【2009年11月30日〜12月6日】


■CIA、パキスタンで無人偵察機の攻撃を拡大予定[091203 New York Times]

2週間前、CIAはテロ訓練に使用されていたというパキスタンの建物を攻撃し、タリバンとアルカイダ過激派8人を殺害、2人を負傷させた。北ワジリスタンの仕事を終えたCIA関係者は、ヴァージニアのレングレーにあるCIA本部から、家に帰る。無人偵察機のミサイルを使用する遠隔操作により、世界の裏側でアルカイダやタリバンを殺害している。これまでも何度もアルカイダを殺害する作戦を実施してきた。

関係者が今週語ったところによると、ホワイトハウスはCIAの無人偵察機計画をさらに拡大させることを承認したという。米関係者はパキスタンと、バローチスタンを攻撃する可能性を話し合っているという(中略)。

パキスタンにいるアルカイダとその仲間たちにさらに極秘圧力をかけ、アフガニスタンでは地上軍がパキスタンからの侵入を防ぐことで、この地域の過激派たちを一掃しようとしている。

無人偵察機の作戦は、パキスタンの報道機関のあいまいな報道に拠るところが大きいが、数百人の一般市民の犠牲者を出しているといれわる。このような数字は間違っていると主張するある政府関係者が、この計画について語った。2年間で約80回のミサイル攻撃があり、敵の戦闘員「400人以上」を殺害したという。彼が語る巻き添えの犠牲者の数は、一般で言われているほど多くはない。「一般市民の犠牲者は20人ほどだと思う。これはテロリストたちと一緒にいたか、その建物をテロリストたちが使用していたからだ」。

(中略)元CIA関係者は、無人偵察機や携帯電話の盗聴、抵抗勢力たちを「快く思っていない」隣人などがパキスタンの諜報組織に提供する情報から、かれらを見つけ出す厳密な手順があるという。CIAの本部で活動する工作員たちは、抵抗勢力の身元を特定し、戦闘員たちが訓練を受けている場所や武器が貯蔵されている場所を、無人偵察機に盗撮されたビデオから特定できる。建物の中にいる妻や子供がどこにいるか、戦闘員たちが家や村から離れていくのを確かめてから、攻撃するこができる。

バイトゥッラー・マフスードは、妻と義理の両親とともに殺害されたが、彼を攻撃する絶好の機会だったために、仕方なかったと関係者が述べた。

ワシントンを拠点とするNew America Foundationは、2006年以来少なくとも抵抗勢力500人と一般市民250人が無人偵察機の攻撃で死亡したという。The Long War Journalのカウントによると、抵抗勢力885人が死亡し、一般市民94人が死亡したとする。

しかし政府関係者は、攻撃はもっと正確だと述べ、一般市民の犠牲死者の数は20人程度だと述べた(後略)。

hoonC.I.A. to Expand Use of Drones in Pakistan
SCOTT SHANE、WASHINGTON

■逮捕されたタリバン、「今年ビンラディンに会った」[091203 BBC]

パキスタンで逮捕されたタリバンが、今年の1月か2月のビンラディンの居場所に関する情報を持っていたと主張した。彼の主張の信憑性は曖昧だが、アメリカの専門家たちは、調査する必要性を主張した。

この拘束者は、9.11以前にビンラディンとは何度も会っていると主張している。そして今年の初め、15日から20日前に、アフガニスタン側でビンラディンを見たと語る、信頼のおける情報源に会ったという。「2009年の1月か2月に、私の友人に会った。彼はビンラディンに会ってきたと語り、私にも会わせてくれると述べた」という。

この友人はマフスード族で、外国にいるアルカイダ工作員をビンラディンに会わせていたという。「外国から来るアルカイダ工作員たちをシェイクに会わせ、ヨーロッパなどで彼らが練っている計画に、アドバイスをもらえるように取りはからっていた」という。「シェイクは1ヵ所に留まらない。この男はガズニから来ていたので、シェイクもそこにいるはずだ」という。

アフガニスタン東部のガズニには、タリバンが多数存在する。同盟軍やアフガン軍は、まだその大部分に入っていない。拘束者によると、抵抗勢力たちはアメリカの無人偵察機に狙われることを恐れ、パキスタンにはいないという。

(中略)パキスタンの治安関係者によると、この男はパキスタンとアフガニスタンのタリバン指導者たちと近い関係にあり、拉致事件や、作戦を実施するための資金を集めている。我々はこの男にこれまで2度会ったが、その間パキスタン人の取調官が同席した(後略)。

hoonTaliban detainee 'met Bin Laden this year'
Orla Guerin、Islamabad

■アフガニスタンとパキスタン、撤退計画で混乱[091202 New York Times]

オバマ大統領が発表したアフガニスタンから撤退するタイムテーブルが、アフガニスタンとパキスタンの神経をさかなでている。米外交関係者たちは、アメリカは急いで立ち去るわけではないと、両国をなだめようとしている。

アフガニスタンでは、外務大臣のランギン・ダドファール・スパンタだけが大統領のスピーチにコメントしたが、18ヵ月後に米軍の撤退が開始するという声明をショック・セラピーと受け止め、不安になったという。「やっていけるか」。「それが最大の疑問だ。すぐにはできない。時間がかかる」。

パキスタンでは、アメリカが突然撤退するために、パキスタンは自分で自分を守らなければならなくなることる、不安を感じている。

イスラマバードの関係者は、アメリカが発表した急なタイムテーブルにより、撤退後にタリバンを利用して、自分たちに都合の良い政府を作りたがっているパキスタンは、タリバンたちと縁を切ることができなくなるとして、反論を唱える。

パキスタン治安関係者は、「最も重要な問題は、撤退する日にちだ」と述べた。「大きな影響がでるだろう」。

(中略)アメリカと親しすぎると批判されているパキスタンのザルダリ大統領もアフガニスタンのカルザイ大統領も、オバマのスピーチに対してコメントを発表しなかった。

(中略)パキスタンのアナリストや治安関係者は、アメリカがこれまで8年間で達成できなかったことを18ヵ月でできるはずはないと懐疑的だ。軍の増強は、失敗戦略に無駄な資金を投入するようなものだと見ている(中略)。

(中略)現在、パキスタンとアメリカの関係は危うい。アメリカは、アフガン側で隊を移動させてもパキスタン軍側に通達してこないために、隊の移動で生じた穴をパキスタン人過激派が知っていても自分たちは知らないことがよくあるという。「過激派たちを盗聴して、やっとそのことを知ることもある」と、あるパキスタン人治安関係者が述べた。「これは屈辱だ」。

関係者は、タリバンはこの撤退の日取りを利用して「時間を稼ぎ、局地的戦略を続け、アメリカ人たちが去るまで待つだろう」と述べる。

オバマ政権は、長期的な安全保証、商売の利益や軍の備品などを提供し、インドとの関係改善に協力を提供しようとしている。しかしこの申し出はまだ受理されていないために、その詳しい内容は公表されていない。

パキスタン軍にとって最大の脅威はインドであり、アメリカがこれを十分認識しないことに、いらだちを表わす(中略)。

アフガニスタンにおいては、もっと現実的な問題だ。アメリカの撤退は、弱い中央政府にとっては大きな打撃である(中略)。

アルカイダを追跡しているアフガニスタンの治安関係者は、オバマの計画を賞賛し、増兵により、抵抗運動は6ヵ月で一掃できると述べた。多数のタリバンがすでに話し合いに応じようとしており、こちら側に寝返る可能性が大きい。「彼らにはアメリカ軍が必要だ」と、アフガン治安軍に言及した。

オバマの演説に対して、アフガニスタンとパキスタンでは大きく受け止め方が異なっている。アフガン外務大臣のスパンタは、オバマがパキスタン側にあるタリバンの拠点に言及したことを、賞賛した。「大きな変化と進歩だ」と、アフガン人たちがこのような主張をアメリカ人大統領から聞いたの初めてのことだと述べた。

しかし、パキスタン人諜報関係者の見方は異なる。パキスタンは今年になって2つの軍事作戦を行ない、タリバンから大きな領土を奪い返した。「残念だ。アルカイダをパキスタンに置き去りにすることは、不公平だ」(後略)。

hoonAfghanistan and Pakistan Rattled by Plan for Drawdown
SABRINA TAVERNISE and CARLOTTA GALL、ISLAMABAD

■自爆犯、パキスタン海軍施設で関係者を殺害[091202 BBC]

イスラマバードのパキスタン海軍本部の入り口で、自爆犯が自爆して関係者1人を殺害した。

警察によると、このほかに治安関係者2人が重傷を負った。一般市民2人と6歳の少年も負傷した。

犯人が、海軍施設のゲートで制止を命じられると、自爆したという(後略)。

hoonSuicide bomber kills officer at Pakistan navy complex

■タリバン、アフガニスタンで米軍と戦うことを誓う[091202 BBC]

アメリカがアフガニスタンに多数の補給部隊を派遣することを約束したあと、タリバンも戦いを激化すると発表した。

タリバン司令官が『BBC』に、米軍の数が増えれば、犠牲者の数が増えると述べた。

オバマ大統領が、アフガニスタンにさらに3万兵を派兵するという新たな政策を発表した(中略)。「アフガニスタンに米兵をさらに3万人派兵することが、我々の国家にとって大切だということがわかった。18ヵ月たったら、兵士は帰国する」(後略)。

hoonTaliban vow to fight US troop surge in Afghanistan

■自爆犯、地方政治家を殺害[091201AP]

火曜日にスワートで、自宅にいた反タリバン政治家が10代の自爆犯に攻撃され、この地域から抵抗勢力を排除したとする政府の主張に反し、いまだに不安定であることが明らかになった(中略)。

犯人がミンゴーラの近くにある地方議会のメンバー、シャムシェール・ハーンが、来客を迎えているところで自爆した(中略)。9人が負傷した(中略)。警察によると、現場から回収された犯人の頭部から、男は16歳くらいだったという(後略)。

hoonSuicide bomber kills Pakistan provincial lawmaker
ZARAR KHAN、ISLAMABAD

■パキスタン転向、アメリカ失速[091130 Asia Times]

ここ数日間の展開が、南アジアで戦うアメリカの方針に、大きな支障をきたしている。

まず最初に、先週オマール師は、カルザイやアメリカとの対話の可能性を完全に否定した。外国軍にとっての解決策は、アフガニスタンからの撤退しかないことが明らかにされた。

さらにパキスタンのキアニ陸軍長官が、「誰もイスラームとパキスタンを分けることができない」と述べ、目的は国家を本当のイスラーム国家にすることだと発言して、パキスタン国内の世俗勢力をびっくりさせた。

さらにザルダリ大統領は、核指令責任者の地位から辞退し、国家の核兵器の指揮権をギラニ首相に引き渡した(後略)。

hoonUS stalls as Pakistan drifts
Syed Saleem Shahzad、ISLAMABAD

Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2009.