【オサマ・ビンラディンの所在をめぐって】


■ゆきだるま式に増える不穏要素[030222 The Nation]

アメリカ軍によると、北部には20の小さな反抗グループがあり、そのいくつかはロシアとの関係がある。

最近のスピンボルダックでアメリカ軍は18人殺したと言っているが、証拠がない。反抗分子側も、31人殺したといっている。

オサマが最近発したテープの内容では、ムジャイディンが結束をはじめたといっている。

アルカイダと関連があるホームページで示されたアメリカ兵の惨殺死体。アルカイダがかなり自由に動いていること、またアルカイダ関係のサイトをつぶそうとしているアメリカ側を出し抜いて行動していること。

オサマ逮捕がスローダウンしていること、一般の関心がアフガンからイラクに移っていること。

今まで安全だった北部で、アメリカ軍が攻撃されはじめたこと。

新アフガン政権に対する攻撃。

アメリカに対する憎悪の増大。ヘルマンド地区で17人の市民が殺されたにもかかわらず、アメリカは隠している。

Snowball resistance in Afghanistan
By Ahmad Muaffaq Zaidan
KABUL


■KSM逮捕のタイミングをめぐって[030304 CCR]

アメリカにとって絶好のタイミング……トルコが米軍を拒否、アラブがイラク攻撃に反対、フランスの反対、反戦運動の拡大、ローマ法王の反対、イラクがミサイルを破壊。KSM(Khalid Shaikh Mohammad)逮捕の日、オブザーバー誌が、アメリカがイラク攻撃賛成を実現させるために、国連代表をスパイしていたというスクープ。KSM逮捕のニュースのため、アメリカでは2日後まで報道されなかった。 Zacarias Moussaoui Mohammedの裁判もうまくいってなかった。

パキスタンにとっても絶好のタイミング……ラシードによると北朝鮮に核を提供、カシミール問題、イラク攻撃に反対のかくれみのになる。アルカイダ、タリバンが再集結していることに対して、何かしなければならない。

なぜJamaat-e-Islamiの家で逮捕されたか? 反米の政党にたいするいやがらせ?

KSMは80年代からISI と強いつながりがあった。ブットー暗殺、ブットー政権転覆に活躍。アルカイダとパキスタン原理主義との間のかけはしとして活躍。ISIとテロリストグループとは強いつながりがあった。KSMが逮捕されたのは、ムシャラフの家のすぐ近くで、退役軍人がたくさん住み、軍のヘッドクォーターもISIのヘッドクォーターもある。そんなところにKSMが隠れているのは不自然。KSMがISIとテロリスト、カシミールとの関係を知りすぎている。

アメリカのterror alert発令の陰謀。

KSM逮捕後活発になった、ビンラディン逮捕をめぐるニュースの疑惑。

アメリカもパキスタンもKSMを隠れ蓑にしている。ISIの9.11との関係、アメリカもそれをカバーしている。ISIのテロリストやカシミールとの関係を暴露できるKSMが、ISIによって逮捕され、アメリカに引き渡されたというのは、不自然すぎる。

Is there more to the capture of Khalid Shaikh Mohammed than meets the eye?
by Paul Thompson


■パキスタン軍の“青い目”のムラー[030308 Asia Times]

KSM(Khalid Shaikh Mohammad)についてはさまざまな説がある。

2002.9.11に、カラチで殺害されたという説。

このときに捕らえられたが、パキスタンがアメリカに協力しているがごとく、2003.3.1に捕まったかのように仕組まれたという説。そうだとしたら、退役軍人が多くいるピンディで、しかもJamt-e-Islamの家で逮捕されたというのは不自然。それではいったい?

アメリカの支持に従って、いるはずがないとパキスタンが考えていたJamt-e-Islamの家を捜査したら、驚くべきことに、そこにKSMがいたという説。筆者はこの説を支持したいが、何も証拠はない。

これからどうなるか。筆者が何度も繰り返してきた、アルカイダやタリバンの残党たちはパキスタンに逃げこんだという説は正しかったことが証明された。ある報告によると、ビンラディン自身がトラボラで受けたキズの手当てをカラチのマドラッサで受けたという。これらの情報は、これまですべてインドのプロパガンダだと捉えられていたが、これからは受け入れられるだろう。ムシャラフは今までビンラディンが生きていて、パキスタンにいるということを認めなかったが、今では生きていることを認める。パキスタンにいるとは言ってないが。パキスタン政府は、ビンラディンが国内で発見されることを畏れている。

Jamt-e-Islamとアルカイダの関係は? Jamt-e-Islamはパキスタン軍やISIと強いつながりがあり、退職するとJEIに便宜をはかるようになる傾向がある。核科学者たちも然り。 (“青い目”とは、お目にかなった、という意味)

The Pakistani army's blue-eyed mullahs
By B Raman


■オサマの捜索展開[030309 Dawn]

KSMが残した記録から、オサマを捜索。

ヘルマンド地区で捜しているのはオサマではなく、Ayman al-Zawahri。オサマは、北西辺境州とワジリスタンからチトラルにかけて捜索されている。

Al-Qaeda hunters target Iran-Afghan-Pakistani border triangle
ISLAMABAD


■ビンラディンの逃亡ルート[030309 Reuters]

ビンラディンは、アメリカが攻撃してくる前に、ヘルマンド地区、ニムローズにいた。

その後、どこかに移動。

それ以前にここで7名のアルカイダを逮捕。誰かは明らかにされてない。

Bin Laden was in region before U.S. attack-Taliban
By Saeed Ali Achakzai
SPIN BOLDAK


■ビンラディンの逮捕近づく[030310 AP]

KSMはビンラディンに12月に会ったという。KSMにより、ビンラディンの逮捕が近づいてきた。

ニューズウィークによると、以前逮捕されたエジプトのアルカイダが、25万ドルの賞金欲しさにKSMはを売ったという。さらにイギリスで暮らすために2万ドルを要求。アメリカは支払うことに同意したという。

一緒に逮捕されたのは財政を管理していたMustafa al-HisawaiとJamaat-e-Islamiの党員の息子Ahmed Abdul Qadus。KSMが使用していた携帯電話、Echelon systemで追跡したという。

Net Closing Around bin Laden
By KATHY GANNON


■ビンラディンとは12月に会った[030311 CNN]

KSM(Khalid Shaikh Mohammad)はビンラディンに12月に会ったが、今どこにいるか知らないと証言。

ISIがKSM逮捕時のピデオを公開。アメリカから情報を得ていたが、パキスタンの関係者が逮捕を行ったという。しかし、アメリカの捜査官は、その場にCIAはいたという。

Tシャツを着たKSMが壁に押しつけられ手錠をつけられるシーンはあるが、顔は映らない。一般に公開された写真も、ヒゲがなく、最初はKSMとは気づかなかった。

Al Qaeda chiefs 'met in December
ISLAMABAD


■ビンラディン逮捕の事実なし[030312 Reuters]

パキスタン政府は、ビンラディンが逮捕されたという事実はないと発表。アフガニスタンの政府関係者もこれを否定。

パキスタンの政治家、Agha Murtaza Pooyaが、イランのラジオで、ビンラディンが逮捕されたが、どこにいるかわからないということを、信頼できる筋から聞いたと発言。イラク戦争が始まるまで、その事実は伏せられていると述べていた。

U.S., Pakistan deny bin Laden captured
By Simon Denyer
ISLAMABAD


■ビンラディン逮捕、パキスタンとアメリカが否定[030313 AP]

ビンラディンが逮捕されたという事実を、パキスタンとアメリカが否定。イラン放送がパキスタンからの情報として、オサマが逮捕されたと報道。イラク攻撃に合わせて、世間に公表するという噂が流れていた。

U.S., Pakistan Deny bin Laden Captured
By PAUL HAVEN


■イラク戦争とその後[030321 Asia Times]

イラク戦争が始まって、イスラムの国々にいろいろ混乱がおこるだろう。

反米の原理主義者が多いパキスタンでは、もし軍がムシャラフの下で統制できていれば、彼らをコントロールできるだろう。

Vice Chief of the Army StaffのMohammad Yousef Khanは、ムシャラフよりもさらに新米といわれている。彼が先月訪米から帰国後、この二人の間がぎくしゃくしているといわれている。

ここのところ、ふたつの話題があがっている。まず、原理主義勢力が、ムシャラフに、大統領兼軍の長官を辞任し、再選挙をするべきだという声があがっている。これに対して再選挙がすでに行なわれたが、まだ不満。

もうひとつは、ISIが、オサマとアルカイダのJamaat-e-Islami (JEI)との関係に関する捜査に対して行なった、ふたつの会見が問題になっている。ISIはふたつの会見を行なった。ひとつは外人向けで、ここでは、ISIはオサマが生きていて、パキスタンに隠れている。しかも、あと一息で逮捕できるところだったとするもの。アルカイダとJEIとの関係を肯定するものだった。一方で、数日後パキスタン人相手の記者会見を行ない、ここでは、オサマはパキスタンにいない。そしていつもムシャラフが言うように、生きていたとしてもパキスタンにいない。JEIのメンバーが個人としてアルカイダを匿っても、組織としては、匿っていないという見解を発表した。

このふたつの会見の意味は? 軍のリーダーシップに分裂があるのか? 軍に、JEIを扇動して、軍のチーフとしてのムシャラフを引きずりおろし、JEIとアルカイダとの関係を守ろうとしているのか? 誰か別の人物が、軍の中の親JEI勢力を攻撃しようとしているのか?

今のところはわからないが、実際には軍はムシャラフの下で統制されていて、アメリカに協力しようとしている。

エジプトのムバラク政権も、表向きには親米ではあるが、軍にどの程度原理主義が浸透しているのか、はっきりしない。イラク戦争の結果、一般大衆がどのように変化するか。

KSM(Khalid Shaikh Mohammad)の逮捕は、アルカイダを揺るがせている。結果、アルカイダやInternational Islamic Front (IIF)はより注意深くなり、反米感は強くなっている。

Day and after
By B Raman


■オサマがイラクへあてたメッセージ[030401 Asia Times]

2/11、テレビでオサマがイラクへあてたメッセージの内容。

たった300人もの自分たちの兵士たちが、いかにトラボラでアメリカ軍たちを奔走させたか、アメリカ兵の作戦とそれに対する自分たちの対処の仕方を詳述。アメリカに対してイラク人は団結して戦わなければならない、アラブ人であってもクルドであっても、シーアであってもスンニであっても団結しなければならないと呼びかける。アメリカは心理戦と空からの作戦で仕掛けてくるから、正しい作戦をとるべきだと主張。

正しい作戦とは……アメリカはイスラムの首都、イスラムの富を奪い、自分たちのエージェントを置こうとしている。自分たちの経験から、アメリカは心理戦を仕掛けてくる。これはメディアだ。そして怖れ、臆病、戦う精神を欠いているアメリカ軍の欠点を補うために、空から戦いを仕掛けてくるだろう。屋根のあるものを建てて、カモフラアージュするのもひとつの作戦だ。

トラボラでの戦闘の様子を詳述。300人の兵士が1平方マイル以内の場所に、100個の壕を掘り、そこに3人ずつ入った。アメリカ兵は時計まわりに空から爆弾を落としてきた。われわれは兵士の6%、壕の2%を失ったに過ぎなかった。たった1平方マイルにいた、わずかな兵器をもったムジャヒディンを倒せないなら、どうやってアメリカはイスラムの世界を倒そうというのだろうか?

アメリカに惑わされてはならない。市街地でのゲリラ戦にもっていくことと、自爆テロの重要性を説く。またシーアとスンニの対立を起こしてはならないと強調。

メーセージのコピーはカラチやペシャワールのマドラサに配られ、ヨルダンを通して、イラクへ。

戦いの結果がどうあれ、これは世界に対する汎イスラムテロリズムの、新しい運動になるだろう。アメリカが勝利すれば、イスラムの怒りは脹れ上がり、テロ行為がますます増えるだろう。連合軍が負ければ、それは汎イスラムのジハードに対する神の恵みと捉えられ、さらにジハードの名目でテロを行なうことに繋がる。

The new Iraq-bin Laden connection
By B Raman


■テロリスト団は「トラボラの戦士」によって率いられた[030515 Daily Telegraph]

サウジの爆弾テロのリーダーは、アフガニスタンのトラボラで戦ったアルカイダ、Kahled Jehani。先日逃亡した19人の容疑者のうちの15人が実行犯で、そのうちの9人の遺体が現場から確認された。

19人が逃走した事件で、警察は残された武器などの証拠品のなかから、Kahled Jehaniの身分証明書を発見。Jehaniはアルカイダと接触がある“sleeper cell”のリーダーだといわれる。ビンラディンの直接支配下にあるわけではないが、50人から60人のメンバーで構成されたサウジのテログループである。2000年のイエメンの米艦隊のテロ攻撃でAbd al-Rahim al-Nashiriが逮捕された後に、リーダーになったという。

ワシントンによると、Jehaniは2002年来、FBIのアルカイダ要注意人物の中にリストアップされ、アフガンの訓練所で見つかった「殉教」のテープを録画した5人のアルカイダの1人だったという。サウジによると、18歳のときにサウジを出てアフガンの訓練所で訓練を受けながらボスニアとチェチェンで戦。その後2001年12月には、ビンラディンが隠れていたアフガンのトラボラで戦ったという。

Terrorist cell 'was led by Tora Bora caves fighter'
By Robin Gedye Foreign Affairs Writer and Adel Darwish


■オサマは北西辺境州に隠れている[030519 The Nations]

『The Los Angeles Times』によると、オサマはAyman Zawahiriとともに北西辺境州に隠れているという。

アメリカの高官が土曜日に語ったところによると、オサマが2月に送ってきたオーディオテープで、イラク戦争に関してアメリカを指示しないようにアラブのリーダーたちに忠告してきた。そこで、サウジ、モロッコ、パキスタン、ヨルダン、イエメン、ナイジェリアを名指し、「イスラム教徒はアメリカの奴隷となったこれらの政権の楔から自由になるよう、行動しなければならない。敵に対して、自爆テロの重要性を強調する。アメリカやイスラエルたちを、かつてないほど恐怖に陥いっている」と発言。

ここ数ヵ月アメリカの高官たちは、CIAとNational Security Agencyはビンラディンとザワヒリ以外のアルカイダたちは、パキスタンとの国境近くのイランにいると考えている。イランにいると考えられているメンバーのなかに、ビンラディンの前chief of securityのSaif Adel、モーリタニア人のAbu Hafsと、ビンラディンの後継者と考えられている息子のSaad bin Ladenがいる。Khalid Shaikh Mohammad逮捕以後、Adelがアルカイダのトップになったのではないかと考えられる。

アメリカは、アルカイダのリーダーたちはサウジ、パキスタン、イエメン、フィリピン、チェチェンにそれぞれその地域の指揮者を置いていると考えている。また若い世代が、新しい地位につきはじめた。

東アフリカではアルカイダのリーダの1人、Fazul Abdullah Mohammedが再び浮上。98年のナイロビのアメリカ大使館爆破事件の首謀者である。彼は大きな攻撃を計画しているという。

Osama hiding in NWFP: LATFrom Humayun Akhtar
NEW YORK


■アメリカ、1998年にオサマを捕まえる計画を断念[030522 Daily Times]

前FBIエージェントで現在ABCニュースのコンサルタントのJack Cloonanは、98年にカンダハルを攻撃してオサマを逮捕する計画があったことを暴露。

それによると、アメリカは飛行機でカンダハルに飛び、オサマがいるといわれていた敷地に降りて攻撃、オサマを捕まえるというものだったが、当時のAttorney General Janet Renoが、危険が大きすぎるとして作戦を中止。

CloonanはFBIの秘密部隊の一員で、オサマを捕らえる任についていた。96年以来、FBIとCIAのエージェントが秘密裏にAlex Stationに送られていた。これはVirginia州のAlexandriaにある秘密基地で、オサマを捕らえるために設置された。Cloonanは13人いたチームの1人とのこと。アフガニスタンと似たような砂漠の地形を利用して、飛行機の離発着を訓練していたという。

US dropped plan to grab Osama in 1998By Khalid Hasan


■ザワヒリと隠されたメッセージ[030523 Asia Times]

水曜日にアルジャジーラによって放送されたザワヒリのメッセージの信憑性は、まだ今後検討する必要があるが、当人らしいとする専門家もいる。彼の声よりも若いともいわれるが。ザワヒリのメッセージは去年の10月6日に続いて2つ目である。

去年の1月以来、ザワヒリの運命については、諸説いろいろある。ある説によると、ザワヒリとその妻はアメリカの空爆で死亡したという。またある説によると、妻だけが死亡し、彼自身はパキスタンに逃げ、そこからパングラデシュに行った。またある説によると、アフガンからイランに逃亡したという。

アフガンとパキスタンでは、ビンラディンに対して愛を感じている人が多い。したがって、アフガンやパキスタンの北西辺境州やパロチスタンで、彼の逮捕に強力する人はいないだろう。しかし、ザワヒリに対しては同じ気持ちを持ってない。もし生きているとしたら、ビンラディンほど、身の安全を感じることはないだろう。彼が他の国に逃亡すると考えたほうが自然だ。

2人が完全に死亡したという証拠がない限り、反テロのエージェンシーは、彼らがまだアルカイダを率いていると考えなければならない。そして彼らのメッセージも、それが偽物であるということが証明されるまで、彼らからのものと考えなければならない。

ザワヒリの放送を注意深く検討する必要がある。まず、それは完全にイラクと関連している。アルカイダがいつも強調する、パレスチナやサウジのような、イスラム国におけるアメリカの存在など、他のことに関しては触れてない。次に、メッセージの重要な部分は、彼らと同じ宗教をもつ人々の団結を強調することで、イラクの人々のモラルを保とうと試みている。3番目に、イラクに連合軍が攻め入った後に、しかも、リヤドやサカサブランカの爆破前に録音されたということである。

メッセージは最後に、「近々、あなたがたの胸がすっとするようなニュースがくるだろう」と結んでいる。これは、彼が情報を得ていたリヤドやカサブランカの爆発を意味するともとれるし、近日中に起こる新たなテロについての警告ともとらえられる。4番目に、エジプト、ヨルダン、クエート、カタール、バーレン、イエメンを、イラク戦争に反対しながらも、その占領者と強力したことを責めている。なぜここにサウジが入らないのかは不明だし、さらに、彼らに対してジハードを呼びかけていない。

5番目に、アメリカ、イギリス、オーストリアとノルウェーに対する攻撃を呼びかける。「イスラム教徒よ、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ノルウェーの大使館とその機関、会社、従業員に対して攻撃しなさい。彼らの足の下の地面を燃やしさない。彼らを保護し、安全を図り、保証する必要はない。これらの犯罪者は国から追い出しなさい。イラクの兄弟を殺したアメリカとイギリスとオーストラリアとノルウェーと、他の十字軍をあなたがたの国に住むことを許してはなりません。彼らの財力を奪い、破壊しなさい」。

メッセージ全体がイラクの連合軍の占領の結果であることから、アメリカとイギリス、オーストラリアへの攻撃は仕方ないとしも、なぜノルウェーなのか? デンマークは小さな部隊を派遣しているが。ノルウェーはイラク戦争には参加しなかったが、アフガンでのテロ戦では、小さなユニットを派遣している。

ある人たちは、ノルウェーというのは、デンマークとまちがえたのではないかという。ザワヒリはインテリだといわれる。彼がそのような間違いをしたとは考えにくい。ということは、このメッセージは他の誰かによって録音され、その人はノルウェーとデンマークの区別がつかなかったといえる。ザワヒリの名前を語り、イラクの占領に対する報復として、アルカイダやIIFの生き残りを活性化させようとして。

10月6日の彼のメッセージはインタビュー形式で行われ、彼はこう語った。「神の意志により、我々はアメリカ経済の核を攻撃続ける」。このテープが世に出た4日後に、テロリストはバリを攻撃し、180人死亡した。

Ayman al-Zawahiri and the cryptic message
By B Raman


■オサマ、オマール共に生存して安全な場所にとSami[030603 Daily Times]

MMA(イスラム同盟)のリーダー、Naib Ameer Maulana Samiul Haqが、オサマとオマールはともに生存。安全な場所にいて、アフガニスタンから、アメリカ軍に対する攻撃を指揮をしていると述べた。

「彼らはメッセージを出しているため、彼らと接触している誰かがいるはずだ」と。しかし正確な場所は知らないという。Haq氏は、JUI(amiat Ulema-e-Islam:Sami)のリーダーでもある。アフガニスタンのアメリカ軍は、オマールが指揮するタリバン相手に、苦戦しているとも語ったが、アメリカが、タリバンの高官たちを逮捕しているという情報は否定。逆に、「アラーのおかげで、ムジャヒディンたちはアメリカ兵をたくさん殺した」と述べた。

JUI-Sとその宗教学校(マドラッサ)Darul Uloom Akora Khatakで学んだ数百人は、アフガン戦争に参加。オマール師もこの宗教学校の学生であった。

Haqによると、北西辺境州政府のイスラム法適用は、正しい道への最初の一歩だという。連邦政府が、自分たちにたいして「陰謀」を企てているが、「もし彼らが我々の政府をつぶそうとするのなら、中央に攻撃をかける」と述べた。北西辺境州の24人の市長が辞任しようとしているのは、連邦政府が、MMAを弱体化させようとするひとつの陰謀だとも。パキスタンのアフガンに対する政策も批判し、「我々の西の国境が脅威にさらされているために、その政策を変えるべきだ」と述べた。インドが北部同盟の後を受けて、アフガンで重要な役割を果たしているという。

Osama, Mulla Omar alive and safe: Sami
By Amir Rana


■パキスタンの裏庭における殺人と陰謀 [030709 Asia Times]

モスクで53人のシーア派を殺害、また別の11人のシーア派の警察官見習いを殺害したのは、タリバンとアルカイダの仕業である。タリバンとアルカイダはパキスタンの部族地帯に隠れ、シーア派であるハザラ族をこの地から一掃しようとしている。なぜならアメリカの諜報部が、シーア派であるハザラ族から、パキスタン北西辺境州とバローチスタンにいると思われる、オサマビンラディンとその一派の居所や情報を聞き出そうとしているからだ。

10月の選挙以来、北西辺境州は親ビンラディン派のMuttahida Majlis-e-Amal(MMA)が支配している。バローチスタンでは、パシュトゥン族が多い地域では善戦したが、バローチ族の居住地ではそれほどでもなかった。バローチスタンの自治や独立をうたうバローチ民族主義政党と親ムシャラフ派(Qaide Azam - PML-QA)のほうが勝った。その結果、バローチスタンではMMAは嫌われ、MMAはPML-QAと連立しなければならなかった。

タリバンが政権から去った2001年10月以前の時期、タリバンはアルカイダとパキスタンのSipah-e-Sahaba Pakistan(SSP) の武装組織であるLashkar-e-Jhangvi(LEJ)の力を借りて、アフガニスタンにいるハザラ族に対して大規模な虐殺を行なった。タリバンは、ハザラ族が北部同盟やイラン諜報部に協力していると疑っていたのだ。しかし当時は、パキスタン側の北西辺境州やバローチスタンのハザラ族に対しての攻撃はなかった。

タリバンとアルカイダは、北西辺境州とバローチスタンの原理主義者たちの力を借りてこの2つの地域に避難していたために、アメリカの諜報部は両地域の捜査を強化し始めた。3月のKhalid Shaikh Mohammadの逮捕以来、さらに重点が置かれはじめた。

Khalid Shaikh Mohammadはラワルピンディで、Jamaat-e-Islami(JEI)の女性部門リーダーの家で逮捕され、FBIに引き渡された。Khalid Shaikh Mohammadは、昨年の9月までRamzi Binalshibhとカラチで活動していたらしい。去年の9月、パキスタンの関係者がアメリカの指導のもとでRamzi Binalshibhをカラチで逮捕したときに、Khalid Shaikh Mohammadはクエッタに逃げ、そこでJEIに匿われた。今年はじめに、アメリカ諜報部はクエッタにあるハザラ族コミュニティの一員から、Khalid Shaikh Mohammadがクエッタにいるという情報を得ていたという。

アメリカ諜報部の指導のもとに、パキスタンの関係者はKhalid Shaikh Mohammadを捜しはじめた。Khalid Shaikh Mohammadはラワルピンディに逃げ、そこでまたJEIの家に隠れた、そして最終的にそこで逮捕されたのである。Khalid Shaikh MohammadがFBIに引き渡されると、アメリカの諜報部はパキスタンと協力してビンラディンとその息子たち、またその他のアルカイダメンバーの行方をバローチスタンで捜査しはじめた。その多くがイランに逃げ、一部はイランで逮捕されたともいわれる。ビンラディンの息子やザワヒリが逮捕されたという説もあるが、どれも確かではない。

Khalid Shaikh MohammadとRamzi Binalshibh、さらにアメリカ・コール船爆破容疑者であるWaleed bin Attash、その他2名のアルカイダメンバーが逮捕されたことにより、アルカイダはバローチスタンのシーア派ハザラ族とギルギットのカシミール・コミュニティがアメリカ諜報部に情報を提供している、と思い込むようになった。

シーア派のハザラは、アルカイダやタリバンに対して上記の理由で恨みを持っていたが、カシミールのシーア派社会も、1988年にギルギットで起きた弾圧に対して恨みをもっていた。これはパキスタン軍がビンラディンやスンナ派の協力を得て、数百人のシーア派を殺害した事件である。

2月22日にクリケット・ワールドカップをテレビで観戦していたシーア派に対して、テロリストが銃を乱射した。死亡した9人のうち8人がシーア派で、ギルギット在住のカシミール人だった(訳注:筆者は、この事件の死者は9人だったが、その後の一連の暴動で数百人が殺されたとしている)。以前筆者はこの事件に触れ、「パキスタンのシーア派がアメリカのアフガニスタン攻撃反対運動に加わらなかったのは、アフガニスタンのシーア派(ハザラ)虐殺を許してなかったからだ」と書いた。イラク攻撃にも反対しなかった。「LEJ(Lashkar-e-Jhangvi)に属するスンニ過激派は、シーア派はアメリカに協力していると考えている。ギルギットのシーア派社会に属する何人かが現在カラチに住んでいて、アメリカに協力しているのだ」。

過去において、スンナ派過激派のSipah-e-Sahaba Pakistan(SSP)はパキスタンをスンニ国家(スンナ派の国)とすることを主張、シーア派はムスリムではないとして、大虐殺を行なった。その結果、世論に押され、ムシャラフはLEJとSipah Mohammadをテロ組織とし、2001年8月14日に活動を禁止した。それでも虐殺が続くと、SSPとTEJもテロ組織として2002年1月15日に活動を停止させた。

しかし禁止命令にもかかわらず、LEJはHarkat-ul-Mujahideen(Al Alami-International)、 Jaish-e-Mohammad(JEM)そしてLashkar-e-Toiba(LET)とともに、ダニエル・パール記者を誘拐・殺害し、フランス人技師に対するテロ、イスラマバードの教会に対するテロ、カラコルムハイウェイでのヨーロッパ人観光客に対するテロなどを実行している。

ムシャラフは欧米の圧力により、これらの組織に対処せざるをえなくなった。彼はカシミールのテロとは関係のないLEJやHUM(al-Alami)に対しては厳しく取り締まったが、ISIが活用しているJEMとLETには甘かった。

LEJの取り締まりにより、当面はパキスタンのシーア派攻撃はなくなった。しかし昨年10月の総選挙以降、また状況が変わった。SSPのリーダーMaulana Azam Tariqに対する控訴を取り下げたのだ。国会に立てるように取り計らい、そして彼は選挙に勝った。当選してからは、Maulana Azam Tariqはパキスタン中を旅して回り、賛同者を集めている。そしてムシャラフはベナズィール・ブットーのPakistan People's Party Parliamentarians(PPPP)やナワーズ・シャリフのPML(N)の活動は厳しく取り締まっているにもかかわらずに、Maulana Azam Tariqの活動には目をつむっている。

昨年10月以降、バローチスタンは混乱している。上記の反ハザラ運動やアルカイダ問題とは別に、バローチ民族主義派は、自分たちの領土内で採れる石油や天然ガスに対してイスラマバード政府が適切な使用料を払っていないこと、また中国資本のプロジェクトで勧められているGwadar港建設とカラチに続く高速道路建設に、多数のパンジャブ人を採用して居住させていることを問題にしている。

カラチ港に頼っているだけのパキスタンにとって、Gwadar港は重要だ。カラチ港はインドの射程距離にもある。インドに対抗するために、2001年12月に中国がこのプロジェクトに協力することを約束、4〜5年で完成する予定でいる。この計画を実現し、バローチ民族主義派のサボタージュを防ぐために、ムシャラフはパンジャブ人を多く送り込んだ。バローチ社会は反イスラマバードの立場をさっそくとった。これまで何度も、バローチスタンからのガスパイプラインの破壊行為を実行している。

パキスタン軍やジャマリ首相は、バローチスタンの状況を解決するために何度も会議を重ねてきた。州政府を排除し、軍が支配するという案も出た。ジャマリ首相は、自身がバローチ出身だが、バローチ人たちからは信用されていない。ムシャラフはLieutenant-General Abdul Qadirをバローチスタンの知事に認定した。しかし今のところ、効果的とは言えない。ムシャラフが今後、軍支配というオプションを使ってもおかしくないだろう。

パキスタンの非パンジャブ地域を管理・統括するために、パキスタン軍は非パンジャブ地域にパンジャブ人を配置してきた。Zia ul-Haq前大統領はシンドや北部地域、パキスタン領カシミールにもパンジャブ人を入植させた。ムシャラフもバローチスタンに多数のパンジャブ人を入植させ始めた。バローチスタンの混乱を解決するものと、期待されている。

Murder and machination in Pakistan's backyard
By B Raman


■オサマ、部族長がおそらく匿う[030730 Daily Times]

オサマ・ピンラディンはパキスタンの国境付近の部族長に匿まわれていると、アメリカ在住のビジネスマン、Mansoor Ijazが雑誌『New Yorker』で語った。

Mansoor Ijazによると、ビンラディンは「生きていて、部族地帯に隠れている。半径約150マイル以内を移動している」。「パキスタン政府と密接な関係にある部族長たちによって、匿われている。部族長たちによると、彼は夜しか移動せず、衛星電話やラジオも使わない。非常に危険だということを知っている。クモの巣のような、完全な連絡手段を確立している」と語った。

Ijazによると、ビンラディンは「人間の手から手」による「手書きのメモ」を通して連絡をとっているという。またビンラディンはまず、忠実な村人、そして部族長、そして内輪の護衛というように、何重にも守られている。「忠実な僕に囲まれているために、アメリカが彼を狙い撃ちすることはできない」と述べた。

また、ピンラディンはパキスタン西部にいて、そのボディーガードには、彼の息子も含まれる。息子は父が生けどりにされることがあるなら、父を殉教させることを誓ったとと、ペシャワル在住のジャーナリスト、Rahimullah Yusufzaiの言葉を引用した。

ニューヨークのセキューリティー会社の中東部門の責任者、Dominic Simpsonがこの雑誌に語ったことによると、ある信頼のできる情報筋が、タリバンのリーダー、オマール師と、最近パキスタン内で会ったという。Simpsonがいうには、この会見の最中、オマール師は「そうです、私はオサマと一緒にいます。我々はパキスタンで一緒に移動しています」と語ったという。

Osama believed to be sheltered by tribal chiefs
By Khalid Hassan


■イラン、アルカイダをアメリカとの取り引きのために使う[030808 Guardian]

イラン政府は、拘束しているアルカイダ・ネットワークの高官たちをアメリカとの交換取り引きに用いようとしていると、昨日、政治関係の情報筋が語った。

「イランはアルカイダの主要メンバーを拘束していて、アメリカはそれを知っている。彼らは我々を必要としている」とイラン高官と親しいある情報筋が『Guardian』に語った。

イラン高官は、テヘランがアルカイダの重要メンバーを拘束していることを個人的に認めた。エジプト人で軍事司令官のSaif al-Adel、クウェート生まれのスポークスマンSuleiman Abu Ghaith、ビンラディンの息子のSaad bin Ladenの3人だと思われる。サウジの新聞によると、Ayman al-Zawahiriもイランに拘束されている可能性があるという。イラン政府は公的にアルカイダの高官を拘束していると発表しているが、名前は特定してない。

何百人ものアルカイダがアフガニスタンからイランに逃げたといわれ、そのうち何人かはイランで保護を受けていると伝えられていた。アルカイダの引き渡しをヨーロッパの外交官から迫られると、テヘランはイラクを根拠地としているイランの反政治グループ、People's Mojahedinが西欧から保護を受けていることを槍玉にあげていた。

イランはアメリカに、People's Mojahedinに対して取り締まりを強化するよう要求していた。アメリカはイラクにいるこのグループを非武装化し、イランについての情報を得るために現在捜査をしている。

フランスはこのグループのパリ支部の事務所を最近家宅捜査して、イランはこれを高く評価した。これによりテヘランは、フランスにおける爆破事件と関係のあるアルジェリア人を、引き渡すことを受け入れている。

「イランの過激派たちは、アルカイダと協力して、彼らをもうひとつのハマスにするべきだと考える」とSharif大学の政治アナリストのSaeed Leylaz氏が述べる。「これらの過激派たちのポリシーは、生存するためにイランを軍事化すること。そのためにはアメリカの敵意が必要だ。不幸にもアメリカはこれに油をさしている」。

テヘランは、アメリカに強調しているとアルカイダに思われることも恐れていると、情報筋はいう。サウジも同様である。イランは最近リヤドと治安上の協力を強化してきた。テヘランはアルカイダ・メンバーをサウジに引き渡すのではないかとも思われる。

Iran holding al-Qaida men 'as bargaining chip with US'
Dan De Luce in Tehran


■アルカイダのスポークスマン、ビンラディン生存と語る[030817 Reuters]

アラビア語放送のテレビ、『Al Arabiya』が日曜日に、アフガニスタンのアルカイダのスポークスマンと名乗るAbdel Rahman al-Najdiの声明を放送した。

「世界中のムスリムに良い知らせを送りたい。オサマ・ビン・ラディンは元気だ。そしてオマール師も生きている」。「イラクにいる兄弟に、占領に対して戦っていることを誉め称えたい。これからも我々は彼らを支持し、戦いを続けることを望む」。

クウェート生まれのスポークスマンSulaiman Abu Ghaithのように、これまでAbdel Rahman al-Najdiはアルカイダとして公認されてない。『ロイター』はこのテープの信憑性をまだ検証できてない。

“Qaeda spokesman”says bin Laden alive - Arabiya TV
DUBAI


■ビンラディン追跡[030823 Guardian]

今年の3月、パキスタン西部を捜査していた諜報部は、ついにビンラディンを射止めたと思った。アフガニスタン南部からパキスタン領のバローチスタンを通ってイランに抜ける密輸ルートを、コンボイが猛スピードで走り抜けるのを発見したのだ。アメリカは、このなかにビンラディンがいるという情報を掴んでいた。

きっといるに違いない。5日前、パキスタンはこれまでで最大の獲物を捕らえていた。Khalid Shaikh Mohammadである。Khalid Shaikh Mohammadがクエッタでかけた衛星電話が傍受され、逮捕に繋がった。電話番号が記録されたコンピュータのリストには、情報が満載されていたという。バローチスタンの砂漠が注目されたのも、これらの情報からだ。そしてすぐにコンボイが発見されたのだった。

捕獲作戦はパキスタン兵と米兵で行なわれた。アフガニスタン国境の町、Spin Majidで激しい銃撃戦があり、コンボイの9人が殺害された。バローチスタン内務省は、ビンラディンの息子2人が捕らえられたとテレビで発表。その後、ビンラディン自身も逮捕されたという情報が出回った。しかし数時間後には、これは否定された。ビンラディンは、このコンボイにはいなかったのだ。

この捕獲作戦について詳しい情報筋が『ガーディアン』に語ったところによると、ビンラディンの2人の息子はアフガニスタン軍閥に助けられ、数日前にこの密輸ルートを通ってイランに入った。作戦が開始されたときには、すでにイランに入ってしまった後で、ドラッグを密輸するコンボイが走っていただけだった。

パキスタンのジャーナリストでビンラディンと3回会ったことのあるHamid Mirは、「これも結局はデマ」だったという。「諜報部は、アルカイダを捕らえることは完全にできない。彼らは結託した人々であるために、その組織の内部に入ることはとうていできない」。だからビンラディンはいまだに捕まってない。

しかし『ガーディアン』は、他の方面からも情報を得た。パキスタンとアメリカのやり方に詳しい情報筋によると  ・ムシャラフ大統領は自国で混乱が起こることを恐れ、ビンラディンは捕らえないという取り引きをアメリカとした。  ・ビンラディンは直径120マイルにわたる三重の安全リングで守られている。  ・ビンラディンを追跡しているパキスタン特別部隊は、1年前の状態から何の成果の進歩がない。

アメリカにとって、3月の捕獲作戦は苦い教訓となった。大統領選挙を間近に、そしてイラク戦争を控え、ブッシュにとっては、ビンラディン逮捕の効果が必要だ。ビンラディンの最後の隠れ家はトラボラの山中で確認され、彼はそこでラジオで通信していた。何百というアルカイダ戦士たちがこの洞窟に潜んでいた。また33分にわたるビデオも撮影し、やつれ、疲れ果てた様子で、9.11を賞賛した。

ビンラディンは山から逃げ、6〜7ヵ月の間、組織の再編成に努めていたとMansoor Ijaz氏は言う。Mansoor Ijazはパキスタン生まれのアメリカ人資本家で、誰よりもアルカイダを熟知している。彼はパキスタンの諜報局と密接な繋がりがあり、過去においてビンラディンと交渉した黒幕だ。97年にビンラディンの情報を集めるためにスーダンが交渉してきたときに間に入り、2000年にはアラブ首長国連邦を通じてアフガニスタンに彼を引き渡すよう交渉した。同じ年に、彼はムシャラフ大統領とISIに、カシミール武装グループに戦闘をやめることを受け入させるよう、異例の説得したこともある。91年以来、ニューヨークの巨大なファンド、Crescent Investment Managementの会長を勤め、CIAの前長官James Woolseyが彼の会社の副会長を勤める。主に国家安全テクノロジーを扱う会社だ。

Mansoor Ijaz氏は、トラボラからの逃走で、アルカイダは電子コミュニケーション、つまり衛星電話やラジオやe-mailの使用が使えなくなったという。「主な通信手段は絶たれ、再組織化されるまで時間がかかった」。「彼らは外の世界と接触できないような場所にいたのだ」とインタヴューで語っている。彼によれば、ビンラディンはパキスタンの北西辺境州の部族地帯にいるという。Ijaz氏は最近パキスタンを訪れ、そのときに得た情報では、ビンラディンは三重の警備隊に守られているらしい。まず120マイル四方を部族民に囲まれ、パキスタン軍とアメリカ特殊部隊の接近を知らせる。次に12マイル四方は部族長たちが守り、最初のリングが突破されたときに連絡してくる。そして中心にはビンラディン自身と1人ないし2人の近い親戚とアドヴァイザーがいる。ビンラディンは電子通信手段を使わないことを部族長たちと約束し、夜だけ、ごく限られた特定の地域だけを異動しているという。

最初ビンラディンとザワヒリは、メッセージを口伝えしていた。しかしこれは安全ではなかった。伝言ゲームになってしまう。そこでビンラディンは確実に危険ではあるが、手書きのメモに変えた。3月16日にパキスタン情報部は、カラチでYassir al-Jazeeriを逮捕した。このモロッコ人はビンラディンのボディーガードで、彼のポケットにはビンラディンからの手紙が入っていた。

パキスタン高官たちは、ビンラディンについての情報は非常に限られているという。入ってくる情報のほとんどはデマだ。また部族地帯の地形が、逮捕をさらに困難にしている。地元民が地元のルールで生活し、忠誠や尊敬が重んじられ、膨大な量と種類の武器を持っている。部族地帯はお尋ね者の保護のために違法行為を続ける。パキスタン人高官は、この地域を捜査する難しさを語る。9.11以前は警察権が及ばず、軍も入ったことのなかった地域である。1件の家を捜査するために、100人の兵士が必要となる。捜査を行なうための兵士に加え、捜査中に隣人から攻撃されないよう、何十名もの兵士が守らなければならないのだ。

パキスタンは最初からこの捜査が困難であることを知っていた、という者もいる。口ではビンラディンを捜査すると言いながら、じつは別の考えを持っていた。Ijaz氏は、ビンラディンがトラボラを逃走したすぐ後に、ムシャラフとアメリカはある合意に達したと確信する。パキスタンは悪評高いアフガニスタン戦争の直後にビンラディンを捕らえたり殺すことは、パキスタン国内を混乱に陥れることになる。アルカイダの報復を世界中に広めることにもなると、恐れた。「長い目でみると、ビンラディンを捕らえることは損だ。機が熟したときに彼を捕らえたほうがいい、という判断がくだされた」というのだ。アメリカ側はこの申し入れを受け入れた。イラク戦争に関心が移ったためでは決してない。そこでその後はビンラディンの逮捕ではなく、アルカイダの「報復基盤」を挙げることに集中した。

ムシャラフはたびたびビンラディンの名前を出しながらも、アメリカは沈黙を守った。去年の1月、ムシャラフは「ビンラディンは死んだと思われる」と発表。1年後には「おそらく生きていて、アフガニスタンかパキスタンの部族地帯にいる」と発表。それでも欧米の外交官は、パキスタンはビンラディン逮捕に動いていると信じている。ただし、ほとんど現実的ではない。しかしトラボラ以降、大物逮捕は続いた。退役パキスタン人将校で治安アナリストのTalat Masoodは「アメリカは、パキスタンの協力を評価している思う」と言う。

去年3月、ファィサラバードでAbu ZubaydahをCIAからの情報で逮捕。アフガニスタンで2つのキャンプを運営していた、重要な男だ。9.11の1年後には、イエメン人のRamzi al-Shibh。9.11のハイジャック犯に金を流していた。またKhalid Shaikh Mohammadの補佐役でもある。そのKhalid Shaikh Mohammadはラワルピンディで逮捕された。その他何十人という下部構成員が、アルカイダを匿ったり偽造パスポートを作ったことで逮捕されている。

これからの課題は、アルカイダを匿っているパキスタンの部族地帯の部族長たちを手なずけることである。ビンラディンが捕まらないでいればいるほど、アルカイダは自信を持ちはじめ、大きな行動に出始める。

Ijaz氏は、アルカイダの「報復基盤」が減ってしまった今、ビンラディンの殉死は1年前ほど脅威にならないと語る。しかし今このサウジ人(訳注:ビンラディンのこと)逮捕に失敗すると、アルカイダを力づけることになる。それは「放射線に強くなった癌細胞が、刺激に対してさらに大きな危険を犯すのを見ているようだ」。「だから今、パキスタンはビンラディンを逮捕し、見え透いたゲームを終わらせなければならない」。

Inside story of the hunt for Bin Laden


■軍、Bannuでの反テロ工作を否定[030905 Daily Times]

パキスタン軍とヘリコプターがBannuに配置され、ある高官は反テロ工作が行なわれていると述べたが、軍はこれを否定し、通常の訓練だと発表した。

『AFP』はパキスタン軍がアルカイダを一掃するために、Bannuで作戦を始めたと述べた。水曜日に25機の軍ヘリコプターがBannuに着陸、そこから陸路でさまざまな場所に移動したという。Special Services Groups(SSG)の兵士もBannuに到着した。

Bannuにいる情報筋によると、木曜日夜に、主な作戦が始まるという。Bannuと北ワジリスタンのMiranshah、南ワジリスタンのWanaの住民は、MiranshahとWanaからアフガン国境にかけて、道路はすべて封鎖され、軍の動きが活発だと述べた。また目撃者の証言によると火曜日の夜、何人かがBannu空港に降り立ったというが、地元住民かアルカイダ戦士なのかは不明とのこと。

Bannuでは、国境警察がバイクの取り締まりを始め、今のところ163人が逮捕されたという。

匿名を希望する軍高官によると、パキスタン軍はパクティア州から国境を越えて逃げてくるタリバンとアルカイダを取り締まろうとしているという。政府はすでに国境に充分の兵士を送っているので、これ以上兵の補充はいらないとも述べた。また、アフガン軍がパキスタン領内に入ってきたという情報は否定した。

Muttahida Majlis-e-Amal(MMA)の下院議員は、「パキスタン軍と米軍がこの地域に入り、ビンラディンとアルカイダを捜索している」。「ビンラディンもアルカイダも、Bannuにいるとは思えない。この作戦は、イスラム教徒を辱めようとするものだ。すぐにでも中止させなければならない」と述べた。

Miranshahの住民が『Daily Times』に報告したところによると、Darra Aaqa Khelにある米軍基地が襲われ、アルカイダとタリバンが米兵を誘拐した。パキスタンと米軍はこれを捜索するために作戦を展開していると述べた。情報筋によると、Darra Aaqa Khelの2種族MahsudとWazirがタリバンとアルカイダを匿っていたといい、米軍基地攻撃に一役買ったのではないかという。米兵は20人殺害されたという。「米兵の遺体を捜しているのかもしれない」とMiranshaのジャーナリストAbdul Mannan。

ペシャワルの情報筋によると、アフガン軍がパキスタンと米軍が展開しているこの作戦を援助しているという。「Miranshah周辺は厳戒体制が敷かれ、FBIが活動している」。

『APP』による続報。内務大臣のFaisal Saleh Hayatが北西辺境州大臣Akram Khan Durraniとイスラマバードで会い、国境警備隊(Frontier Constabulary)にBanochi歩兵隊を補充し、数日の間にBannuにパスポートオフィスを設置することに同意したという。

Military denies anti-terrorist operation in Bannu
By Iqbal Khattak and Amir Rana、PESHAWAR


■タリバン捜索に怒りがつのる[030906 Daily Telegraph]

パキスタン北西辺境州のパシュトゥン族のリーダーたちは、アフガニスタンから逃げてくるタリバンとアルカイダたちを逮捕しようとするパキスタン軍にかんかんだ。Bannu空港に何千人という兵士がトラックに乗ってやってきて、ヘリコプターは国境地域を旋回した。兵士たちはBannuのいくつかの町で、1件ずつ家宅捜査を始めた。アメリカの特殊部隊もこれに加わっていたという。

パキスタン軍は、通常の演習だと言っている。しかしBannuの政府高官は、パキスタンに隠れているタリバンやアルカイダ、またはアフガニスタンでの戦闘から逃げてきた者たちを捜索していると述べた。このような作戦は、過激派に対する地元民の強い共感に直面し、非常に困難になってきている。ムシャラフ大統領は、一般市民の反対、さらに軍内部の混乱やタリバンへの共感と、ワシントンからの協力の要請との間でバランスをとらなくてはならない。

昨日北西辺境州議会で、MMAは怒りを爆発させた。次から次へと発言者たちは、ムシャラフが自分たちの許可なくしてアメリカを北西辺境州内に入れたことを非難した。さらに、すべてのイスラム教徒の住民の感情と尊厳を犯す行為だと、攻撃した。「軍の支配者は9.11以来、ずっとアメリカの言うがままだ。我々国民にとっては屈辱である」とBannu出身の議員Hamid Shahが述べた。州大臣でMMAのメンバーであるAkram Durraniはイスラマバードを訪れ、連邦大臣たちに軍の作戦について訴えた。「我々の地域で、好き勝手に行動することは許せない。住民に不安を引き起こす」と述べた。

Bannuでは、この作戦の目的はビンラディンを逮捕するためのものだ、という憶測が飛んでいる。彼は北あるいは南ワジリスタンに隠れていると考えられている。ある退役軍人によると、この作戦は最近逮捕された軍人たちと関係があるかもしれないという。その何人かはこの地域に住んでおり、タリバンやアルカイダを隠れ家に匿っていたと疑われている。この事件で少なくとも4人、もしかしたら19人の軍人が逮捕された。彼らから得た情報で、Bannu地域にある隠れ家を突き止めたのかもしれない。

Anger as troops hunt Taliban in Pakistan
By Ahmed Rashid in Lahore


■ビンラディン捜索、加熱する[030906 Asia Times]

米軍とアフガン抵抗分子との戦いがここのところ続いているが、双方ともにその戦法が洗練されてきた。一方、抵抗分子は初めてその作戦を直接タリバン司令官の手に委ねたが、パキスタン軍のほうは、9.11の2周忌を前にビンラディンを逮捕しようと米軍が捜索に力を入れているにもかかわらず、結果的にその捜索の主力から外された。

《作戦「オサマを捕らえよ」》

『Asia Times』が各方面から収集した情報によると、ビンラディンは強力な護衛陣に守られ、生存している。彼がどこにいるかということに関して言えば、アフガニスタンにはいないことは確かだ。

タリバンの頭脳と近い関係にあるパキスタン情報筋は、「タリバンがカブールから撤退する前、アルカイダにはすでに逃避命令が出されていた。アフガン〜イラン国境、パキスタン〜アフガン国境、アフガン〜中央アジア国境を通過する、さまざまな逃避ルートが計画された。タリバンがカブール、カンダハルから撤退した後、国の状況は悪化し、アメリカが情報源にドルを与えて買収したこともあり、アフガン人であるタリバンたちさえ危険な状態にさらされた。ジャララバード知事のMaulvi Abdul KabeerやMaulana Jalaluddin Haqqaniのような大臣も、パキスタンの部族地帯に避難し、他のタリバンリーダーたちは逃避ルートを用いて逃走した。

アフガニスタンは、アルカイダにとって危険すぎた。ビンラディンも例外ではない。ただし、彼がしばらくの間クナール渓谷で過ごしていたということは事実のようだ。去年、パキスタン〜イラン〜アフガン国境付近から、パキスタン南部のバローチスタンに入ったらしい。

パキスタンの北西辺境州にある半自治区Miran Shahにいる情報筋から最近得た情報によると、この地域で何十人もの米軍がパキスタン軍を援助しているという。以前とは異なり、部族長たちはこの作戦について事前に教えられていなかったという。パキスタンの軍事作戦部門に近い情報筋は、この作戦はビンラディンを捕らえるためのものだと言い切る。「これは米軍の圧力で計画された」とある政府幹部が言う。この時期に、なぜアメリカがビンラディンを捕らえられると確証しているかという質問に対して、以前と異なり、パキスタン軍は米軍を守るだけに徹しているというのだ。「パキスタン軍は単に手伝うだけで、指揮を行なうのは米軍司令官だ」。

以前、アメリカはパキスタンの同僚たちと一緒に行動していた。しかしここ数ヵ月の間にアメリカが独自のネットワークを確立し、協力はなくなってきた。過去においてタリバンを支持してきたこともあり、パキスタン軍とISIはいまだにタリバンに対して強い共感を持つ。最近のカラチにおけるアルカイダ逮捕でFBIは、過激派と繋がりをもたず、パキスタン軍やISIとも関係がない警察官たちと直接の繋がりを築いた。その結果、FBIと繋がりのあった警察官との協力で、多くのアルカイダが逮捕されたのだ。当然これらの警察官は更迭されたり辞職を迫られたりしたが、アメリカの強い要望で復帰した。

今パキスタンの部族地帯で、同じような作戦が展開している。アメリカは地元の行政や部族民たちと独自のネットワークを築き、アメリカを敵視する過激派に甘いパキスタンとは関係なく動きはじめたのだ。

《アフガニスタンの地上戦》

ここ3週間のゲリラ戦は次のようなことを指し示す。  ・アフガニスタン南西部の地元行政機関はタリバンに味方するようになり、そこで行なわれる戦いはカンダハル軍・カブール軍・米軍対タリバンという形になった。  ・タリバンゲリラたちは山に隠れ、後に住民に紛れ込むことで捜索や爆撃から逃げてきた。その後再び次の攻撃を開始する。これは住民たちの完全なる支持を受けていることを示す。これはザーブル知事も認めることである。  ・以前タリバンは副指揮官、あるいは副々指揮官に指揮されていたが、今はトップレベルが指揮している。

アフガニスタン南部や南西部からの情報を総合すると、オマール師が個人的に軍を指揮していると思われる。いっぽう、コーシュトとパクティアでは、伝説的なアフガン人の司令官Maulana Jalaluddin Haqqaniが指揮している。彼の下には、Saifullah Mansoorもいる。Maulana Jalaluddin Haqqaniは、最も尊敬されているゲリラのリーダーだ。1980年代にはソヴィエトと戦い、彼の指揮の下で、ムジャヒディンたちはコーシュトにいたアフガン共産党勢力に勝利した。これはソ連にとって、最初の大きな敗北だった。タリバンが90年代に出現したとき、Maulana Jalaluddin Haqqaniはこの新しい軍隊を援助し、96年にタリバンが政権をとったときに大臣となり、国境地域をコントロールした。

しかし地方における最近のタリバンの勝利にもかかわらず、パキスタンの専門家たちは、まだその抵抗運動について疑問が残るという。彼らによると、あまりにも地域が広がりすぎているというのだ。「ソ連に対するアフガン抵抗行動は、CIAやISIに誘導された。それぞれの抵抗運動は、これらの幹部たちから大きな協力を得ていた。現在はそれほどよく組織化されてない。結果的に、アフガニスタンにおけるアメリカの死亡者は、思いのほか少ない。抵抗運動は、混乱と無政府状態を引き起こすだけだ。それ以上でもないし、それ以下でもない」。

しかし最近優位にあるタリバンの抵抗運動の結果、混乱のなかからまた新たな秩序が生まれるかもしれない。その秩序とは国を危険な状態に落とし入れるものであるか、それはわからない。ビンラディンが捕まろうとも捕まらなかろうとも、関係ないことだ。

Bin Laden hunt intensifies
By Syed Saleem Shahzad、KARACHI


■Bannu“演習”終了[030906 Daily Times]

軍関係者は金曜日に、Bannuとその付近での「演習」は終了したと述べたが、なぜ急に終了したかについての説明は避けた。

「すべてのヘリコプターは演習の終了に伴い、帰ってきた」とInter Services Public Relations責任者のMaj Gen Shaukat Sultanが『Daily Times』に語った。演習は水曜日に始まり、24機のヘリコプターがBannuに着陸。アルカイダやタリバンを捜索しているのではないかという憶測が飛んだ。Bannuでの情報筋は、木曜日に11機が戻り、金曜日に残りが戻ったというが、軍はまだ引き上げてない。

Bannuの住民は、ヘリコプターはBannuとコハート空軍基地の間を飛んでいたという。北ワジリスタンにいる『Daily Times』記者によると、米軍がコーシュト、パクティア、パクティカでタリバン残党を一掃するために、大きな作戦を始めようとしているという。治安関係者は、パキスタン軍も北・南ワジリスタンの部族地帯で、過激派に対して作戦を実施すると述べた。

いっぽう情報筋が語ったところによると、Bannuの作戦はビンラディンがその部下とこの地域に隠れているという情報をFBIが流したために、緊急に計画されたという。

『AFP』による続報:タリバン残党を一掃する作戦のために、パキスタンのヘリコプターがアフガニスタンとの国境を旋回したと、治安関係者が述べた。

Bannu“exercise”has ended: ISPR
By Iqbal Khattak, Hayatullah Khan and Muhammad Imran、PESHAWAR/MIR ALI


■アルカイダ、イラク前線に参加する計画[030907 Washington Post]

アメリカの攻撃以後、ビンラディンのリーダーシップは孤立し、弱体化した。しかしアルカイダ・ネットワークは、イラクに新しい前線を切り開こうとしている。

イラクへの方向転換は、この2月に決定されたらしい。2人の工作員が、イラン東部で会った。1人はアルカイダ軍責任者のMohammed Ibrahim Makawi、別名Saif Adel。もう1人は、Abu Musab Zarqawi。Zarqawiは、イラクの北部クルド地域から逃げてきた“客人”である。この会合は、Zarqawiをイラクのアルカイダ工作員にするためのものだった。ある諜報部に近いアラブ高官が言った。「すでに化け物があなたの近くにいる。あなたが彼を殺すことができるか、わからない」。「イラクは新しい戦場だ。最善の戦場だ。最善の戦場になるだろう」。

タリバン崩壊後、アルカイダのリーダーたちの一部はイランに移った。イランはAdelやビンラディンの息子のSaadを匿っていると諜報部がいう。このアルカイダのグループが6月12日のリヤド爆破事件を計画。この後サウジの圧力を受け、イランはアルカイダを拘留した。しかし、Zarqawiを捕まえることはできなかった。彼はすでにイラクに帰っていた。アラブ諜報部によると、彼はバグダッド付近にいて、イラン国境に何度も逃げ込む。

《外人を引きつける力》

米軍やアラブの情報によると、シリア、イラン、サウジ、ヨルダン、トルコから何百という外国人戦士がイラクに入り込んでいる。しかしアルカイダは、まだイラクに溶け込んではない。新しいネットワークを作ろうとするZarqawiの指令は、まだ実を結んでないのだ(中略)。「しかし彼らはやってくる」。「周りの国々からやってくる」とアラブ人高官は言う。

前述した2月の会合で、イラン政府は42歳のヨルダン人Zarqawiを軟禁した。Zarqawiはクルドの原理主義Ansar al-Islamのリーダーだ。Ansar al-Islamはアルカイダと関係があると、米軍は見る。また中東やヨーロッパとも関係を持っているようだ。Zarqawiが軟禁されているという噂は、アンマンに届いた。Zarqawiはアンマンでアメリカの外交官を殺害した容疑で指名手配中だったために、ヨルダン政府は身柄の引き渡しを要請した。イランはこれを拒否。イランによると、軟禁されている人物は手配写真とは似ているが、シリア人だとした。春になってZarqawiは解放され、イラクに帰った。この時以後、Zarqawiはアルカイダの一員になったのだ。危険人物だ(中略)。

イラクに何人外国人がいるかははっきりしない。千人から数千人だといわれる。イラク〜シリア国境、イラク〜イラン国境はこのような外国人の出入りには絶好な地形である。今のところ、イラクでの爆破事件に、直接アルカイダが関わっている証拠はない。

《今後の脅威》

しかし今のところはまだ明らかなアルカイダの動きはないが、今後かならず脅威となる。ビンラディンがトラボラに潜んでいた2001年、彼のエジプト人の部下のザワヒリが、Adelをイランに派遣した。そこでアルカイダたちを匿ってもらおうとしたのだ。ザワヒリはイランの特殊部隊の司令官Ahmad Vahidiと親しかった。取り引きは行なわれた。ハタミ大統領には、諜報部を支配する力はない。例えばRevolutionary Guardのような諜報組織は、最高宗教指導者のAyatollah Ali Khameneiのオフィスの指示に従う。

のちに、Adelやビンラディンの息子と一緒にイランに行った者には、Mahfouz Ould Walid、別名Abu Hafs(モーリタニア人)、Abu Mohammed Masri(エジプト人)がいる。その他にザワヒリの部下のAbu Khayr、アルカイダのスポークスマンのSulaiman Abu Ghaithも出かけている。世界中でアルカイダ幹部が逮捕されている今、何人もの下部工作員を引き連れてイランに行ったこのグループが、今やアルカイダのリーダーシップを形成する。

ビンラディンとザワヒリは、アフガン・パキスタン国境の山の中に隠れた。他の部下たちとの連絡は非常に限られ、難しい。ほとんどが口伝え、あるいは手書きのメモだ(中略)。

アラブやアメリカ高官によると、逮捕され、アメリカの尋問を受けたアルカイダたちは、ほとんど協力をしているという。アメリカは自白させるために、さまざまなテクニックを使う。身体的虐待や拷問寸前の方法も用いる。ある例では、CIAが偽造したアラブ紙や雑誌にビンラディンが死んだという記事を載せて見せたりするともいう。

ZarqawiがイランでAdelに会ったという情報は、逮捕されたアルカイダにとって、組織が混乱しているように映ったようだ。アルカイダのリーダーたちは、ビンラディンの声明にもかかわらず、9.11と同様の事件を再び起こすことは不可能だと考えていた。タリバンが再びアフガニスタンに再結成される(事実これは起こっている)ことだけを期待し、他の過激派たちがアルカイダと協力し、それぞれの意志で攻撃を行なうことを期待していた。

《サウジ、取り締まりを始める》

Adelはサウジ政府を転覆させ、アラブ世界で攻撃することを計画した。同じ時期に警察も、サウジはアルカイダのターゲットになり始めていることに気づいた。しかしAdelのこの戦略により=イランの諜報部との関係は緊迫した。リヤド爆破事件の背後にAdelがいることを察知したサウジは、イランを非難。Adelとビンラディンの息子、また爆破犯人の従兄弟にあたるサウジ人Turki Dandaniの引き渡しを要求した。しかしイランはこれを拒否。アルカイダは全員自宅軟禁になっているので、外部と接触できないと述べた(中略)。イランは、Adelを拘束していると公表してない。「大きな獲物がいる」と述べるだけだ。

Al Qaeda Is Trying to Open Iraq Front
By Peter Finn and Susan Schmidt


■ビンラディンの隠れ家の噂[030908 Newsweek]

ビンラディンは、もはやアルカイダをまとめることはできないと思われているが、クナール州の人々はそうは思わない。

クナール州のPech River valleyに住むKhan Kaka老人の義理の息子Abu Hamza al Jazeeriは、96年にビンラディンのボディーガードになった。2ヵ月に一度、このアルジェリア人al Jazeeriは、家族に会いに帰ってくる。「どこからともなくやってきて、すぐに消える。いつ来るか、いつ去るのか、全然わからない」という。村人たちは、彼が持ってくるビンラディンについての報告を楽しみにしている。1月に来たときには、ビンラディンの義理の娘が出産中に亡くなったという話をした。ビンラディンはその葬儀で演説をし、彼女の死をアメリカのせいにした。ほんの数十人だけの葬儀だったという。「私はアラブの“シャイフ”と同様の富を持っていた。しかし私は、我々をイスラムから引き裂こうとしている異教徒と戦うことにした。それゆえに、アラブ人、タリバン、そして私の家族は殉教した」と述べたという。Khan Kakaや隣人たちは、この演説を暗記した。ビンラディンがどこにいるか尋ねると、al Jazeeriは微笑み、谷を取り巻く山々を指したという。

9.11以後、ビンラディンがどこにいるのか、誰も知らない。アメリカの高官たちは、ビンラディンはもはやアルカイダを指揮できないと見る。「彼の役割は、以前ほど重要ではない。しかし象徴的には、非常に重要だ」という。

しかし、『Newsweek』が接触したタリバン高官の意見は違う。彼らによると、ビンラディンはいまだアルカイダやタリバンに資金を供給している。フセイン政権が崩壊したあと、アルカイダのリーダーたちは、9.11以来最大のテロ会議をアフガニスタンの山奥で開催した。前タリバン外務副大臣によると、参加したのはタリバンの重要人物の3人、数人のアルカイダ高官、チェチェン、ウズベキスタンのイスラム原理主義リーダーたちだという。そこでビンラディンは彼が最も信頼しているSaif al-Adilを、イラクでの作戦を実行するリーダーに任命した。このエジプト生まれのSaif al-Adilに紹介状を手渡し、すべての宗教者やビジネスマン、ムジャヒディンに対し、彼に可能な限りの援助をするよう要請した。Al-Adelはすぐにアフガニスタンを出たが、イランで監禁されているといわれる。しかしタリバン高官はアメリカの諜報部の情報を否定し、Al-Adelはイラクに潜入し、反米運動を組織していると主張する。

もう1人のタリバン高官が『Newsweek』に語ったところによると、この会議でビンラディンはもう1つの「重要なプロジェクト」を計画していたという。「彼は生物化学兵器を使うことを最大課題とし」、アルカイダはすでにこのような武器を持っているという。問題は、いかにそれを運び、用いるかということなのだそうだ。この計画は、Khalid Shaikh Mohammadが3月に逮捕されて、延期されたらしい。

前タリバン外務副大臣とHaroonというアフガン人によると、ビンラディンは元気で、Haroonは6月に彼に会ったとさえいう。ビンラディンの息子3人も一緒で、もし囚われそうになったら彼を殺す誓いをたてている。2人の妻も近くの山中に住んでいるらしい。友や部下たちとは、手書きの手紙やコンピュータ・ディスクで交信し、メッセンジャーが手渡ししているという。各メッセンジャーは、次に誰に手渡すかしか知らない。原始的な方法だが、アメリカには察知されない方法だ。

クナール州ほどいい隠れ家はない。アメリカの高官たちでさえ、これに同意する。山中は中央政府の管轄外で、道らしい道はない。アルカイダが隠れているところに入ることは、不可能だ。ヘリコプターでさえ、無理だという。他の砂漠のなかの山と異なり、クナールの山々は常緑樹に覆われ、盗賊たちの巣となり、パキスタンに通じる。al Jazeeriのように、ビンラディンのボディーガードたちは地元の人々と結婚して、地域と密接に繋がり始めてている。対ソビエト戦争時代に、CIAはクナール州でアラブ人たちが地元のムジャヒディンたちと合流して、ソ連と戦うのを容認していた。

ビンラディンの一行は、アフガン遊牧民たちと共に暮らしている。「アラブ人たちは、ジハードをしている立派な人たちだ。家畜や乳製品をいい値段で買ってくれる」とある男が言った。

Haroonというアフガン人は、6月にビンラディンに会ったと語った。彼はタリバンの反米運動の活動家で、以前ビンラディンをトラボラからShahikot Valleyに逃がしたのだというだ。ビンラディンに謁見希望を出してから1ヵ月後、彼は返事を受取り、パクティア州にある自宅から北に向かうよう指示された。パスワードをつぶやくガイドと一緒に3日間旅し、アラブ人に引き渡され、厳重な身体検査を受けた。まる1日裸足で洞窟のなかで過ごした後、覆面をしたアラブ人がやってきて、土と石でできた小屋で待つように言われる。心配になってきたころに、ビンラディンが現われたという。彼は静かにアラビア語で話した。「アフガニスタンの砂漠は、ムジャヒディンの血で灌漑されている。しかし、ジハードは決して枯渇することはない」。謁見は15分で終わった。「今後、決して私に会おうとしないでほしい」と最後にビンラディンは言ったという。

Rumors of Bin Laden's Lair
By Sami Yousafzai And Ron Moreau


■アルカイダ、無気味な警告を発令[030908 Guardian]

昨日、ビンラディンのネットワークからと思われる、新たなテープが公開された。9.11を思い出させるような殺戮を、アメリカに対して実行するという。

9月3日付けのオーディオ・テープが、衛星放送 al-Arabiyya テレビで放映された。「アメリカの国内と国外で新たな攻撃を行なう。アメリカは9.11のことなど、忘れてしまうだろう」とアルカイダのスポークスマンと称するAbu Abd al-Rahman al-Najdiが述べた。髭を生やした武装闘士の写真が放映された。

「我々はイスラム教徒たちに、アルカイダが2倍になったことを告げる。これまでの死傷者は、今の我々の良い状況を考えれば、大したことない。我々の殉教活動は、もうすぐ明らかになる」。

テープはさらに、シーア派の指導者Ayatollah Mohammed Baqr al-Hakimをイラクで殺したのは、アルカイダではないと述べた。「Mohammed Baqr al-Hakimを殺害し、神の家を冒涜し、無実の人間を殺したのはアルカイダではない、と強く主張する」。「我々の目的はアメリカ人と戦うこと、地球上、彼らがいる所どこででも彼らを殺し、パレスチナ、アラビア半島、イラクから追い払うことだ」。

またアメリカとイスラエルが、Ayatollah Hakim(Baqr al-Hakim)の殺害を企てたことを非難。なぜなら、彼はイランとの近い関係にあるため、イランの影響をこの地域に拡大する恐れがあるという。「我々には動機はない。 Baqr al-Hakimを殺したのは、アメリカ人とユダヤ人だ。彼がイランに忠実だったために、彼を殺したのだ」と述べた。さらに、この殺人事件の背景にはシーア派とスンニ派との間に不和を起こし、シーア派をアルカイダに対立させようとするものだという。

テープの主であるNajdiは、8月17日に放映されたテープでも、アルカイダのスボークスマンと名乗っていた。ビンラディンとオマール師は生存しており、米軍と戦っているという。またイスラム教徒たちに、アメリカと戦うよう鼓舞した。「神は、イラクとパレスチナにジハードの扉を開いた。それを閉めないでほしい」。

Al-Qaida issues a chilling warning
Brian Whitaker and agencies


■アルカイダ、9.11以前より、さらに強力[030908 AP]

イギリスのブラッドフォード大学の平和研究の教授、ボール・ロジャーズ(Paul Rogers)は、アルカイダネットワークは9.11以前よりもさらに強力になっていると発表。アフガニスタンやイラクで行動している米軍は、アルカイダ組織やその下部組織を一掃することに失敗したという。

「アルカイダやその関連組織は、幅広く行動を計画し、活動している。彼らの能力は9.11以前よりも大きくなったことを示す。この点だけから見ても、テロに対する戦争に勝利しているとは決して言えない」。米軍主導の対テロ活動は、テロリストの計画のいくつかを防ぐことはできたが、9.11以後、アルカイダと関係のある攻撃は350人以上を死亡させ、1000人以上が負傷しているという。

いっぽう、アメリカがアルカイダに勝利したと見るテロ専門家もいる。しかしイラク後の混乱は、再び振り出しに戻る可能性があるとも忠告する。

Academic: al-Qaida Stronger Than Pre-9/11
By JILL LAWLESS、LONDON


■9.11から2年経って、いまだビンラディンなし[030908 AP]

9.11後、2年。パキスタン軍は、部族地帯を必死に捜索し始めた。しかし関係者たちは、テロリストのリーダーがいる証拠はないという。先週行なわれた短期間捜索では、何も獲物がなかった。ビンラディンは山に消えてしまった。

「彼についての噂を聞かなくなって、ずいぶん経つ」と、米軍と協力する内務省の危機管理部門の責任者Brig. Javed Iqbal Cheema。「通信機器での交信も傍受してない」。

アメリカとアフガニスタン双方からの圧力を受け、パキスタン軍は北西辺境州のいくつかの部族地帯、モーマンドやワジリスタンに入った。パキスタン軍は暖かく迎え入れられなかった。ワジリスタンの一角にある部族地帯の町Bannでは金曜日に、パキスタン軍ヘリコプターなどが駐機していた小さな空港に、ロケット弾が撃ち込まれた。住民たちは、軍は土曜日に去ったという。『AP』の記者も日曜日には、施設には何もなくなっていたと証言した。射程距離15マイルのロケット弾は、おそらくワジリスタンから打ち込まれたと思われる。被害はなかった。

アメリカの諜報部員たちは、ビンラディンはこの国境沿いの部族地帯にいると信じる。しかし、それ以上の正確な情報はない。ビンラディンは、ザワヒリとともに行動しているといわれる。2002年3月にAbu Zubaydahを逮捕したパキスタン諜報部員によると、ここしばらく、アルカイダについてのこれといった情報はないという。「時々『花』の香りはする。しかし花自体は、もうかなりの間、姿を見せない。彼がどこに行ったのか、はっきり知る者はいない」。アメリカとアフガニスタンは、パキスタンに部族地帯を徹底的に調べろと、圧力をかける。パキスタンは、あらゆる方策を試みているという。

ビンラディンが最後に公に出てきたのは、『AP』が入手した4月7日のテープだ。そこで彼は、クエートとサウジは“アメリカのエージェント”だと非難した。しかし彼の最近の映像はない。

パキスタンでは、アルカイダの重要幹部3人が逮捕された。最近ではKhalid Shaikh Mohammadだ。Khalid Shaikh Mohammadが3月に逮捕された直後、バローチスタンでビンラディン捜索が開始された。しかし、失敗に終わった。9.11の2周忌を間近に、アメリカはビンラディンやザワヒリを捕らえられないでいるいらだちを見せ始めた。アナリストたちによると、この2人の生存は、彼らに仕える者たち努力のおかげだ。「ビンラディンとザワヒリが生きている限り、我々はアルカイダを捜索し続ける」とArlingtonのPotomac Institute of Policy Studiesに所属する対テロ専門家Michael Swetnamは言う。「アルカイダは、今さらに危険になっている」。

Two Years After Sept. 11, No Bin Laden
By PAUL HAVEN、ISLAMABAD


■ビンラディン、9.11をテーブで賞賛[030910 AP]

2年の沈黙を破って、ビンラディンの姿が映った新たなビデオが、カタールの衛星テレビ『アルジャジーラ』で放映された。アルカイダのリーダーは杖とライフルを持ち、ザワヒリとともに、岩山のなかを歩いていた。

8分からなるビデオテーブで、ビンラディンと思われる人物が9.11の5人の名前を出し「敵に膨大な危害を与えた」と賞賛した。2本目のオーディオ・テープではザワヒリがさらにアメリカへの攻撃を予言し、イラクのゲリラたちに米軍を「埋葬」するよう、呼びかけた。

テロ専門家によると、このようなテープはアルカイダシンパに、テロネットワークがまだ強力に機能しており、リーダーたちは元気であることをアピールするものだという。9.11の1日前という、絶好のタイミングを狙った。

アルジャジーラは、テープは4月末か5月初旬に作られたというが、いつ、またどのような経路で受け取ったかについては黙秘した。ビデオの背景は、米軍がビンラディンが潜んでいると考えている、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯と似通っているという。

アルカイダのリーダーたちからのメッセージは、新たな攻撃の予告であることが多い。先週、水曜日にビンラディンのテープが出てくることを報道関係者が予告していたと、ある米軍高官が匿名を希望して述べた。

録音テープでは、ビンラディンが「あの男たちは敵に多大な打撃を与え、アメリカの計画にダメージを与えた」。彼らが真の信者であり、他の信者たちの理想であると述べた。さらにザワヒリは「今まで見てきたことは始まりにすぎない。本当の偉大な出来事は、今始まった」と、12分に及んで述べた。ビンラディンのテープの背景には、宗教的な音楽が流れていた。どちらのテープも『AP』がアラビア語から英語に翻訳した。

ビンラディンとザワヒリはアフガン式の民族衣装を身につけ、地元の毛の帽子をかぶり、岩山をゆっくり歩いている様子が映し出された。ビンラディンは以前よりも老けており、髭もかなり白くなっていた。片手に杖を持ち、毛布を肩にかけ、ソ連製のライフルを持つ。2人が丘を登り、休憩をして、木々を眺めている様子を、カメラが後ろから映し出していた。ビデオは計画的に撮られており、ビンラディンはときどきカメラのほうを振り返り、ある場面では手を振っている。このビデオでは、ビンラディンもザワヒリもしゃべらない。ある場面で野生の花がまとまって咲いていることから、かなり高度が高いことを考えると、初夏であることを示す。

アルジャジーラによると、このフィルムはAl-Sahhab Co.が作ったといい、この会社は「アルカイダのためのフィルムを作ることを専門としている」という。

録音テーブで、ザワヒリは次のように言う。「我々は、イラクのムジャヒディンの兄弟に敬意を払う。十字軍と戦っている彼らの勇気と犠牲をアラーが祝福するよう、祈っている。アラーはあなたとともにいる。そしてイスラム国家はあなたがたを支持する。アメリカをイラクの墓場に埋葬しろ」。「9.11の2周年に、アフガニスタンとイラクから受けた傷で弱っているアメリカとその十字軍に、再び挑む。我々は殺そうとは思わない。しかし、我々に危害を与えようとしている手を切り落とす。神の意志だ」。

9/11 Attack Praised on New Bin Laden Tape
By SAM F. GHATTAS、BEIRUT, Lebanon


■ビンラディンのテープは古いとフランスの専門家[030911 Reuters]

フランスのテロ専門家は木曜日に、ビンラディンのテープは古いテープを編集したものだと述べた。一方ドイツの諜報部は、テープはビンラディン支持者にとっては「ダイナマイト」で、アルカイダは再結成されていると述べた。

パリのInternational Observatory on TerrorismのRoland Jacquardは、「このメッセージを用心深く受けとるべきだ」と述べた。「ビンラディンのビデオが数ヵ月も登場しなかったことを考慮すると、久しぶりに出てきたビデオで、彼がザワヒリと一緒にいるだけで何もしゃべらないのはおかしい。ビデオの背景で流れる彼の声は、2001年12月にアルジャジーラが放送したものと全く同じだ」。ビンラディンの姿のいくつかも、2001年12月以前の物が使用されているという。

ザワヒリのメッセージも古く、8月3日にドバイのAl Arabiyaで放送されたもので、「目的は彼がまだ活動しているということを、9.11に合わせて世界とアメリカに知らしめることだ」。と述べた。確かにザワヒリのテープは最近の出来事について触れているために古くはないが、写真は以前のものだという。

他のアナリストは、映像は4月か5月に撮影されたといい、ドイツの諜報部Office of German Chancellor Gerhard SchroederのErnst Uhrlauは、テープは本物だと指摘する。「単なる象徴的な映像以上のものだ。アルカイダが行動できるという能力は明らかだ」と、ビンラディンの出現は支持者たちにとって、重要な意味をもつことをつけ加えた。「これはアラブ世界では、『ダイナマイト』の役割を果たす」。

hoonBin Laden tape is old material - French expert
PARIS


■CIA、ビンラディンの声、おそらく本物[030912 AP]

CIAは金曜日に、最近放送されたビンラディンの声は本物であるが、いつ録音されたかどうかはわからないという。

録音状態は悪いが、もうひとつのオーディオテープのほうは、腹心のザワヒリの声であるという。

ビンラディンはメッセージの中で最近の出来事について触れてないが、ザワヒリはアメリカのイラク侵略を述べているために、3月以後に録音されたと思われる。CIAは、音声が重ねられた2つの部分は別々に録音され、これは彼らがアフガニスタンとパキスタンの国境の山岳地帯で隠れているという、今までいだいていた確信に疑問を投げかける。またビンラディンとザワヒリは共に負傷したり病気だというこれまでの情報と近い、2人とも健康そうに見えることから、結論を引き出すことは難しい。ビデオは1年前のものと指摘する者もいる。ビンラディンは少し老けた感じである。

アメリカ諜報部は、このビデオはアルカイダのプロパガンダとして作られ、新しいメンバーを募り、9.11に合わせて発信されたと信じる。「彼らの目的は、組織が完全に機能しているような印象を与え、人々に寄付を仕向けることである。アルカイダは目に見える組織であること、新人を発掘し、民衆を激励しようとしている」とラムズフェルド国防省長官が述べた。

政府関係者は、これまでテープが公開されるとテロが起こることを指摘している。前CIAテロ対策本部のVince Cannistraroは、新しいメッセージを聞くと、ザワヒリがアルカイダの中でさらに大きな役目を果たすらうになったことを意味するという。「ザワヒリは最近のことをすべて語る。今、誰が指令を出しているのか?」という疑問が湧く。

金曜日にアルジャジーラは、9.11のハイジャック犯人、Saeed Alghamdiが映る新たなビデオも放送した。Alghamdiを「神に仕える者として、恐れを知らない」と称えるビンラディンの声も録音されていた。Alghamdiはペンシルヴァニアに突っ込んだ旅客機に乗っていた。テープでAlghamdiは「最後の言葉」を語り、2000年12月23日に録音されたと思われる。アルジャジーラによると、テープはビンラディンのテープとは別に最近受け取ったという。

hoonCIA: Bin Laden Voice ProbablyAuthentic
By JOHN J. LUMPKIN、WASHINGTON


■ビンラディンのテープの不思議[030913 Asia Times]

前略

以前放映されたビンラディンは、左手が不自由のように見えた。また榴散弾を受け、体の片側と言語に障害が残り、カラチのビノリ・マドラッサで治療を受けたという噂もある。しかし今回映された映像では、彼は両手を普通に使っていた。これは彼が回復したか、あるいはビデオが古いことを意味する。アルジャジーラがビデオが4月か5月に録画されたと述べたことには、疑問が湧く。

ザワヒリのメッセージでは、ムシャラフを強く非難し、裏切り者だと語った。またインドやヒンドゥー教徒に対しても、一部指摘があった。アルカイダのリーダーが、インドについて述べたのは初めてだ。またパキスタンについての批判はあっても、ムシャラフ個人について述べたこともなかった。

筆者は以前、2月11日にビンラディンのテープが出現したとき、アルカイダがパキスタン政府を非難し始めたのは、彼が北西辺境州政府とバローチスタン州政府の庇護を受け、退役パキスタン軍人とISIを味方につけているためだと述べた。いっぽうタリバンたちは、パキスタン軍やISIの支持をこれまでどおり必要としている。今、アルカイダの同志であるタリバンにとって、ムシャラフ政府を敵に回すことは、現状においては好ましくない。

ザワヒリの反ムシャラフ言動や、ムシャラフとインドに対する見方は、Lashkar-e-Toiba(LET)を思い起こさせる。今ビンラディンの国際イスラム戦線International Islamic Front(IIF)の活動をとりしきっているLETが、サウジにあるLETの支部を通じ、アルカイダや他のIIF組織を活性化しようとしているのだろうか?

それとも、パキスタン軍諜報部がこれらのテープを作り出し、アメリカにサインを送っているのか? アメリカがもしタリバンに関してムシャラフに圧力をかけ続けたら、アルカイダがアメリカの盟友ムシャラフを消し去ることもあり得るという脅迫なのか? これは検討すべき課題である。(後略)

smellBin Laden's tapes - curiouser and curiouser
By B Raman


■逃亡中のビンラディン、アメリカのジレンマ[030922 TIME]

山奥で、ビンラディンのグループはタリバンと共謀し、米軍を脅かそうとしている。

村人が男の死体を見つけた。拷問され、手書きのメモが貼り付けてある。「怒ったり、ショックを受けてはならない。彼はアメリカのスパイだ」。地元民によると、服装や顔つきから、おそらくアフガン人だという。しかしパキスタンのワジリスタンに住む人々は、なぜ彼が数週間前に殺されたのか、理由はわからないという。パキスタン警察は、この地域では何の権限ももたない。住民も殺人犯を捜すことに、興味はない。

アルカイダとタリバンは再び行動し始めた。アメリカを攻撃するだけでなく、地元民たちの中にも、敵を持つようになった。今年になってこの部族地帯では、11人がアルカイダの密告をしたとして殺された。3月には、ISIのエージェントが真っ昼間にバイクから撃たれ、7月には、ワナのバザールにいた部族長の息子が、車の中から撃たれた。父親がアメリカに協力した嫌疑がかけられていた。誰も殺人犯を追わない。

ワジリスタンの住民は、アルカイダに共鳴している。ワジリスタンはイスラム過激派にとって、地理的に恰好の隠れ家だ。ビンラディンがここにいることも、充分考えられる。

2500万ドルの賞金がかかっているにもかかわらず、ビンラディンの情報はなかなか集まらない。「ビンラディンはいくら金を持っていると思う? 2億ドル以上だ。たった2500万ドルで彼を売り渡すか? それにイスラム教徒の兄弟を売ることなんて、できやしない」。ワジリスタンの道路に面した岩壁には、「オサマよ、永遠なれ。我々はオサマを愛している」と書かれていた。

ワジリスタンの住民は、ビンラディンを匿っていると堂々と主張する。Kaniguramの上の、標高1万フィートにある小さな村に住んでいるという。彼らはお金は充分持っている。「でも彼らは秘密主義だ。アラブ人たちは何も言わない」。チェチェンやウズベキスタンからも、何人もの戦士たちが家族を引き連れてここに避難してきた。「彼らはみんなここにいる。地元の農民の畑仕事を手伝うので、誰も文句は言わない。

パキスタン政府から派遣されているSyed Anwar Ali Shahは言う。「ここでは何も起こってない」。しかし彼は夜は決して外出しない。イスラマバードは、この地域を支配することはできない。ワジリスタンをコントロールする宗教政党は、パキスタン軍がここでタリバンやアルカイダを追跡しようとすると、すぐに抗議する。国が部族民を非武装化しようとしたら、住民たちは一丸となって抵抗し、軍を脅迫し始めた。それ以来、軍は諦めた。

前タリバン政権高官が、『TIME』の電話インタビューに応じた。アルカイダとタリバンは、近々大きな作戦を開始しようとしているという。イラン政府が、バローチスタンの砂漠地域で活動しているドラック密輸グループを通じ、資金を提供しているという。アフガン人外交官もこの事実を認めた。

前アルカイダ高官によると、アルカイダの工作員たちは、タリバンに爆弾の製造方法を教えているという。米軍の車輌の下で、地雷をリモート・コントロールで爆破させる方法だ。またタイマーにヒューズを取り付け、工作員が逃げてからロケット弾を発射させるような仕組みもある。アルカイダ工作員たちはイランを経由して、800の衛星電話を海外から運び込もうとしているともいう。奇襲攻撃をしやすくしようというのだ。抵抗分子たちは常に変化するコードをあみだし、盗聴する人には、普通の電話のようにしか聞こえないのだという。

アメリカは、ワジリスタンでは苦戦している。去年CIAは、北ワジリスタンのMiramshahの廃校を基地とし、工作員を送り込んだ。パキスタン軍に護衛されている。地元の抗議やロケット弾を撃ち込まれながらも、アメリカ人たちはまだそこにいる。地元のインフォーマントを集めるのは難しい。疑われると、すぐに殺されてしまう。

タリバンとパキスタンの情報部、両方からの情報によると、アメリカは最近、抵抗分子を味方につけようとさまざまな試みをしている。そのひとつとして、カンダハルのCIA工作員が、アフガニスタンに隠れているといわれるタリバンの内務大臣、Mullah Abdul Razzaqに調停を申し込んだという。この情報筋によると、タリバン側は3つの条件をつけてきたという。まずキューバで収監されているタリバンを解放すること。タリバンをテロリストと決めつけないこと。そしてタリバンとの話し合いはワシントンからの要請であること。CIAはこれを拒否したという。「しかし電話で話し合うことは同意した」とタリバンは言う。カブールのアメリカ高官は、タリバンといかなる接触もしてないと主張した。

Bin Laden at large U.S. Dilemma
By TIM MCGIRK with GHULAM HASNAIN/WAZIRISTAN


Sniffed Out By Trail Dog 0-1, 2003.