【2009年9月21日〜9月27日】


■マクリスタル、アフガンへの増派を要請。しかしホワイトハウスにではなく[090927 Sunday Telegraph]

マクリスタルは、数週間の遅れを取った後、やっとペンタゴンに約3万人の増派を要求した。いっぽうオバマ大統領は、増派することにためらいを示している。

昨晩国防省幹部が、要求は「ホワイトハウスの準備が整うまで、据え置かれる。ホワイトハウスが話し合いを始める準備で整うまで、発表されたり検討されたり分析されない」と述べた。

このような異例の発言は、オバマが、大統領として重要な決議をすることに躊躇していることを示す。民主党内には、増派することでベトナムのような泥沼に陥ることを恐れることを憂慮人々が増えている。

マクリスタルは先週極秘にドイツに飛び、米統合参謀本部の責任者と会い、4万人の増派を説得した。

マクリスタルとホワイトハウスの間には緊張が高まり、8年に及ぶアフガン戦争に対して、大きな方針の変更が発表される気配がある。先週、政策に対して両者の亀裂が大きくなったという憶測が高まったために、マクリスタルは辞任するつもりはないことをわざわざ表明した。

しかしマクリスタルは、オバマが戦略の見直しをするまで、ペンタゴンに増派の要求を行なうことを控えてほしいという要請を退けた。金曜日にラムスタインにあるアメリカの航空基地にマイク・ミュレン提督に会いに行ったのは、このためである。

「彼の話を本当に聞きたかったのだ」と、軍が使用するビデオ会議の設備を使わず、マクリスタルに会うために世界を半周飛ぶことを決心したミュレン提督について、ペンタゴン関係者が述べた。マクリスタルが、アフガニスタンでの失敗を防ぐためとして要求している兵士を受け取ることができるかどうか、まったく明らかではない。

妥協策としてオバマは、次の大統領選挙が始まる前に、軍にタリバンを敗北させるための「最後のチャンス」を与えることが予測されている。大統領は「軍に現状を修正するために最後のチャンスを与える」と、政権のアドバイザーが語った。「そしてアフガニスタンのシステムには、これが恐ろしく間違った方向に向かってしまうような、さまざまな要素がある」(後略)。

hoonGen McChrystal finally delivers his Afghan troop demand, but not to the White House
Leonard Doyle、Washington

■アフガンへの増兵要請でオバマ政権に分裂[090926 New York Times]

オバマ大統領はアフガニスタンに増派するかを、考慮中である。増派に対して軍内部でも意見が分かれており、信頼している文民アドバイザーたちも、これに反対している。

マクリスタルが金曜日、ペンタゴンに増派を要請したが、軍内部でも、対抵抗勢力戦略に関する議論がわいている。

マクリスタルはさらに4万兵の派兵を要求するとみられているが、陸軍長官のジョージ・カセイ・ジュニア将軍のような幹部の間では、軍に圧力がかかっている時期に、軍に増派するだけの能力があるかどうか、疑問視する者たちがいるという。

外部の人間としてオバマが信頼をよせているパウエル元国務省長官が、増派しても成功は望めないと語っている。また外交委員会会長でマサチューセッツ民主党のケリー氏は、ベトナム戦争の過ちを指摘した。陸軍のベテランであるロード島の民主党員リード氏は、増派支持を否定してはいないが、「証明する義務」は司令官次第だと述べた。

(中略)オバマは、タカ派の人間、ヒラリー・クリントンやホルブルックの意見にも耳を傾けている。

マクリスタルは、金曜日にドイツで開かれた会議で、統合参謀本部のミュレン提督に増派を要求した。ミュレンは、自分とゲーツ国防相長官のためにそれぞれコピーされた1枚の紙を持って、金曜日にワシントンに戻った。

ゲーツは、今のところまだマクリスタルの要求を承認していないが、ある関係者によると、状況は「複雑」だと述べているという。ゲーツの発言は影響力が大きいが、これまでアフガニスタンへの増派が必要だと主張してきた。

オバマは今年の初めに仕事に就くや否や、2万1000人の増派を決めたが、これは地上での戦略的失敗を食い止め、アフガン選挙の間の安全確保が目的だった。

選挙に不正が発覚するいっぽうで、今回の増派要求により、オバマは在任中にアフガニスタンにかかりっきりになるか、劇的な方向転換をするかの決断を迫られている(後略)。

hoonAfghanistan Troop Request Splits Advisers to Obama
PETER BAKER and ELISABETH BUMILLER、WASHINGTON

■パキスタン北西部で爆発[090926 BBC]

パキスタン北西部で車を使用した2件の自爆攻撃があり、少なくとも16人が死亡した。

ペシャワルの爆発で10人が死亡、数十人が負傷したと報告されている。これに先立ちバヌーでも車を使用した自爆攻撃があり、少なくとも6人が死亡した。

目撃者によると、ペシャワルでは銀行の駐車場で爆弾が爆発した。「巨大な爆発だった。現場から煙が上がった」と、住民のアサド・アリが『ロイター』に述べた。70人以上が負傷し、重傷者もいるようだという。

バヌーの攻撃では、犯人が警察署の外で車を爆発させた。警察署と隣の家が崩壊した。多数の人間が、生き埋めになっている可能性がある(後略)。

hoonBlasts rock north-west Pakistan

■ギリシア人解放のために、一団ヌーリスタンへ[090925 News]

ギリシア人社会運動家の解放のために、新たな使節団がヌーリスタンに向かった。

関係者によると、元ユニオン・カウンシル議長のアブドゥル・マジードが率いる使節団が、アランドゥ経由でヌーリスタンのガワルデッシュに入る予定である。アブドゥル・マジードは、以前もタリバンと話し合うために、ヌーリスタンを訪れた。

抵抗勢力はギリシア人解放と引き換えに、身代金200万ドルと、オマール師の腹心でタリバン政権時代の国防相オバイドゥッラー・アフンド師、元タリバン報道官のウスタッド・ムハンマド・ヤシール、ラハマットゥッディ・ヌーリスタニ司令官の釈放を要求している。

ブンブレット谷のカラーシャは、イードまでにアタナシアス教授が解放されなければ抗議運動を行なうと脅迫していたが、今のところ動きがない。これは同じ谷に住んでいるシェイク族から圧力がかかっているためと見られる。シェイク族は、ヌーリスタンからブンブレットに移住してきた民族である。

教授は、ムスリムに対抗するようカラーシャを煽動していた疑いがかけられている。しかし情報源によると、そのような事実はなく、カラーシュに圧力をかけようとするものだと述べた。また地元の人間がギリシア人拉致に関わったかどうか、捜査している。今のところ、捜査に何の進展もない。

hoonRecovery of Greek national Team off to Nuristan
CHITRAL

■反米感情、パキスタンにおける努力に水を差す[090925 Washington Post]

パキスタンにおける反米感情が、援助プログラムのために派遣予定の米一般市民と軍関係者数百人の到着に支障をきたし、アルカイダやタリバンと戦うための協力態勢が妨害され、アメリカ人の命が危険にさらされている。

ここ数週間、パキスタンは米政府が要求した180人分のビザを、「不十分」として却下している。ワシントン駐在のパキスタン大使自身が、自分たちが嫌うジャーナリストやNGO団体などのビザの発券を拒否したり、「厳重、押し付けがましい、明らかに悪質な監視」を行なっているパキスタンの諜報組織を批判した。諜報組織はブラックリストを持ち、その中には、議会が出資する国際共和党研究所や、米国民主党国際研究所などが含まれるという。

フセイン・ハッカーニ大使が、「彼らに対する態度の規範を、大使館と同じくしてもらえると助かる」と、7月にパキスタン外務省とISI宛に書いている。

パキスタン国内に米軍や諜報組織関係者が増えていると、パキスタンのメディアが報道している。海兵隊員1000人が到着予定で、イスラマバード各地で家を借り上げ、「スパイ」センターが作られているという。パターソン米大使は、これを虚偽の報告と主張し、借家の住所や写真を掲載することは、「パキスタンにいるアメリカ人の命を危険にさらしている」と地元のメディアに最近述べた。

上層部では、両国間の協力態勢はうまくいっているという。木曜日に、オバマ大統領とザルダリ大統領がニューヨークで会談した。上院議会は木曜日に、5年間で75億ドルの援助を承認した。統合参謀本部のマイク・ミュレン提督は、キアニ長官と定期的に会っている。

しかしそのすぐ下で、両国間の関係は危うくなっている。「アメリカがパキスタンに対して膨大な協力をしているにもかかわらず、パキスタンにおける米国支持はおそろしく低い」と、ホルブルックアフガニスタン特使が述べた。

最近は、イスラマバードの米大使館を拡張するというアメリカの計画が、話題になっている。厳重に警備された38エイカーの敷地に、職員1500人がいる。そのうちの3分の2は、パキスタン人である。さらに400人増える予定で、そのうちの半分は米国人である。拡張計画の報道に伴い、海兵隊員1000人が、アメリカのスパイと一緒にやってくるという噂が立っている。

米大使館は、隠された目的はないと繰り返すとともに、パキスタン人記者を敷地の視察に招待した。日曜日にはパターソンがテレビ出演し、ワシントンは国を乗っ取る意思はなく、パキスタンにいる海兵隊員は8人だけで、建物を警備しているだけだと述べた。

さらに大使館が、イラクで評判が悪かった警備会社ブラックウォーター、現在のジィ・サービスを雇ったというメディア報告を否定した。

最も強く批判しているのが、治安アナリストでコラムニストのシリーン・マザリである。パターソンは8月27日に『News』紙と『Geoテレビ』を所有するメディア会長のミール・シャキール・ウル・レーマン宛てに、マザリのコラムやトークショーを批判し、「全く誤り」の発言をすることで、アメリカ人の安全が脅かされると非難した。特にワシントンを拠点とするCreative Associates Internationalは、マザリが言うような「CIAのフロント会社」ではないと述べた。

(中略)反米感情は、特にパキスタン人政治家や退役軍人の間で強く、メディアを活用してこれを広げているという。パキスタン大使のハッカーニも、親米派としてたびたび標的になっている。ビザがなぜ拒否されたか説明を求める彼の手紙がインドのメディアにリークされ、政府の敵が彼を二重に傷つけようとしていると、憶測された。

しかし、諜報組織がブラックリストを持っていると疑っている人間でさえ、関係者へのビザの発給の遅れは、パキスタンの責任というよりはアメリカ自身の責任だと語る。

却下されるビザよりも、承認されるビザのほうが多いと、関係者が述べる。却下されたのは「目的がはっきり書かれていないもの」だったという。「『米政府の仕事をする』としか書かれていないものだ。そのような書類は返却し、『いったい何をするんだ』と言っただけだ」。

smellAnti-U.S. Wave Imperiling Efforts in Pakistan, Officials Say
Karen DeYoung and Pamela Constable

■パキスタン人タリバンこれまで以上に強力と、抵抗勢力[090925 AP]

パキスタンのタリバン運動は、最高司令官を失ったにもかかわらずこれまで以上に強力になり、軍が新たな作戦を実施した場合は自爆攻撃を激化させると、抵抗勢力幹部が述べた。

タリバンに自爆訓練を行なっていることで有名なカリ・フセイン・マフスードが、木曜日に『AP』の記者と会った。アメリカの無人偵察機が部族地帯を攻撃し、12人が殺害される数時間前のことである。

「バイトゥッラーが殉教したあと、我々の運動はさらに強力になった。我々は団結した」と、40代に見える司令官が述べた。カールした黒いあご髭と口ひげを生やした司令官は、仲間数十人と地元住民に囲まれていた。

(中略)司令官によると、パキスタンの新しいタリバン責任者、ハキムッラー・マフスードの報道官に任命されたという。彼は「フィダイーネ・イスラーム」という自爆者たちの組織を率いる。仲間は、パキスタンが部族地帯で攻撃を続ければ、いつでも命を犠牲にする準備ができているという。「いくらでも自爆者がいる。イスラームの名の下に命を犠牲にしたいと、みんなが言っている。しかし、政府が我々を攻撃した場合のみ、自爆者たちを送り出す」。

(中略)パキスタン軍はバイトゥッラーを排除するために、南ワジリスタンで作戦を実施する計画だったが、アメリカのミサイル攻撃で彼が死亡してからは、作戦は限定的に行なっているにすぎない(後略)。

hoonMilitant says Pakistani Taliban stronger than ever
RASOOL DAWAR、MIR ALI

■パキスタン、アメリカとの協力はなしか[090924 AP]

パキスタンはアメリカのアフガン戦争への取り組みに不信感を抱いており、国境で活動するタリバン司令官たちの一掃に協力しない可能性がある。

パキスタンは抵抗勢力たちに対して両面作戦をとっており、アフガニスタンを彼らが再び支配した場合、協力者にしておきたいと考えている。

オバマ大統領がアフガニスタンにおける戦略を決める上で、パキスタンの役割が大きな焦点となっている。米司令官が最近、NATOは戦いに敗北する可能性もあると警告している。

アフガニスタンへの増兵の代案としてホワイトハウスは、パキスタン側のアルカイダやタリバンに対して無人偵察機を用いた攻撃を、これまで以上に頻繁に行なうことを考慮中である。効果的に行なうためには、パキスタンからの諜報情報が必要だ。

パキスタンはこれまで重要なアフガン人タリバンに関する諜報情報を伏せてきたが、最近になっていくつかの標的に対しては、協力するようになった。これらの抵抗勢力はパキスタン政府の転覆を目論んでいるが、中にはアフガニスタンの戦闘員たちと関係を持つ者もいる。

去年以来、70回以上の無人偵察機による攻撃が実施され、バイトゥッラーを含む抵抗勢力司令官多数が殺害された。木曜日にも北ワジリスタンのミール・アリが狙われ、4人が死亡している。

アメリカとNATOの関係者たちは、指揮やマンパワー、資金や武器が、パキスタンからアフガニスタンに入って来ていると考えている。特にクエッタにいると思われるオマール師と、ワジリスタンにいるシラージュ・ハッカーニが指揮する組織が問題である。

米関係者やアナリストたちは、パキスタンのISIがこれらの組織を保護、容認、または積極的に協力していると見ている。彼らはパキスタンの国家にとって脅威ではなく、アメリカが去った後、彼らが親パキスタン、反インド政権を樹立すると考えているからだ。

『パキスタンはアメリカを追い払いたい。そして何よりもインドを追い払いたい。これができる唯一の存在が、タリバンだ」とブラッドフォード大学のシュアン・グレゴリー教授が語る。「アルカイダなどに関する情報をもっと提供すれば、アフガニスタンでは芳しくない効果が出る」。

パキスタン人は、ハッカーニの組織や、パキスタン人タリバンと行動していないアフガン人タリバンに関しては、何ひとつ情報を提供していない。「彼らはパキスタンにいるいくつかの組織を刺激したくない。もしハッカーニの組織がパキスタン人タリバンに協力しはじめれば、今後は神に頼るしかない」と、パキスタンの防衛アナリストであるタラート・マスードが語る。「アメリカ人は永久にアフガニスタンに留まることはできない。しかし、我々は永遠にここで生活しなけれぱならない」。

(中略)アメリカのミサイルは、アフガニスタンかバローチスタンにある基地から離発着する、無人偵察機から発射される。ナショナリストやイスラーム主義の政治家の間では評判が悪いが、最近ではあまりにも頻繁に起きるために、メディアや一般民衆の関心をそれほど引かなくなってきた。

しかし攻撃が激化したり、部族地帯の外でも攻撃があれば、一般民衆はパキスタン政府から離反するだろう。今でさえ、政府の評判は悪い。木曜日にオバマ大統領と会談したザルダリ大統領を、アメリカの下僕と見ることは確かだ。

hoonAnalysis: Pakistan unlikely to cooperate with US
CHRIS BRUMMITT、ISLAMABAD

■米偵察機、パキスタンで10人殺害[090924 AFP]

木曜日に米無人偵察機がパキスタンの部族地帯にある抵抗勢力の拠点を攻撃し、抵抗勢力10人を殺害した。

今月に入って北ワジリスタンに対する無人偵察機の攻撃は、今度で4度目である。「瓦礫と化した家の中から、10人の遺体と2人の負傷者が引き出された」と、パキスタンの治安関係者が述べた。別の関係者も同じ犠牲者数を挙げたが、別の関係者は7人が殺害されたと述べた。「標的になったのは、ハッカーニの関係者の家だった」と、パキスタン人関係者が述べた。

(中略)「米無人偵察機が発射したミサイルが、アフマッド・アフガニというアフガン人の家を攻撃した」と、パキスタン人治安関係者が述べた。ジャラウッディン・ハッカーニの息子の1人の名前がアフマッドだという、未確認情報がある。「その息子かどうか、現在捜査中」だと、ダンディ・ダルパ・ヘールで攻撃があったあと、治安関係者が述べた。

標的となった建物は、抵抗勢力たちが指令を受け、アフガニスタンに入る前に休む場所として機能していたと、地元住民とパキスタン人諜報関係者が述べた。

アフマッド・アフガニが、攻撃当時家にいたかどうかは明らかではない。さらに5人が負傷したが、詳しいことはわからない(後略)。

hoonUS drone attack kills 10 in Pakistan: officials
Hasbanullah Khan、MIRANSHAH

■部族民長老、タリバンに射殺される[090924 AP]

木曜日にパキスタンの北西部で、有力な部族民長老たちが乗った車列に抵抗勢力が銃を連射し、9人を殺害、6人に負傷させた。反タリバン市民グループが、マチヘール地域から3台の車に分乗して、バヌーの治安関係者に会いに行く途中に抵抗勢力に襲撃されたと、ムハンマド・ガニ・ハーンが述べた。

9人の遺体が、銃弾が撃ち込まれた車から引き出された。そのうちの4人はこの地域のタリバンと対立していたと、別の警察官、アジャーズ・ハーンが述べた。襲撃のあと、武装した地元の住民たちが家から出て来てタリバンを追い払い、生存者を守ったという。その後治安部隊がハラスール地域に到着し、住民たちとともに銃撃戦を交わし、木曜日の午後まで戦いが続いたという。

木曜日にはスワートでも、別の反タリバン委員会メンバー2人が攻撃されて死亡している。犯人たちは、セールテレグラム地域で「平和委員会」のメンバーたちが就寝しているところを攻撃したと、ムハンマド・イブラール・ハーン知事が述べた。警備員が抵抗勢力と戦い、何人かを殺害したというが、遺体は回収されていない。

先週地元の人間がセールテレグラム団を組織し、タリバンから居住区を守ろうとしていた(中略)。

さらにカンジュ地域では、武装したスワート市民がサイドゥ・シャリーフ飛行場に集結し、タリバンが戻ってくるのを防ぎ、地域を守ろうとしている(後略)。

hoonTribal elders gunned down by Taliban in Pakistan
RIAZ KHAN、PESHAWAR

■タリバン、パキスタンの基地からアフガン攻撃を拡大[090923 New York Times]

洗練され、組織立った戦術を用いたタリバン幹部リーダーたちが、パキスタンを拠点としながらアフガニスタン北部と西部で攻撃を行なっていると、米軍や諜報関係者が述べた。

これまであまり影響力を持っていなかった地域に、タリバンが進出している(中略)。米軍や諜報関係者によると、パキスタンのクエッタ周辺で活動している、オマール師が率いるタリバン首脳議会が、アフガニスタン北部と西部の攻撃に関与しているという。イタリア、ドイツなどを狙った一連の攻撃により、アフガニスタンへの派兵に対する反対意見が強くなってきた(中略)。

マクリスタル軍最高司令官も、パキスタンにいるタリバン首脳陣が、いまだにパキスタンの諜報組織から援助されていることを指摘している(中略)。パキスタン人政府関係者との会談を予定しているオバマ政権にとって、クエッタにいるタリバン首脳会議、またはシューラが、まず最初に話題になるはずである。

同時に米政府関係者は、大きな矛盾に対面している。アフガニスタンで軍事作戦を実施すればするほど、ISIはタリバンとの絆を強くしてくる。

これまでも米関係者は、タリバン首脳陣がクエッタで活動し、資金や軍事物資、戦略計画をアフガニスタン南部にいるタリバンに与えている、としてきた。

しかし、NATOがこの春南部で作戦を開始すると、抵抗勢力たちはNATOの均衡を崩すために国内各地で攻撃を開始して米軍司令官を驚かせ、同盟軍やカブール政府は、武力衝突をコントロールできなくなっている。

「タリバンは各地で問題を起こし、南部への圧力を軽減させようとしている」と、ある米諜報関係者が述べた。「彼らは再び我々を出し抜いている」。

クエッタのタリバン首脳議会をどのように排除するかで、アメリカとパキスタンの間では、再び亀裂が生じている。パキスタン人タリバン指導者のバイトゥッラー排除のために、両国間がこれまで密接に協力し合ってきたにもかかわらず、米関係者は、パキスタンがアフガン抵抗運動に協力していることを、再びそして公然と非難し始めた。

マクリスタルは、「アフガン抵抗組織の幹部指導者たちはパキスタンを拠点としながら、アルカイダなどの過激派組織と関係し」、ISIの「ある要員」の協力を得ていると報告されていると述べた。

パキスタンの米大使、アン・パターソンは最近のインタビューで、パキスタン政府はアフガン抵抗運動指導者たちを「排除したがっていないことは明らかだ」と述べている。

パキスタン人政府関係者は、アメリカはクエッタ・シューラを過大評価していると述べ、アメリカはアフガニスタンの諜報組織が提供する、曖昧で都合のいい情報に惑わされていると述べた。

あるパキスタン人関係者によると、アメリカは最近パキスタンに、クエッタにいるタリバン10人を逮捕するように申し入れた。その10人のうち6人は、パキスタン人により殺害または逮捕され、2人はおそらくアフガニスタンにおり、残りの2人は脅威ではないという。「パキスタンは有効な諜報情報を提供されれば、いつでも行動する」という。「去年大きな成果があり、クエッタ・シューラに対しても同様だ」。

さらにクエッタの抵抗勢力指導者を取り締まれば、バローチスタン全体の怒りが高まる恐れが

あると述べた。バローチスタンは、これまでもイスラマバード政府と、緊張関係にある。

オマール師はイード明けのムスリムの祝日に、鼻高々のメッセージを送った。メッセージは、アレキサンダー大王をはじめ、アフガニスタンにおける過去の軍事作戦の失敗を無視するなと、アメリカに助言するものだった。そしてタリバン運動は、「勝利間近」の国家的運動になっていると自慢した。

米軍や諜報、外交関係者によると、バローチスタンにいるタリバン首脳陣は、抵抗勢力に戦略的方針を与えているという。「バローチスタンのタリバン・シューラは、アフガニスタンにいるタリバンをこれまで以上に直接指揮し、コントロールしている」とあるアメリカ人関係者が述べた。

この関係者によると、グアンタナモの元囚人ムッラー・アブドゥッラー・ザキールが、タリバンの陰の政府関係者や司令官を各地に配置し、タリバンを国内各地で再組織化しているという。「クエッタ・シューラは、扉を叩いて入るようなクラブハウスではない」と、ある欧米外交関係者が述べた。「流動的な組織で、カラチに行ったり、クエッタに行ったり、国境に行ったり」、動き回っている。

米関係者は、タリバンがゲリラ戦術を取り、一般民が抵抗運動から受ける印象を欺こうとしているという。「クンドゥーズのような地域での攻撃は、抵抗運動が拡大して制止できなくなっているという印象を与えるため」だという。「領土を確保するためのものではなく『情報作戦』だ」という。

別の米諜報関係者によると、抵抗勢力は「同盟国」の政治的弱点を突こうとしているという。例えば日曜日に実施されるドイツの選挙である。「タリバンは戦略計画」ができるようになった。

マクリスタルは水曜日に電話インタビューで、「陰の政府の成長と専制、北部と西部での成長」に驚いていると述べた。

アフガニスタンで兵士33人を失っているドイツは、アフガニスタンにいまだに留まっているが、その行動範囲を限定して南部には派遣していない。しかし今度の議会選挙で、この話題が大きく議論されている(中略)。他の同盟国も、アフガニスタンへの兵の派遣を再検討し始めた(後略)。

garrTaliban Widen Afghan Attacks From Base in Pakistan
ERIC SCHMITT and MARK MAZZETTI、WASHINGTON

■オバマ、アフガン戦争の戦略変更考慮中[090922 New York Times]

オバマ大統領は、バイデン副大統領が後押ししている計画を含め、アフガニスタンへの増兵に代わりうる政策を考慮中で、米兵を削減し、アフガニスタンやパキスタンにいるアルカイダの排除に集中しようとしていると、関係者が火曜日に述べた。

これは、6ヵ月前にオバマ大統領が大きく掲げた政策を変更することである。アフガニスタンとパキスタンを評価する2つの諜報報告書が、現在製作中である。

アフガニスタンの戦闘が泥沼にはまっていること、アフガン選挙の混乱、そしてオバマの新司令官のマックリスタルの報告書に基づき、新たな政策が打ち出された。大統領のアドバイザーたちによると、大統領は3月に提唱した政策が、マクリスタルが要求する増兵で実現できるのか検討しているという。

別の選択肢を検討することで、マクリスタルの要求に同意する前に、自分は戦争に走っているのではないと印象づけようとしているのかもしれない。しかし大統領は、思うようにいかない戦いを、再検討しようとしている姿勢を示していることは確かである。

オバマは、アフガニスタンの安定がアメリカの安定に繋がると述べているが、国外で泥沼に陥っていることを憂慮しているようだ。2万1000人を1週間以内に増兵することを決断せねばならず、これを命じた後に後悔することを恐れていると見る者たちもいる。

オバマは9月13日に官僚たちと会談し、問題を再検討し始めたという。参加したのはバイデン副大統領、ロバート・ゲイツ国防相長官、ヒラリー・クリントン国務省長官、ジェームズ・ジョーンズ国家安全アドバイザー、統合参謀長のマイク・ミュレン提督である。

結局、結論には至らず、今後さらに会談が予定されている(中略)。オバマが提示した代案の1つは、バイデンが提唱しているように、戦略を根本的に考え直すことである。増兵する代わりにバイデンは、米軍を削減することを提唱する。タリバンからアフガン人を守るのではなく、米軍はアルカイダに対する攻撃に集中し、特にパキスタンに焦点を当て、特殊部隊や無人偵察機によるミサイル攻撃などの、正確に標的を排除する戦術を使用する。

米国人はアフガン軍の訓練に拍車をかけ、彼らがタリバンと戦えるように協力する。しかしパキスタンに焦点を当てることが、何よりも必要である(中略)。

オバマは3月にバイデンの意見を却下したが、今回もこれが代案として脚光を浴びたかどうかは明らかではない。しかし再び検討されていることから、アフガニスタンの戦略に対してさまざまな意見が交わされていることがわかる(後略)。

hoonObama Is Considering Strategy Shift in Afghan War
PETER BAKER and ELISABETH BUMILLERWASHINGTON

■疲れ切った隊が、勝てない戦争を戦う[090922 Times]

間違ってはならない。ヘルマンド州で英軍は、4度目のアフガン戦争に敗北しつつある。隊は、タリバンに疲れ果てていることは確かだ。タリバンが兵士たちを殺害する方法は、兵士たちが彼らを殺害するよりも、もっと効果的だ。しかし英軍は、戦場で敗北しているのではない。英国民の心の中で、敗北しているのだ。英国民のほとんどが、戦うに値しない戦争と感じ、アフガニスタン南部のパシュトゥーン族は、アフガン政府や欧米諸国の能力に失望しつつある。何よりも、戦いに勝利しているように見えないために、敗北しているのだ。

(中略)サンギンが、ヘルマンド州における英軍の戦略の大きな例だ。4月以来、さまざまな師団がサンギンのタリバンと対戦するために派遣されている。4月から8月末までの死者と負傷者は、100人を少し上回る。この数は、5人に1人の犠牲者が出た割合になる。今や、この数字は古くなった。戦いが終わる頃には、死者と負傷者の割合は、4人に1人になる恐れがある。

「彼らの殺すことへの貪欲さは、我々のものに勝る」と、ヘルマンドのある関係者が語った。「こんなことが続けば、英兵の数が足りなくなってしまう」。

これだけの犠牲を払って、我々はサンギンで何を成し遂げたか(中略)。数は伏せられているが、多数のタリバンが特殊部隊や空爆、無人偵察機の攻撃で死亡した。英軍が到着した2006年に起きた戦闘でほとんど全壊したサンギンのバザールは、再びにぎやかになった。「希望の道」と名付けられた幹線道路周辺は、地元政府の「バブル」地帯である(中略)。地元警察の検問所が3ヵ所、アフガン国軍がいくつかの基地周辺をパトロールする。学校が2校(中略)。地元政府が、少しずつ機能してきた。

3年前の戦いでサンギンの中心部が完全に戦場と化したことを考えれば、この状況は評価できよう。しかしこの地域の95%を支配するタリバンが地元の人間を脅迫することは、英軍やアフガン軍が彼らを安心させることよりも簡単だ。選挙の日、タリバンたちが選挙民の手を岩でつぶすと脅迫したために、1万7000人の有権者ののうち、投票したのは434人にすぎなかった。さらに町の郊外で英兵が殺害されたり負傷する割合は、前年を大きく上回る。

なぜか。英軍は、この地域に軍を出すことができない。兵士やヘリコプターの数が少ないために、歩兵のパトロールは町の中心に限られ、しかも、タリバンが設置した地雷に脅かされている。タリバンたちは道路脇に爆弾を設置し、自由に地域を動き回り、英軍は足元が良く見える場所でしか行動できない。英軍はタリバンが自由に動き回ることを阻止し、爆弾工場を排除することはできず、地元の人間に自分たちの存在を印象づけることもできない。

今年の夏、簡易爆弾による英兵の犠牲者数は、去年の2倍以上になった。ヘルマンドに200人以上のイギリスの簡易爆弾専門家が派遣されているが、爆弾処理チームは仕事の多さに押しつぶされている。サンギンで活動するあるチームは、毎日31の爆弾を処理している。爆弾自体も以前のものよりも複雑になり、金属探査機に反応しないものもある。

英政府は戦争のリーダーシップを取れず、アフガニスタンで犠牲者がでていることの理由を説明ないために、国民が戦争を支持しなくなるのは当然である。

しかし英軍司令官は、その責任を取る必要がある。ヘルマンド州の作戦は、統一が取れていない。これまでタリバンに対する英軍の作戦は、「芝を刈り取る」ようなものと説明されてきた。しかし「芝を刈り取る」ことで、パシュトゥーンの若者数千人が、ひとにぎりのハードコアタリバンに協力するようになった。その結果、英軍は大きなつけを、払わされている。これらの抵抗勢力のほとんどが、外国人に対する戦いに引き込まれた、特定の谷や村の「偶発的なゲリラたち」にすぎない。彼らが戦いに引き込まれるのは当然のことで、我々が逆の立場に立ったら、我々も同じような行動を取るだろう。

hoonWeary troops are fighting a losing battle not a lost cause
Anthony Loyd

■治安部隊、南ワジリスタンで抵抗勢力34人殺害[090922 Dawn]

南ワジリスタンで少なくとも抵抗勢力34人が殺害されるいっぽうで、TTPは治安関係者45人を殺害したと主張した。

戦闘ヘリコプターが南ワジリスタンにある抵抗勢力の拠点を攻撃し、26人が死亡、数人が負傷した。

政府の情報源によると、治安部隊が南ワジリスタンのスピナ・ティガとマキーンにある拠点を攻撃した。

北ワジリスタンでは、ラズマックで治安部隊と抵抗勢力が衝突し、抵抗勢力8人が死亡した。情報源によると、抵抗勢力600人が北ワジリスタンのアッパー・コファールとロワー・コファールにある治安部隊の検問所を襲撃したという。この衝突で、抵抗勢力8人が射殺された。

いっぽうTTP報道官のアザーム・タリークによると、この衝突で治安関係者45人が死亡した。

hoonSecurity forces kill 34 militants in South Waziristan

■パキスタン抵抗勢力幹部、逮捕される[090922 BBC]

パキスタン軍によると、スワートで再び重要な過激派を逮捕したという。ムハンマド・ナシーム・シャー、別名アブ・ファラージは、各地で発生している自爆攻撃の背後にいる抵抗勢力司令官だという。軍によると、彼はファズルッラーの腹心である。

軍によると、ファズルッラー師の逮捕も近いという。彼の居場所は明らかではない。タリバンは、今年になって彼が負傷して重傷を負ったという報道を否定している。

(中略)アブ・ファラージは、この地域の自爆志願者たちを訓練していた。自爆ジャケットや簡易爆弾製造の専門家でもる(後略)。

hoonSenior Pakistan militant arrested

■タリバン、アレキサンダー大王の子孫を標的に[090921 Telegraph]

(前略)タリバン司令官たちが、ギリシア人援助活動家のアタナシオン・ラロウニス教授を拉致した。彼らは解放と引き換えに身代金250万ポンドと、抵抗勢力指導者3人の釈放を求めている。

地元の警察によると、ラロウニスがカラーシャの文化に貢献していたために、ヌーリスタンのタリバン司令官たちの標的になったという。

オマール師がアメリカ人やNATOの指導者たちに、アレキサンダー大王がアフガニスタンに侵攻し、パシュトゥーン族に敗北した歴史を学ぶべきだと主張したあと、タリバンが拉致事件に関与したことを認めた。

ラロウニスは、9月8日に拉致された。3階建ての博物館にタリバンが押し入り、建物を警備していた警察官を殺害し、教師を柱に縛り、博士をベッドから連れ出した。

事件を目撃したカラーシュの教師、アジミール・ハーンによると、自分はムスリムの振りをして、難を逃れたという。「彼らの言葉が理解できず、彼らも私の言葉を理解できなかった。ウルドゥー語で、自分が教師であることをわからせようとした」という。男たちは自分の宗教を尋ねて来たために、「カラーシャだったけど、カラマを唱えてムスリムだと答えた」という。「ギリシア人を連れ出し、警察官に発砲した。警察官は即死した。私たちを森に連れて行き、私は手を木に縛ばられたが、ギリシア人は連れて行かれた」(後略)。

hoonTaliban targets descendants of Alexander the Great

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2009.