【2009年12月14日〜12月20日】
●金曜日に北ワジリスタンでアメリカの無人偵察機によるミサイル攻撃があり、抵抗勢力7人が死亡した。2日の間で、3度目の攻撃である。
●北ワジリスタンのミランシャーの近くにあるダッタヘール地域の村が、攻撃された。この村では木曜日にも数時間の間隔を置いて2度の攻撃があり、14人が死亡している。
●「無人偵察機が家屋と敷地、急ごしらえの建物にミサイルを4発発射した。少なくとも抵抗勢力7人が死亡し、5人が負傷した」と、ペシャワルの治安関係者が述べた。「タリバンかアルカイダがこの地域に隠れているようだ。だから無人偵察機が何度も攻撃している」。
●ミランシャーの諜報関係者が犠牲者の数を確認し、8人がさらに負傷したと述べた。「情報源によると、昨日のミサイル攻撃で殺害された者たちの葬儀に集まった抵抗勢力が狙われた」という(後略)。
'Seven killed' in US missile strike on NW Pakistan●金曜日に警察関係者がモスクで礼拝を済ました直後に自爆があり、10人が死亡した。2週間前にも、治安関係者が使用するモスクが攻撃されている。
●現在のところ、さらに25人が負傷したロワー・ディールで起きたこの自爆攻撃に対する犯行声明は出されていない。犠牲者の多数が警察官で、礼拝を済ませてモスクから出てくるところだった(後略)。
Suicide bomber near Pakistan mosque kills 10●木曜日に米無人偵察機が北ワジリスタンの小さな2つの村を攻撃し、地元と外国人抵抗勢力を含む16人を殺害した。
●1日の間に、無人偵察機が北ワジリスタンを3回攻撃した。犠牲者の中には重要なアルカイダ司令官がいたという報告もあるが、この地域で活動するタリバンはこれを否定している。
●政府とタリバンの情報源によると、無人偵察機がディーガンとアンブール・シャガの2つの村にある抵抗勢力の建物に、ミルサイル10発を撃ち込んだ。無人偵察機が発射した最初の2つのミサイルは、ディーガン村にあった家屋と車を攻撃した。村人やタリバンたちが救出に集ったところ、再びミサイルが発射された。
●救出作戦に加わったタリバン司令官によると、崩壊した建物から生存者を救出している最中に、多数人々が死亡したという。ディーガン村の土でできた2軒の家に、ミサイル6発が撃ち込まれた。2軒とも、村から離れた場所に建っていた。
●2軒は瓦礫の山と化し、車1台が粉々になったという。ディーガン村の破壊された建物から掘り起こされた6人の遺体のうち、4人がアラブ人だった。
●タリバン司令官によると、しばらくしてから無人偵察機がさらにミサイル6発を撃ち込み、近くのアンブール・シャガ村の2軒の家と車輛に撃ち込まれた。両方の村で、全部で12人が殺害された。
●報告によると、アルカイダ幹部司令官が出席するアラブ人抵抗勢力の重要な会合が開かれるという情報を得た米諜報組織が、最新のリーパー・モデルを含む、7機のスパイ偵察機を飛ばしたという。米関係者たちによると、アルカイダ幹部とビンラディンの義理の弟のシェイク・アルサイードが、会合に出席する予定だったという。アメリカが目標を達成したかどうかは明らかではないが、タリバンの情報源は木曜日の攻撃で、重要人物を失ったことを否定している。
●ミランシャーの政府関係者によると、無人偵察機7機が攻撃を実施した(中略)。
●木曜日早朝、パクティア州と国境を接するダッタヘール地区ゴダイ・ワラ地区で、CIAの無人偵察が車輛を攻撃した。タリバンの情報源によると、車に乗っていたアラブ人2人が死亡した。政府関係者は、この攻撃で犠牲者がいたことを否定している。
●無人偵察機はまず最初のミサイルを発射したが、車に命中しなかった。この車には、アラブ人4人が乗っていた。外国人戦闘員たちは無人偵察機に気がつくとすぐに車を止め、再びミサイルが発射される前に逃走した。その後アフガニスタンとの国境近くで、別のミサイルが彼らの白い車を攻撃した。
●政府情報源によると、アラブ人4人は無傷だったが、車がミサイルで大破した。3軒の家も大破した(後略)。
16 killed as US drones rain missiles in NWA●木曜日に米無人偵察機がこれまでになく激しい攻撃をパキスタンで実施、国境近くにあった抵抗勢力の建物に、5機がミサイル10発を発射した。これに先立つ攻撃と併せて、外国人7人を含む少なくとも15人が死亡したという。
●また水曜日には最高裁判所が、汚職で起訴された数千人の政治家に対する恩赦を憲法に反するとする判決を下した(中略)。
●無人偵察機は、北ワジリスタンのダッタヘール地域を走行していた車輛にもミサイル2発を撃ち込み、少なくとも1人を殺害した。
●2度目の攻撃では、パキスタン人タリバン司令官であるハーフィズ・グル・バハドゥールの根拠地で「外国人戦闘員の拠点でもあるデガン村が標的となった。
●パキスタン関係者によると、殺害された7人の外国人はアラブ人で、ゾハイブ・アル・ザシディという名前の司令官を含むというが、裏付けはとれていない。
●これまでもデガン村はミサイル攻撃を受けているが、北ワジリスタンのミランシャーの西15マイルの場所に位置し、ダッタヘール地域にある。(中略)この地域はシラージュ・ハッカーニとバハドゥールと関係する、アルカイダ系の地元・外国人戦闘員の拠点である。
●パキスタン軍はバハドゥールと協定を結び、南ワジリスタンの抵抗勢力との戦いに関与させないことに成功した。しかしアメリカ人たちは、今度は北ワジリスタンがアフガン人とアルカイダ司令官の拠点となり、ここからアフガニスタンをはじめ、世界各地での攻撃が指揮されていると見ている。
U.S. Missiles Kill 15 People Near Border in Pakistan●木曜日にクラム行政区のムスウォザイ地域で、治安部隊が抵抗勢力23人以上を殺害し、5人を逮捕した。
●情報源によると、ムソウォザイ地域のドガール、トリタング、アルワーラ・メーラで軍事作戦が実施され、抵抗勢力を殺害した。情報源によると、殺害された23人の中には、残虐な司令官のカリ・イスマイルが含まれている。
●部族民の情報源によると、さらに抵抗勢力5人が負傷し、5人が逮捕され、武器が押収された。ここ4日の間に、外国人4人を含む41人の抵抗勢力が死亡している。治安部隊はドガール地域で、激しい抵抗を受けている(後略)。
23 militants killed in Kurram●同盟軍がトルハムの近くのアフガン国境側の丘の上に、新たな避難壕を作り始めた。目撃者によると、チヌークと戦闘ヘリコプター2機が、重・軽火器を持ったアフガン軍とNATO軍をトルハム近くの丘の上に落下している。
●シラーズ米軍基地からトルハムの近くに、ヘリコプターが長距離銃を吊り下げて運んでいるのも見たという。トルハムバザールのアフガン側にある検問所のコンテナでは、歩行者を監視するためにスキャン設備を備え始めた(後略)。
Coalition forces establishing bunkers near Pakistan border●火曜日にパキスタン中央部にある政治家の自宅近くのマーケットで、車に乗った自爆犯が自爆し、33人が死亡した。
●(中略)火曜日の攻撃は、パンジャーブのダーラ・ガジ・ハーンで起きた。爆発で政治家の家と近くの店舗や建物、モスクや銀行が崩壊した。犯人の目的が何だったかは、明らかではない。
●犠牲者の多数が、マーケットで買い物したり働く人々だった(後略)。
Blast kills 33 near lawmaker's home in Pakistan●アメリカはパキスタンに、アフガニスタンで最も強力なタリバン戦闘員であるシラージュ・ハッカーニの取り締まりを要求しているが、パキスタン軍はこれを拒否したと、パキスタン軍関係者や外交関係者が述べた。
●オバマ政権は、パキスタンがハッカーニを取り締まることを望んでいる。ハッカーニはパキスタンのISIの切り札で、北ワジリスタンを拠点としている。しかし関係者によると、パキスタンは、ハッカーニを取り締まれば、オバマ大統領が計画している2011年の米軍撤退後、自分たちのアフガニスタンに対する政策に不利になると考えている。
●アメリカはこれまでも繰り返しハッカーニの取り締まりを要求してきたが、今回米大使館はキアニ陸軍長官に新たに書状でこれを要求した。月曜日には、デビッド・ペトラウスがイスラマバードを訪問し、再び要求を伝えた。
●クエッタにいるタリバン指導者たちの排除を含め、パキスタン人がこの問題に取り組めないのなら、アメリカはパキスタンに対する無人偵察機によるミサイル攻撃をさらに広範囲に、頻繁に行なわざるを得ないという。
●しかし両者の会話を聞いたという関係者や外交筋によると、パキスタンの指導者たちはこのことに関しては公的には沈黙を守るとともに、個人的には怒りを表明したといい、アフガン戦争に関する両者の考えの隔たりが明らかになった。
●元パキスタン軍関係者たちは毎日のようにテレビに出演し、パキスタンのアメリカとの同盟に対する代償があまりにも大きいことを嘆いている。「我々の間に怒りがこみあげている」と、パキスタンの幹部指導者たちの考えに精通している治安関係者が述べた。
●パキスタンの不満の理由は、オバマが派遣する軍に対する信頼感と、米軍のアフガニスタン撤退後の自分たちの位置づけのためである。
●パキスタンは、インド、ロシア、中国、イランなどと立ち向かうために、ハッカーニと彼の支配するアフガニスタンの諸地域を重視している。
●パキスタンは、インドがアフガニスタンに12億ドルをつぎ込んでいることに、対抗しようとしている。「アメリカがいなくなれば、パキスタンは国境の西側でインドと対戦しなければならないことを心配している」と、親米的見解を持つアメリカの元パキスタン大使タリーク・ファテミが語る。
●ファテミ氏によると、そのためにパキスタン軍は自分たちの切り札であるハッカーニを排除することに「全く乗り気でない」という。またハッカーニは、アフガニスタンで行なわれるだろう和解計画においても、重要な役目を果たすと見られ、そのために彼の排除を望んでいないという。
●ハッカーニは北ワジリスタンにいるアルカイダ指導者や工作員たちを匿っているために、少なくとも現在のところはワシントンはハッカーニを和解可能なタリバンとは見ていないと、外交筋が語った。
●米国人に対する返事として、キアニは単刀直入に抗議したという。パキスタンは現在南ワジリスタンなどの地域にのタリバンと戦うことに手がいっぱいで、アフガン人タリバンと戦うために、新たな前線を開く余裕はない。この作戦により、北ワジリスタンにあるハッカーニ組織はある程度抑制され、司令官や戦闘員たちをアフガニスタン内に追い出すという派生的効果が見られたと、アフガニスタンにいる米軍関係者が述べた。
●しかしキアニ将軍の答えから、パキスタンにとっての脅威はパキスタンで生まれたパキスタン人タリバンであることがはっきりした。キアニ将軍は、軍の最優先事項は、パキスタンの治安組織や一般民たちを攻撃する者たちを排除することだと述べた。
●ハッカーニはアフガニスタンで戦っており、パキスタン人にとっては切り札であり、脅威ではない。しかしアメリカと戦う、最も重要人物であることは、米国人もパキスタン人も異論がない。
●ハッカーニは、アフガニスタン東部と南部に多数の副司令官を配置している。彼の戦闘員は、北ワジリスタンに近いパクティア、パクティカ、コーストを支配する。彼の部下はガズニ、ロガール、ワルダックでも影響力を発揮する。
●ハッカーニは現在1ヵ月のうち3週間をアフガニスタンで過ごしているために−−パキスタン人関係者によると−−、米国人が彼の排除を望むなら、自国軍が彼を逮捕する機会がいくらでもあるはずだと、パキスタンの治安関係者が抗議する。
●ジャラウッディン・ハッカーニの息子として、シラージュ・ハッカーニは長い歴史的背景を持つ。1970年代に、彼の父親は北西辺境州のアコーラ・ハタックにあるダルール・ウルーム・ハッカニアにいた。1980年代にはISI経由でCIAから、ソ連と戦うために資金と武器を調達された。1990年代のタリバン政権時代には、パクティア州知事を務める。
●ビンラディンとの関係は、1980年代に遡る。2001年にタリバン政権崩壊後、アルカイダ工作員たちはトラボラからパキスタンに逃走したとき、ハッカーニは北ワジリスタンに彼らの指令組織を作り、アルカイダを歓迎した。
●パキスタンからハッカーニに対する最大の贈り物は、北ワジリスタンの使用を許可したことだ。パキスタン陸軍は、ハッカーニに訓練や武器を提供したわけではないようだと、Stratforの南アジア責任者のカムラン・ブハリは語る。ハッカーニ一族20人以上が、去年北ワジリスタンで無人偵察機による攻撃で死亡した。パキスタン人たちがどの程度彼を保護できるか、その限度が明らかになったという。
●現在シラージュ・ハッカーニは、4000人〜1万2000人のタリバンを指揮する。クエッタのアフガンタリバン首脳部のメンバーでもある。オマール師がこれを統括しているが、ハッカーニはアフガニスタン国内では、彼らとは別に行動している。
●ハッカーニは誘拐や不法行為を通じて、資金を集めている。ハッカーニの組織は、『ニューヨーク・タイムズ』の記者のデビッド・ロードを7ヵ月間拘束し、身代金を求めていた。ロードは6月に逃走に成功した。
●アコーラ・ハタックのマドラッサの管理人であるユースフ・シャーによると、シラージュ・ハッカーニはパキスタン人タリバンとはあまり良い関係にはないという。ハッカーニはジハードの目標はアフガニスタンから外国人を追い出すことであるとし、アフガニスタンでの戦いにパキスタン人タリバンを参加させようとしたが、失敗したという。
Rebuffing U.S., Pakistan Balks at Crackdown●日曜日にマルダンのタフトバイ地域で、ファズルッラー師の車が押収されたと報告され、スワートタリバン責任者の逮捕が噂された。
●しかしタフトバイ警察署は、ファズルッラーが逮捕されたことを否定した。これに先立ち、以前ファズルッラー師が使用していた車が、タフトバイ警察署の管轄内で押収されたと報告された(後略)。
Fazlullah's vehicle seized?●治安関係者によると、日曜日にクラム行政区の中央部で新たな衝突があり、抵抗勢力10人と治安部隊関係者2人が死亡した。
●治安軍が、クラムのタルリとその周辺にある抵抗勢力の拠点を攻撃した。部族の情報源によると、戦闘ヘリコプターとジェット戦闘機がその他の地域も標的にしたという。
●この衝突で、治安部隊は抵抗勢力10人を殺害し、15人を負傷させた。治安関係者2人も死亡した。
●治安部隊は、24時間内に抵抗勢力25人を殺害し、31人を負傷させたと主張している。治安部隊側も5人が死亡、15人が負傷した。
●(中略)いっぽう日曜日にスワートのバリコットでは、抵抗勢力と治安部隊の間で銃撃戦があり、抵抗勢力4人が死亡した。抵抗勢力が治安部隊に発砲し、ナジクラム地域で両者が衝突した(後略)。
10 more militants, two soldiers killed in Kurram