【2009年12月21日〜12月27日】


■北ワジリスタンの無人偵察機攻撃で5人死亡[091227 Dawn]

土曜日に北ワジリスタンのグーラム・ハーン地区にある民家が米無人偵察機で攻撃され、5人が死亡、7人が負傷した。ミサイル2発が撃ち込まれた。

地元民によると、サイドガイのババール・ラグザイ村にある地元部族民のアスマットゥッラーの家が、ミサイルで攻撃された。攻撃当日、1日中スパイ偵察機6機が低空飛行していたという。

治安関係者によると、アスマットゥッラーは、タリバンと関係があったという。

hoonDrone attack kills five in North Waziristan
Pazeer Gul、MIRAMSHAH

■アフガニスタンでエリート米軍、捜索拡大[091226 New York Times]

米軍特殊部隊の極秘部隊が、アフガニスタンの最強組織に対する作戦を活性化している。これが成功しているために、来年はさらに対テロ作戦を拡大して行く予定だと、米司令官たちが述べた。

陸軍のデルタ・フォースと海軍の極秘シール隊が、アフガニスタン東部のシラージュ・ハッカーニの組織に打撃を与えることに成功していると、関係者が述べた。ハッカーニの組織はパキスタンを利用して、カブールなどで大きな攻撃を行なっている。

携帯電話の通信傍受により、米奇襲隊はヘルマンドのマルジャで、タリバンの重要な工作員たちを殺害した。この町には、戦闘員1000人が篭城しているという。

オバマ大統領はこれらの極秘作戦を公的に発表していないが、対テロ作戦は今後さらに強化される予定である。

(中略)アフガニスタンの米司令官たちは、抵抗勢力指導者たちに対する複雑な作戦を遂行するために、奇襲部隊に依存している。これらの作戦は、公的には発表されていない。

この奇襲部隊はビンラディンを追跡し、2006年にサダム・フセインを逮捕し、アブ・ムサーブ・アルザルカウィを殺害した奇襲部隊そのものである。

今回行なわれたインタビューによると、合同特殊部隊からなる特殊使命部隊が、最も凶悪な抵抗勢力組織と戦うことに大きな役割を果たしているという(中略)。「我々が注目している地域において、非常に効果がある」と、奇襲隊に関してある米軍司令官が述べた。

(中略)アメリカの極秘急作戦のほかに、NATO軍特殊部隊もアフガン軍と協力して、タリバンの爆弾製造組織やその他の抵抗勢力組織を攻撃している。

6週間ほど前、同盟軍とアフガン特殊部隊がクンドゥーズで、タリバン戦闘員150人を殺害したと、NATO軍関係者が述べた。

アフガニスタン東部で6月30日以来行方不明になっている、ポー・R・ベルグダールの捜索の最中にも、タリバン戦闘員を殺害したという。タリバンは7月、ジハード組織のウェブサイトにこの兵士のビデオを発表し、金曜日に2番目のビデオを発表した。

ヘルマンドでは、海兵隊1万兵とアフガン軍・英軍が、来年早々マルジャで大きな戦いを予定している。南部の海軍司令官ラリ・ニコルソン准将によると、「我々、次はマルジャだ、というメッセージを送っている」。

ニコルソンによると、「動的・非動的作戦」を実施中だという。軍の言葉に従えば、極秘作戦という意味で、奇襲隊が特定の標的を攻撃するとともに、タリバン戦闘員たちに離脱することを説得するための、プロパガンダ・キャンペーンを含む。

(中略)米奇襲部隊が越境することができないパキスタン国内では、CIAが無人偵察機やリーバー偵察機を使用して、ハッカーニの組織を攻撃している。

しかしパキスタンのISIによると、去年部族地帯のバローチスタンで、ISIとCIAの合同作戦が60回以上実施された。重要な過激派を「捕獲し連れ去る」作戦や、指導者や殺害する作戦を含むという。これらの作戦は、アメリカかパキスタンが入手した諜報情報を元に、タリバンやアルカイダに対して使用した。「ハッカーニに対して、アメリカは今後もっと行動するだろう」と、パキスタンにいる米国人外交筋が述べた。

アフガニスタンで奇襲作戦が急激に活発になっていることで、他の米司令官との間に対立が生まれた。多数の特殊部隊幹部、諜報アナリストや偵察機が、イラク戦争が沈静化してくると、イラクからアフガニスタンに移動した。「手段に関して緊張関係が生じた」と、イラクの副司令官であるチャールズ・ジャコバイ・ジュニアが述べた。

hoonElite U.S. Force Expanding Hunt in Afghanistan
ERIC SCHMITT、BAGRAM AIR BASE

■十代の自爆犯、廟で子供を殺害[091226 AFP]

十代の自爆犯が木曜日、イスラマバード国際空港に向かう幹線道路沿いにあるシーア派の廟の外で自爆し、6歳の少女を殺害した。

犯人は爆発物を持って廟の中に入ろうとしたところ、警察官に制止された。「事件は午後10時18分に起きた。男性が廟の中に入ろうとした。シーア派の宗教儀礼が行なわれている最中で、警察官が彼を制止した」と、警察官のタヒール・アラムが語った。「男のジャケットは完全に爆発しなかったために、犯人の遺体に損傷はない。若者で、18歳だった」という(後略)。

hoonTeen suicide bomber kills child at Pakistan shrine
ISLAMABAD

■タリバンが、米国人を利用してパキスタンを攻撃することを計画[091226 Reuters]

タリバンが、パキスタンで逮捕された米国人5人を利用しようと計画していたことが判明した。5人はインターネットを通じて過激派たちと接触し、パキスタンで攻撃を実行しようとしていた。

男たちが逮捕されたサルゴーダの警察責任者のウスマン・アンワルによると、押収されたeメールから、ヴァージニア出身の若者たちをパキスタンの核研修所に送り込む計画が暴露されたという。

「男たちはパキスタン国内で使われるようだった」と、アンワルが語った。「タリバン宛の最後のeメールによると、チャシュマ核プラントの名前が挙げられていた。ミアンワリ地域に向かっていたのは、そのためだ」(後略)。

hoonTaliban planned to use Americans in Pakistan attacks
Kamran Haider、ISLAMABAD

■パキスタン空爆、部族地帯で10人死亡[091225 BBC]

パキスタンのジェット戦闘機がオラクザイ部族地帯にある抵抗勢力の隠れ家を空爆し、少なくとも10人を殺害した。

関係者たちは死亡したのは武装勢力だと述べたが、目撃者が語ったところによると、この空爆で部族民長老の家が破壊され、女性3人と子供4人が死亡した(後略)。

hoonPakistani air strike kills 10 in tribal area

■アルカイダ、パキスタンとその先を注目[091223 Asia Times]

米軍はアフガニスタンに3万人を増兵しようとしているが、国境問題がさらに深刻になってきた。ここではアルカイダがパキスタン軍と戦う新たな前線を計画しており、イスラマバードはアフガニスタンの戦争からますます身を引くことになるだろう。

同時に米に支持されたパキスタンのリベラル・世俗政党は、政治的・憲法上の危機を迎えている。さらに軍は部族地帯でTTPとの戦いに失速気味だ。

時を同じくして、アルカイダの情報源が語ったところによると、アルカイダはソマリアとイエメンに再び拠点を構えたという。ソマリアからアルカイダはアフリカの角の周辺に進出し、イエメンからはイラクやサウジ、そしてその先にまで触手を伸ばそうとしている。最終目的は、この地域のすべてのムスリム抵抗運動をコントロールすることである。南アジアで彼らがとった方法と同一である。

南アジアでは、アルカイダのラシュカル・アルジル責任者のイリアス・カシミリがアフガニスタンで、インドを含む標的を攻撃することを計画している。ラシュカル・アルジルは、パキスタン人、アフガン人、ウズベクやイラク出身のアルカイダ組織の連合体で、アルカイダの旗の下で作戦を実施している。

アメリカでは10月の初めに、米国籍のデビッド・コールマン・ヘッドレイのデンマークとインド攻撃計画を暴いた。ヘッドレイの背後にいた者たちの1人が、イリヤス・カシミリである。

FBIは「シカゴの陰謀」を調査するために、ラホールに赴いた。ラホールには、イリアス・カシミリのアドバイザーと言われるアブドゥル・レーマン中佐がいる(中略)。攻撃の目的は、パキスタンとインドを戦わせることにある。そうすれば、パキスタンはアフガニスタンの戦いに従事できなくなる。

『パキスタン軍と戦うために弾頭を削る』という本の中で、アルカイダ幹部のアブ・ヤハヤ・アルリビは、パキスタン軍やエリート支配者層たちと戦う必要性を正当化する大論文を書いている(中略)。

このリビの論文は単なる学術論文といえるが、パキスタン軍に対する怒りは、抵抗勢力の間で広まっている。リビは最近、北ワジリスタンで米無人偵察機で殺害されたと報道されたが、これは間違いである。

「我々は停戦や和平協定を結ぶつもりは毛頭ない。この戦いは、パキスタン軍の将軍たちが一掃されるとも我々が一掃されるとも、勝利するまで続く」と、アルカイダ系過激派組織の幹部司令官が述べた。

「パキスタン軍は、ムジャヒディンの追跡に行き詰まっている。自分たちの状況に気づき、停戦協定の申し出をした」と、この過激派は語る。「南ワジリスタンのカニ・ガラムとジャナット地域から撤退して、自分たちの善意を示そうとした。しかしムジャヒディンたちは山中におり、停戦の意思はない」。

「さらにアメリカがこの地域から撤退したあとの状況について、パキスタン人タリバン幹部司令官たちと話し合うことを申し出てきた。しかし我々は、目先のことはもちろん、長期的な取り引きもしない。戦いは最後の最後まで続く」。

この和平協定の申し出にもかかわらず、新たな軍事作戦が開始される可能性が出てきた。南ワジリスタンである程度の成功をお込めた軍は、オラクザイに入っている。TTPの新しい本部である。

過激派は説明する。「作戦はアメリカの圧力で始まり、今後もこれが続くだろう。だから我々は軍関係者を信じない。彼らはいつだってアメリカの圧力に屈する。しかしオラクザイでも、結局袋小路にはまったことに気づくだろう」。

「彼らは3方向からムジャヒディンを攻撃した。カイバル、ハング、カラムからだ。我々は3方向全部で彼らの進路を遮断した。そして厳しい冬が、ムジャヒディンの味方になっている。雪が解ける前、ムジャヒディン全員がトラボラの反対側のカイバル行政区のティラ谷に集る。マンガル・バーはこれまで戦う準備が整っていなかったが、彼らもこれに加わる。ここから我々はパキスタン軍を攻撃する」と、過激派司令官が述べた。

《イスラマバードの問題》

パキスタン軍が抵抗勢力と戦っていることとは別に、イスラマバードの親米連合政府は急速に支配力を失いつつある。文民政府が、最高裁判所と軍組織と対立している。これで恩恵を被るのは、アルカイダだ。アルカイダとの戦いから、気がそれるからだ。敗者はアメリカである。

最高裁判所は、2007年にムショラフ元大統領がワシントンの指示に従い、ロンドンが仲介して締結された、ベナジール・ブットとムシャラフとの間の国家和解条例NROを違憲とした。

このNROのもとで、ブットと夫で現在の大統領ザルダリに対するすべての汚職問題の起訴状を取り下げた。さらに汚職、マネー・ロンダリング、殺人、テロリズムで起訴された8000人の政治家や官僚たちに、恩赦が与えられた。現在これらの人々の多数が議会などの重要な地位に就いているが、今後起訴されることになる。大統領は、在任中は起訴されない(中略)。

《新たな前線開始》

アメリカがアフガニスタンに注目している最中、アルカイダはパキスタンに新たな戦場を開く予定だ。同時にイエメンとソマリアも確保した。

2004年まで、アルカイダのソマリアでの存在は限定的なものだった。その後パキスタンの部族地帯で学んだ戦術を起用して、進出してきた。地元のイスラーム主義者たちを、アルカイダの「血の兄弟」に変えていくのだ。ソマリアでは、イスラーム主義者のアル・シャバーブを手なずけることである。

2006年に、ソマリアにイスラーム裁判連合が出現した。これはタリバンのものと非常に似ている。そしてたった6ヵ月でこれが失敗し、その後エチオピアとの戦争により、混乱に陥った。これにより、アルカイダは自分たちの政策を押し進めることに、有利になった。この時点で、イリアス・カシミリと、最近ワジリスタンで殺害されたアルカイダ責任者のサレ・ソマリが、アル・シャバーブの出現を画策した。アルカイダが若者数百人に資金を提供し、ソマリア沖で海賊行為をさせて、重要な通商ルートを妨害した。

同時にアルカイダはラシュカル・アルジルに先導され、イエメンで再結成した。イエメンは、アルカイダにとって裏庭的に非常に重要な国だ。ここからパレスチナ、イラク、さらにはサウジやヨルダン、エジプトにも進出できる(後略)。

hoonAl-Qaeda's sights on Pakistan, and beyond
Syed Saleem Shahzad、ISLAMABAD

■戦闘員たちはアフガンで戦うとパキスタン人タリバン[091223 AP]

パキスタン人タリバン幹部が、新たに派遣されてくる米軍と対戦するために、戦闘員数千人をアフガニスタンに送ったと述べた。

水曜日に米軍はこの主張を建前だけとはねつけたが、さまざまなジハード組織の戦闘員たちが国境を越えていることには間違いがない。アナリストたちも、パキスタン人タリバンはパキスタン国内でパキスタン軍と戦うことに集中していると述べた。

パキスタン人タリバン副責任者のワリウル・レーマンの主張は、アメリカとパキスタンとの間の溝を深めるための発言ではないかと思われる。「オバマがアフガニスタンに増兵しているために、我々は仲間数千人をアフガニスタンに送り、NATO軍と米軍と戦わせている」と、レーマンが月曜日の夜、ワジリスタンのシャックトイで直接インタビューに応じて述べた。アフガン人「タリバンが今現在我々の協力を必要としている。我々は彼らに協力している」と、レーマンが述べた。

(中略)髭を生やしたレーマンは、ライフルで武装した7人の警備員に守られ、巨大な日干しレンガでできた建物内で、絨毯の上に座っていた。パキスタン人タリバンたちは南ワジリスタンで軍と戦っているが、現在はゲリラ戦を行なっているために、多数の戦闘員は必要ではないという。

しかし米軍は、レーマンが主張するように数千人の戦闘員がアフガニスタンに入った証拠は何もないという。「国境地帯では、抵抗勢力の大きな動きの変化はない」。

両者の言い分に対する裏付けはない。レーマンに会うために、『AP』のレポーターは最初北ワジリスタンに向かい、そこから黒いガラスの車て6時間旅をしなければならなかった(後略)。

hoonPakistan Taliban: Our fighters head to Afghan war
ISHTIAQ MAHSUD、SHAKTOI

■パキスタンのプレスクラブで自爆、3人死亡[091222 BBC]

ペシャワルでジャーナリストたちのためのクラブの外で自爆攻撃があり、少なくとも3人が死亡した。

警察官とペシャワル・プレス・クラブ職員、通行人の女性が死亡された。このほかにジャーナリストを含む17人が負傷した。

(中略)「自爆攻撃だった。犯人が建物内に侵入しようとした。警察官がゲートで彼を制止すると、自爆した」。と、警察官のカリーム・ハーンが述べた。「外の警備員の小屋が大破した。建物内の駐車場のバイク3台と、道路の反対側にあったバスが大破した」という(後略)。

garrPakistan suicide attack kills three at press club
Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003 - 2009.