、7人が死亡している。
●「ここ数週間、テロリストたちが谷に位置する町に、自爆攻撃者たちを送り出している。我々はその拠点を探していたが、今日それを破壊した」と、スワートの軍報道官のアクサール・アバスが述べた。
●アバスによると、谷で実施された2つの作戦で、さらに抵抗勢力6人が殺害されたという。タリバン幹部司令官シャー・ドラーンの腹心を含む、5人のタリバンが殺害された。
●軍の作戦により、タリバンは弱体化しており、そのうち戦うことを諦めざるをえなくなるという。「日ごと追い詰められている。毎日のように投降してくる」と、アバスが述べた。
●これとは別に、軍によると、別の作戦で抵抗勢力11人を逮捕したという。
●(中略)さらに警察は、金曜日にイランから密入国して部族地帯で逮捕された外国人過激派12人を取り調べていると、パンジャーブ警察のムハンマド・リズワーンが述べた。「確かなことは、彼らがテロリストであることだ」という。スーダン、ロシア、トルコ、イラン出身の男たちが、デーラ・ガジ・ハーンで逮捕されたと、地域警察官が述べた。ラップトップ・コンピュータと現金1万ドルを所持していたという。逮捕者たちは「タリバンと関係」があり、南ワジリスタンに向かおうとしていた。
●木曜日にザワヒリのビデオがイスラーム過激派のウェブサイトに登場し、スワートのタリバンに対するパキスタンの攻撃は失敗する運命にあると述べた。パキスタン人たちに「聖戦とムジャヒディンたちに協力」し、戦闘員の提供や資金援助をするように促した。
Pakistan suicide bomber training camp destroyed●アメリカが、パキスタンが米国製のミサイルを改良し、地上の標的を攻撃する能力を改造してインドに脅威を与えていると、政府幹部が述べた。
●(中略)米関係者によると、現在問題になっているのは一般的なミサイル−−冷戦時代にレーガン政権がパキスタンに売却したハルプーン対艦船ミサイル−−で、パキスタンが一般的な兵器や核兵器を次々に開発するスピードが注目されている。
●「彼らにスローダウンさせようとしている」と、ある政府幹部関係者が述べた。「彼らは、誤った方向にエネルギーを費やしている」。
●米諜報関係者が、4月23日にパキスタンがミサイル実験をしたことを突き止めた。パキスタンはこれを極秘にしているが、新たな兵器を獲得したようだ。
●米軍や諜報関係者によると、パキスタンはアメリカが1980年代に売却したハルプーン対艦船ミサイルを改良したとみており、これは武器輸出管理法に違法するという。パキスタンはこれを否定し、自分たちでミサイルを開発したと主張している。アメリカは、米国製の地上攻撃用P-30機を改良したことも非難し、これを違法だという。
●ミサイルがどこのものであろうと、インドを空から攻撃するための、新たな兵器となる。パキスタンが開発した地上から攻撃する大きなミサイルに加え、パキスタンの小さな艦船から陸を攻撃することが可能になる。これにより、インドとの新たな兵器開発競争が始まる恐れがある。
●(中略)パキスタンの関係者は、アメリカの非難は「間違っている」という。関係者は、実験されたミサイルはパキスタンが開発したもので、インドを攻撃することができる、北朝鮮の地上ミサイルを改良したという(中略)。
●アメリカの主張に否定的な専門家もいる。『Jane』のAir-Launched Weapons編集長のロバート・ヒューソンは、ハルプーン・ミサイルは、地上攻撃用ミサイルほど長距離を飛ぶことができないために、パキスタンが新たなミサイルを開発したという説のほうが信憑性があるという。さらにパキスタンは、すでに自国で開発したか、あるいは中国から入手した、現代的な地上ミサイルを所持しているという。
●「アメリカのキットを開発する必要はない」と、ヒューストンは語る。「彼らはもっと洗練されている」(後略)。
U.S. Accuses Pakistan of Altering Missiles●タリバンは犯罪組織と協力し、誘拐、銀行強盗などを働くマフィア式の犯罪組織を使用して、パキスタン北西部の抵抗運動を行なうために数百万ドルを稼いでいる。
●「統率された組織であることを示す証拠がたくさんある」と、カラチ警察の刑事ドスト・アリ・バローチが述べた。
●ラホールのような町でも、ジハードと関連した犯罪が出現している。しかしパキスタンの経済の中心で、裕福なビジネスマンが多いカラチが、犯罪の巣窟である。他の町で起きるような爆弾事件はないために、関係者は計画済みの戦略の結果だと見ている。
●「彼らはカラチに隠れ、資金を集めている」と、カラチの対テロ関係者が述べた。「これを邪魔したくない」。
●タリバンが乗っ取ることが危険なのではない。カラチはタリバンを嫌う世俗政党が牛耳っている。しかし南部の港から、抵抗勢力に資金や備品を流している。
●これらの犯罪組織が、パキスタン国内の誘拐事件や銀行強盗を行なっている。銀行強盗の80%が、抵抗勢力や過激派組織と関係がある。
●パキスタンの対テロ関係者は、身代金目的の誘拐は、バイトゥッラー・マフスードの最大の収入源だったという。
●去年マフスードの組織は、70人の捕虜を拘束していたという。バイトゥッラーに引き続き、これらの犯罪組織を誰がコントロールするかが、後継者争いの最大の争点だったようだ。
●「世界は、これを宗教の問題と捉えているだろう。しかしそれは間違いだ」と、カラチの犯罪監視団体のCitizens Police Liaison Committee会長、シャラーフッディン・メーモンが語る。「これは金と権力の問題だ。信仰の問題ではない」。
●有名なビジネスマンであるショーカット・アフリディの拉致犯人は、ひとつたりとも過ちを犯さなかったと、家族が語った。犯人は不思議なアクセントで要求の電話をかけてきた。まずはアフガン人のような感じがした。それからマフスード族のようなアクセント。5ヵ月の間に50回電話のやりとりがあり、結局アフリディの家族は250万ドルの身代金を払うことに合意した。「普通の誘拐犯人とは思えなかった」と、犠牲者の兄弟のグル・アフリディが語る。「他に解決策がなかった」。
●タリバンと関係しているこれらの犯罪組織は、標的を注意深く選んでいる。アフリディたちは金持ちのビジネスマンで、アフガニスタンとNATO軍に燃料を供給している。最近の他の事件では、有名な映画配給者、繊維工場、パイブ製造業者のマネージャーなどが狙われた。
●誘拐事件の10%がタリバンと関係しているが、警察によると身代金は6万ドル〜25万ドルぐらいで、他のどの犯罪よりも多額である(後略)。
Organized Crime in Pakistan Feeds Taliban●(前略)パキスタン大使のアン・ウッド・パターソンが、米海兵隊1000人が世界各地にある150の大使館や領事館を警備しているが、イスラマバードの米大使館拡張にともない、海兵隊員数百人が駐屯していると主張している者たちが一部いると述べた。
●(中略)大使によると、イスラマバードの米大使館拡張は、アメリカがパキスタンに与えた資金援助に伴うもきだという。しかし駐屯する海兵隊員は20人以下で、建物の拡張にはまだ6〜7年かかるという。イスラマバードに駐屯する海兵隊員の数を大幅に増やすという報道は間違いだと、主張した。
●海兵隊員は大使館の建物外で警備や戦闘に従事することはないと述べ、建物内の警備に当たるだけだと述べた。建物の外に出る許可はないという。また大使館員と一緒に行動することもなく、食事なども別々にとる。パキスタンは次の18ヵ月の間に40億ドルを取得する。援助をまかなうために、大使館のスタッフを増やす必要があるという(後略)。
US envoy denies huge deployment of marines●TTPのモーラナ・ワリウル・レーマンは、35歳でファイサラバードのマドラッサで学んだ宗教指導者である。
●タリバンの情報源によると、ワリウル・レーマンは1994年にファイサラバードのジャミア・イスラミア・イマダディアを卒業した。ファイサラバードのマドラッサに入学する前には、南ワジリスタンの地元のマドラッサで学んだ。
●その後、南ワジリスタンのカラマのマドラッサで、7年教えた。数年前にタリバン運動に加わり、バイトゥッラーの信頼を受けてTTPの会計を任されていた。
●タリバンの情報源によると、ワリウル・レーマンの兄弟のカリーブール・レーマンは、南ワジリスタンのサプラトイにある軍の城塞を襲撃した際に殺害された。準軍隊が抵抗して戦闘となり、カリーブール・レーマンは多数の抵抗勢力と兵士とともに殺害された。
●ワリウル・レーマンの父親のアスマッドゥッラーは、息子の死を知らされると心臓発作で死亡したという。ワリウル・レーマンはタリバンに参加する前は、イスラーム神学者協会のモーラナ・ファズルール・レーマンと関係していた。
●数年前にペシャワルの近くのサル・ジャッバにあるJUL-Fが運営するデオバンド派の会議に出席した。レーマンはマフスード族のマンザイ枝族に属する、マルヘール氏族の出身である。彼はメディアが報道しているように、バイトゥッラーの従兄弟ではない。
●バイトゥッラーは別のマフスード族の枝族に属する。彼はマフスード族のシャビヘール氏族に属する。
●(中略)ハキムッラーはTTPの中心人物に選抜されたが、彼はワリウル・レーマンの協力が必要である。
New TTP kingpin Waliur Rahman studied in Faisalabad Madrassa●木曜日にパキスタン北西部の部族地帯で、ラマダンの朝の食事に集った警察官に対する自爆攻撃があり、21人が死亡した。現場はカイバル地域である。
●「自爆攻撃だった。警察官21人が死亡し、15人が負傷した」と、地元行政官のタリーク・ハヤートが語った。犯人が、トルハムにある警察官居住地で自爆したという(中略)。
●攻撃は、南ワジリスタンのカニグラーム村を米無人偵察機が攻撃した数時間後に起きた(後略)。
Pakistan suicide blast kills at least 21: officials●木曜日にパキスタン北西部の部族地帯で、アメリカの無人偵察機によるミサイル攻撃があり、タリバン戦闘員が少なくとも8人死亡したと、関係者が述べた。
●無人偵察機が、南ワジリスタンのカニグラーム村にあるタリバンの建物を攻撃し、抵抗勢力8人が死亡して6人が負傷したと、治安関係者が述べた。別の関係者によると、米無人偵察機がミサイル2発を発射したという。重要人物がいたかどうかはわからない。「抵抗勢力は、地元部族民であるアザーム・ハーン・マフスードの家を使用し、活動の拠点としていた」という。「死亡した抵抗勢力の国籍は明らかではないが、ウズベク人たちがいた」。村は、バイトゥッラー・マフスードの配下の戦闘員の拠点があることで知られていた(後略)。
US strike kills eight Taliban in Pakistan: officials●水曜日にパキスタンのジェット戦闘機が南ワジリスタンの抵抗勢力を攻撃し、部族地帯のタリバン抵抗勢力に対する新たな作戦が開始された。
●(中略)爆撃は南ワジリスタンのワナから40キロ離れた地域で行なわれ、爆撃や衝突で兵士と抵抗勢力が死亡したという。「道路を確保するための作戦だった。戦闘機と大砲が使用された。ジェット戦闘機が抵抗勢力の拠点を攻撃した」と、軍関係者が述べた。
●南ワジリスタンからデーラ・イスマイル・ハーンに繋がる道路約20キロを確保し、準軍隊と陸軍の活動を可能にしようとしている。
●軍関係者によると、「2日間にわたる作戦で、準軍隊兵士2人が死亡し、7人が負傷した。抵抗勢力数人も死亡した」という(後略)。
Pakistani jets pound militant positions: officials●TTPがついにバイトゥッラー・マフスードが死亡したことを認めた(中略)。
●あるタリバン司令官によると、当初TTP司令官の間では責任者を巡って意見の相違があったが、アフガニスタンのタリバンの介入により問題が解決したという。
●アフガニスタンのタリバンが、TTP司令官間の問題を解決した。マフスード族のタリバンのシューラで話し合いを続け、各司令官を説得したという(後略)。
Baitullah痴death finally confirmed by Taliban●TTPは、バイトゥッラーの死を認め、ハキムッラー・マフスードとモーラナ・ワリウル・レーマン・マフスードの間で組織の重要な地位を分担することで、後継者争いの問題は当座の間解決したようだ。
●若いほうのハキムッラーがTTPの総責任者となり、ワリウル・レーマンは南ワジリスタンの抵抗勢力責任者となることで、力を分散した。
●ハキムッラーは数年間マドラッサで学んだが、卒業はせず、ムッラーの資格はない。彼はTTPを運営していくために、人材と資源をバイトゥッラーの従兄弟で腹心だったワリウル・レーマンに頼ることになる。ワリウル・レーマンはこれまでのように、組織の問題を管轄し続けるはずだ。さらに南ワジリスタンのTTP責任者として、大きな影響力を発揮するだろう。
●20日間、パキスタンのタリバンはバイトゥッラーの死を隠し、否定しようとした。これ以上隠し通せなくなったために、死亡を認めた。証拠が出始め、バイトゥッラーが生存していることを証明することができなかった。
●バイトゥッラーは8月5日に、妻とともにミサイル攻撃で死亡したようだ。南ワジリスタンのラッダ町近くにあるサンガーラ村にある、義父モーラナ・イクラームッディンの家に滞在していたときだ。ハキムッラーが火曜日に言ったように、バイトゥッラーがミサイル攻撃で重傷を負い、2日前にとうとう死亡したという発言は嘘であろう。これまでTTP司令官たちは、バイトゥッラーは負傷したのではなく、病気だと主張していた(中略)。
●TTPの新責任者が、南ワジリスタン外の人間になるはずはなかった。南ワジリスタン人であるべきで、マフスード族の出身者でなければならない。TTP内のマフスード族は、他の人間に責任者の地位を譲るはずがない。バジョールのTTP責任者モーラナ・ファキール・ムハンマドも、スワートのモーラナ・ファズルッラー、ダラ・アダムヘールのタリーク・アフリディ、モーマンドのアブドヲル・ワリ別名オマル・ハリッドも、問題外だ。モーラナ・ファキール・ムハンマドが今週はやばやとTTP責任者の地位を辞退したことは、自分が弱い立場にあり、バイトゥッラーの後継者は南ワジリスタン出身者でなければならないことを証明した(中略)。
●ハキムッラーとワリウル・レーマンは一緒に『BBC』ウルドゥー語放送に電話をかけてきて仲違いしていなことを印象づけようとしたが、内部問題は今後も続くだろう(後略)。
Power-sharing formula to maintain TTP unity●パキスタンタリバンの責任者が死亡したと、司令官幹部2人が『BBC』に語った。抵抗勢力組織が死亡を認めたのは、初めてである。
●ハキムッラー・マフスードとワリウル・レーマンが、バイトゥッラーがアメリカの無人偵察機による攻撃で負傷し、その後死亡したと述べた。
●ハキムッラーはバイトゥッラー・マフスードの後継者に任命された。彼によるとバイトゥッラーはミサイル攻撃で重傷を負い、その後日曜日に死亡したという。
●ワリウル・レーマンは、ハキムッラーを責任者として支持していると述べ、2人が仲違いしているという報道を否定した。「タリバン組織間に亀裂はない。我々は団結している」(後略)。
Taliban confirm commander's death●スワートで過去数日間に22人の抵抗勢力の遺体が発見されたと、関係者が述べた。遺体は、数週間前から現われた。関係者によると、先週18人の遺体が発見されたという。
●地元の住民によると、パキスタンの治安部隊がタリバンに対して、法の外で処刑を行なっているという。軍と警察はこれを否定し、地元の人間が「復讐」していると語った。
●パキスタンの人権団体は、違法殺人だと述べた。「正式な調査を要求する。誰が殺しているのか、死んだのは誰なのか、抵抗勢力なのか、それとも無実の人間なのか、巻き添えなのかを調べる」と、パキスタンの人権団体のレーマンが語った(中略)。
●火曜日には、スワート郊外のダナグラーム地域で、3人の遺体が発見された。これで過去22日の間に、22人の遺体が見つかったことになる。
●地元関係者によると、月曜日にマラーム・ジャッバ道路周辺で、19人の遺体が発見された。
●目撃者によると、犠牲者のほとんどが、何度も撃たれていたという。目隠しされ、後ろで手が縛られ、畑に遺体が放置されていた。「前はタリバンが怖かったが、今は軍が怖い」と、ある男が語った。
●軍関係者は、遺体が発見された地域で作戦を実施していることを認めたた。マラカンドの政府幹部は、遺体の出現は「謎」だと述べた。しかし地元の人間が語っているように、治安軍がタリバンを拘束したあと、違法処刑を行なっているという事実はないと述べた。
●(中略)関係者によると、スワート各地では、4月に難民となってこの地域を脱出した人々が帰還し始めた7月中頃から、身元不明の遺体が発見されているという。全部で120人の遺体が発見されたともいわれる。
Bodies found in Pakistan valley●パキスタンのタリバンの新責任者といわれるズルフィカール・マフスードは、軍に対する数々の襲撃を行なったことで、2007年に表舞台に出て来た。
●現在はハキムッラーという名前で知られているズルフィカールは、バイトゥッラー・マフスード配下の司令官の1人にすぎなかった。私が2007年10月に南ワジリスタンでズルフィカール・マフスードに会ったとき、彼はバイトゥッラーの報道官に任命されていた。彼がパキスタン軍兵士300人を拉致した時、捕虜となった兵士たちに私を案内してくれた。
●当時まだ28歳だったが、ズルフィカール・マフスードはすでに注目に値する人間だった。機嫌が良く生意気な笑顔にもかかわらず、この男には危険な臭いがした。
●この拉致事件は、彼の手柄となった。パキスタン政府は、タリバンが釈放を要求した重要なタリバン数人を釈放せざるを得なかった。それ以来、ズルフィカール・マフスードの注目度が上がっていった。
●南ワジリスタンのジャンドーラ近くのコットカイ地域で生まれたズルフィカール・マフスードは、当時、他の過激派のボディーガードを勤めていた。しかしバイトゥッラーがパキスタンのタリバン組織を連帯させたことで、この才能ある若い友人は、頭角を現わし始めた。
●当時ズルフィカール・マフスードは、戦いの技術において−−カラシニコフの扱い方やトヨタのピックアップの操縦の仕方は伝説的で、タリバンの間でも有名だった。「彼はネック・ムハンマドの次にすばらしい」と、2007年に彼に会いに行く時にタリバンの運転手が私たちに語った。
●ネック・ムハンマドは、パキスタンのタリバン運動の創始者である。彼は2004年にアメリカの無人偵察機に殺害されたが、彼のおかげでパキスタン人タリバンは手強くなった。
●2人は、比較に値する。2人ともハンサムな若者で、非常に攻撃的な本能を持ち合わせる。しかしズルフィカールは、向こう見ずな部分の上に、野性的な性格を持つ。
●我々が2007年秋に彼と会ったとき、我々をドライブに連れて行ってくれた。自分の運転の技術を披露するために、驚異的なスピードで急カーブをいくつも曲がってみせた。そして数百メートルの切り立った崖から数インチの所で、急ブレーキをかけて車を停めてみせた。
●「少年の頃、カラチに行った」と、どこに行ったことがあるか尋ねたときに答えた。「しかしバンジャーブには、何度も行った。イスラマバードも数回行ったことがあるが、最近では行ってない」。
●最後にイスラマバードに行ったのはいつか尋ねたところ、「2005年だった。ムシャラフを探したが、見つけられなかった」。そしてイスラマバードのランドマークをいくつか挙げた。「全部探したけれど探し出せなかったので、帰って来た」。
●2008年5月に、2度目に会った。バイトゥッラー・マフスードの有名な記者会見のときだ。
●ズルフィカールは自分の力で、司令官になった。カイバル行政区やペシャワルで、NATO軍の車列襲撃を首謀した。後にカイバル、クラーム、オラクザイの司令官となった。これらの地域で、パキスタン軍に対するキャンペーンの中心人物となった。したがって彼はバイトゥッラー・マフスードのイデオロギー−−パキスタンにタリバン首長国を結成し、軍を攻撃するを−−を踏襲している。
●彼がすべてのタリバンを統率できるかどうかは、注目される。それが可能であれば、パキスタン軍のこれまでの勝利は水の泡となる。
Profile: Zulfiqar Mehsud●レーマン・マリーク内相が、タリバンがスパイ行為をしたとして、バイトゥッラー・マフスードの義父を始め、他の親族を殺害したと述べた。
●マリークが『BBC』ウルドゥー語放送に語ったところによると、バイトゥッラーの義父であるイクラームッディンと息子のジアーウッディン、兄弟のサイードゥッラーと甥のイクバル・マフスードを、アフガニスタンにいる米軍のためにスパイ行為をしたとして殺害したという。
●マリークによると、タリバンの情報源はまだバイトゥッラーの義父の殺害を認めてはいないという。「バイトゥッラーの死に関する情報を得た情報源から、今回の情報も得た」という。
●(中略)タリバンの情報源は、マフスードの親族殺害に関して否定も認めもしなかった。情報源の中には、政府が嘘の情報を流していると述べる者もいた。
●政府関係者によると、イクラームッディンと息子のジアーウッディン、兄弟のサイードゥッラー、甥のイクバル・マフスードが、日曜日に午後、3〜4人の他の男性家族とともに処刑されたと述べた。偵察機の攻撃直後にイクラームッディンが拘束され、その後他の親族が拘束された。
●タリバンたちは、なぜバイトゥッラーと去年の10月に結婚した2番目の妻だけが殺害され、イクラームッディンとその親族が生き残ったか疑わしいと考えている(後略)。
Mehsud's father-in-law killed by Taliban: Malik